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Introducing Young Researchers

Integrative Life Science Based on the Study of Biosignaling Mechanisms

研究ハイライト

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自己組織化される嗅覚神経回路の形成メカニズム

竹内 春樹 理学系研究科生物化学専攻特任助教  担当:坂野 仁 教授

 ヒトを含む高等動物の脳は、多数の神経細胞からなる複雑かつ精巧に組織された神経回路によって外界からの感覚情報を適切に処理し行動する。この情報処理の根幹をなす神経回路がどのように形成されるのかという問題は、神経科学における不可避の課題の一つであると考えられる。これまで神経回路の形成メカニズムに関しては、主に視覚系を中心に研究が進められ、伸長する軸索と投射先であるターゲットの細胞との間の軸索誘導分子を介した相互作用によって形成されると考えられてきた。しかしながら、マウスの嗅覚系ではターゲットに相当する嗅球の細胞がない状態においても嗅覚神経細胞(嗅細胞)自身で自律的に神経回路が形成されることがわかっており、既存のモデルに当てはまらない新規のメカニズムの存在が 示唆されていた。そこで我々は、この嗅覚系に潜む神経回路の形成メカニズムを分子レベルで理解するために、既存の軸索誘導分子であるNeuropilin-2(Nrp2)とその反発性の分泌型リガンドであるemaphorin-3F (Sema3F)に着目して解析を行った。その結果、rp2とSema3Fは共に嗅上皮に存在する嗅細胞において相補的に発現され、嗅細胞由来のSema3Fは発生の過程で先行する軸索によってターゲットである嗅球領域に運び込まれ、後から投射するNrp2を発現する軸索に対して反発性のキューとして働 くということを明らかとした。この発見は、投射する嗅細胞軸索自身で リガンドと受容体をターゲット領域に持ち込んで神経回路を形成するという新しいモデルを提唱しており、これが他の脳領域に敷衍できるかということを明らかにすることが、今後の神経回路形成の分野における一つの課題になるものと思われる。 .

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スキルス胃癌幹細胞のTGF-βシグナルによる制御

勝野 蓉子 医学系研究科分子病理学専攻PD  担当:宮園 浩平 教授

 癌細胞の多様性を説明するモデルとして、癌幹細胞モデルが近年注目されている。このモデルは、癌を構成する多種類の細胞のうち癌幹細胞とよばれる一部の細胞のみが腫瘍を形成し、維持する能力を持ち、この癌幹細胞が正常幹細胞と同様に自己複製能と分化能を有し、多様な子孫癌細胞を生み出し階層構造をつくるという仮説である(図1)。癌の縮小に主眼をおく従来の化学療法や放射線療法は分化した腫瘍細胞を主なターゲットにしており、抗癌剤や放射線に耐性を持つ癌幹細胞を排除できていない可能性がある。癌幹細胞が腫瘍組織全体の源であり、治療で排除できなかった癌幹細胞が癌の再発や転移に最も重要な役割を果たすと考えられることから、癌幹細胞の解析はより効果的な癌の治療法の開発のために重要である。
我々の研究室ではすでに脳腫瘍幹細胞の維持にTransforming growth factor-β(TGF-β)シグナルが重要であることを報告し、脳腫瘍の新たな治療の可能性について報告した(Ikushima et al., 2009)。

 我々はさらに、予後が極めて悪い癌の一つであるスキルス胃癌細胞からFACSを用いて癌幹細胞様の性質を持つ細胞集団を濃縮することに成功した。これらの細胞集団は、ヌードマウスに移植したときに高い腫瘍形成能を持ち、非癌幹細胞様の細胞に分化する能力を有する。我々はさらに、TGF-βがスキルス胃癌幹細胞の機能や分化の制御に重要な役割を果たしていることを明らかにした。興味深いことにTGF-βはスキルス胃癌幹細胞に対しては脳腫瘍幹細胞とは全く異なる分子機構で未分化性の維持・幹細胞の分化に関与していることを見出した。本研究で明らかとなった結果は、スキルス胃癌の新たな治療法の開発にもつながる重要な発見であると考えられ、今後、スキルス胃癌幹細胞におけるTGF-β標的分子を明らかにし、臨床応用に向けて研究を展開して行く予定である。

