オペランド観測に基づく未活用生物資源由来物質の健康機能開拓

現代社会を特徴づける問題として、ストレス社会や高齢化社会がある。いずれの問題も人々の身体や精神、認知機能、感情、および行動に大きな影響を与えており、生活の質の確保・向上が特に先進国で大きな懸案となっている。そこで本プロジェクトでは、微細藻類生産物をはじめとするこれまで未活用であった生物資源由来物質が持つ神経細胞活性機能をメダカやマウスを用いた動物実験によりスクリーニングする。その活性分画が持つ細胞レベルの作用機構をラスター画像相互相関分光法、形態プロファイリング法などの先端的オペランド細胞観測技術を用いて明らかにすることにより、より安全で即効性、耐容性がある抗ストレス・抗老化機能成分を解明する。そしてこれらの成分の作用機構解明に基づく新たな候補化合物の探索指針を確立し、医療・食品分野における実用化を最終的な目的とする。

河野重行　東京大学名誉教授、
富永 健一 産総研触媒化学融合研究センター

・Jeff S. Piotrowski,Hiroki Okada,Fachuang Lu,Sheena C. Li, Li Hinchman, Ashish Ranjan, Damon L. Smith, Alan J. Higbee, Arne Ulbrich, Joshua J. Coon, Raamesh Deshpande, Yury V. Bukhman, Sean McIlwain, Irene M. Ong, Chad L. Myers, Charles Boone, Robert Landick, John Ralph, Mehdi Kabbage and Yoshikazu Ohya, “Plant-derived antifungal agent poacic acid targets β-1,3-glucan”, Proc Natl Acad Sci U S A., 112(12): E1490-E1497, 2015.
・Shinsuke Ohnuki, Satoru Nogami, Shuhei Ota, Koichi Watanabe, Shigeyuki Kawano and Yoshikazu Ohya, “Image-based monitoring system for green algal Haematococcus pluvialis (Chlorophyceae) cells during culture”, Plant Cell Physiology, 54(11), pp. 1917-1929, 2013.

・大矢 禎一、河野 重行、野上 識、大貫 慎輔、大田 修平、渡邉 光一出願番号2014-549862、国際出願番号JP2013081894「細胞観察装置、細胞観察方法及びそのプログラム」2013/11/27出願