GCOEで得たこと

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気付いたらアメリカに

大西 啓介 分子細胞生物学研究所情報伝達研究分野博士研究員
現在、University of California, San Diego, Division of Biological Sciences, Section of Neurobiology

 21 世紀COE 時代からも考えると約7 年間お世話になった訳ですが、その間にいろいろなことを経験させていただきました。21世紀COE 時代にはリトリートで知り合った同学年の人たちと月に一回Journal Clubを行なったり(3 年くらい続きました!)、共同研究で顕微鏡を使わせていただきました。普段研究している分野以外の方々とのサイエンティフィックな会話というのは、研究の幅が広がるという点以外にも、自分の研究において見過ごしていた基本的な事柄を質問されて意外と答えられず、色々気付かされる非常に貴重な機会でもありました。GCOE に変わると研究室が激増し、年 一回のリトリートでは学会並みのポスター量でさらなる刺激を受けることができました。さらに私はGCOE のシステムをフル活用させていただき、国際交流プログラム21 世紀COE 時代からも考えると約7 年間お世話になった訳ですが、その間にいろいろなことを経験させていただきました。21世紀COE 時代にはリトリートで知り合った同学年の人たちと月に一回Journal Clubを行なったり(3 年くらい続きました!)、共同研究で顕微鏡を使わせていただきました。普段研究している分野以外の方々とのサイエンティフィックな会話というのは、研究の幅が広がるという点以外にも、自分の研究において見過ごしていた基本的な事柄を質問されて意外と答えられず、色々気付かされる非常に貴重な機会でもありました。GCOE に変わると研究室が激増し、年一回のリトリートでは学会並みのポスター量でさらなる刺激を受けることができました。さらに私はGCOE のシステムをフル活用させていただき、国際交流プログラムいませんでした)。このようにGCOE のおかげで様々な素晴らしい経験をさせていただき、現在の私に至っています。ぜひみなさんも様々な経験をし、新しいことに挑戦してみて下さい。

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海外で得たこと

藤澤 興 医学系研究科分子細胞生物学専攻博士課程3年

 私は本GCOE 拠点において、二度海外へ渡航する機会に恵まれました。一つは、UCSF(カリフォルニア大学サンフランシスコ)のリトリートプログラムへの派遣です。新入生を対象とする一泊二日の合宿に参加し、朝から晩まで一流の研究者のレクチャーやポス ター発表を浴び続けます。私もコミュニティの 一員としてポスター発表に参加させていただ きました。さらに、リトリートの前後には興味 ある研究室に各自の責任でアポイントメントを 取り自由に訪問することができ、海外の研究 者とコミュニケーションを行う良い実地練習に なりました。私はUCSFやスタンフォード大学 の研究室をいくつか訪問し、米国独特の研 究スタイルに驚かされたり、自分の実験デー タに有益な助言を受けたりしました。本格的 な海外旅行自体が私にとって初めての経験 で、英語を話す・聞くことの大事さ、難しさをあらためて痛感させられることも多々ありま した。

 もう一つは、ゴードン会議への参加です。 ある特定の分野に特化した国際学会である ため、自身の研究テーマに直接関連する、 あるいは日頃論文で名前をよ く見る研究者ばかりが一同に 集い、約一週間寝食を共に します。未発表の最新データ に次々と触れることができるの は言うまでもありませんが、最 初名前しか知らなかった研究 者と直々に会話したり、ある いはその人となりを知ったりで きるのは、このようなスタイル の学会ならではの経験だと思 います。日本に帰ってから研 究を進める上での良い刺激になりました。

 最後に、これらの機会は、私が本GCOE 拠点に所属し多くの援助を頂き初めて可能 となったものです。ご関係の先生方にあらた めて感謝申し上げます。