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Introducing Young Researchers

Global Center of Excellence for Mechanical Systems Innovation

 

研究ハイライト

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マイクロ管内スラグ流における液膜厚さの測定と
対流沸騰の熱伝達モデルの構築

韓  栄培  機械システムイノベーション国際拠点特任研究員
所属:生産技術研究所 鹿薗 直毅 研究室

 マイクロ管では重力の影響が小さくなる一方で表面張力の影響が大きくなるため、スラグ流が主要な流動様式になる。スラグ流は細い管径によって伸ばされた気泡と液スラグが規則的に流れる流動様式である。気泡と管壁の間には薄い液膜が形成される。液膜厚さは、液スラグの中での循環や熱物質伝達率を決める非常に重要なパラメータである。従来からマイクロ管内の液膜厚さを測定するために、研究が行われてきてはいたが、数ミクロンオーダーの薄い液膜厚さを精度良く測定するのは非常に難しく、信頼できる実験データが今まで得られてなかった。本研究では、マイクロ管内の二相流でも最も重要なパラメータの一つである薄液膜厚さを、レーザー共焦点法を用いて世界で初めて高精度に測定することに成功した。一般に広く使われている円管、矩形管、平行平板間の三種の断面形状について実験を行った。異なる水力直径の管、作動流体として水、エタノール、FC-40を用い、幅広い実験条件でパラメトリックに液膜厚さを測定した。液膜厚さを決める重要な力として、管壁面で働く粘性力、気相と液相の界面で働く表面張力がある。レイノルズ数によって液膜厚さが大きく変化することが観察された。小さいキャピラリ数では慣性力が無視でき、液膜厚さはキャピラリ数だけで決まるが、キャピラリ数が大きい場合の液膜厚さはレイノルズ数の増加とともに極小値をとった後に徐々に上がる。加速時の液膜厚さも測定を行い、気泡の加速によって液膜が非常に薄くなることを観察した。液スラグ中の速度分布が変化することで、遷移領域の界面曲率が影響を受けたためと考えられる。加熱条件での液膜厚さを測り,その結果を断熱条件での液膜厚さと比べた。加熱条件での初期液膜厚さも断熱条件で求められた相関式でよく予測できることが確認された。加熱条件では液膜厚さは蒸発に伴って薄くなる。液膜厚さの時間変化特性と熱伝達率との関係を調べた。液膜厚さの時間変化は周期的な特性を示し、熱流束の増加に従って周波数が増加した。速い蒸気速度によって液膜表面は大きく変動するが、蒸発で液膜が薄くなると変動も小さくなった。壁面の温度から求めた熱伝達率と液膜厚さからシミュレーションした熱伝達率を比べた。低い乾き度では二つの熱伝達率がよく一致したが、乾き度と質量流速の増加に従ってずれが大きくなった。これは熱流速が大きくなることで流れが不安定になり、管内の飽和圧力が大きく変動するためだと考えられる。マイクロ管内対流沸騰では飽和圧力の変動も考慮した熱伝達モデルの構築が重要だと思われる。


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医療業務の記述・要員の能力評価に基づいた
医療の質保証のための要員配置

下野 僚子  工学系研究科化学システム工学専攻博士課程3 年

担当:飯塚 悦功 特任教授・水流 聡子 特任教授

 医療の質・安全への関心が高まる中で、医療機関は限られた資源を合理的に使う方法を検討する必要がある。特に、医療従事者個人の能力が医療の質を左右することに加え、専門性を持った医療従事者の充足が難しいことから、どの業務に誰を対応付けるかという人的資源の活用法を検討する要員配置は重要な課題である。要員配置では、業務と要員を何らかの形で評価し、評価結果に基づいて要員を業務に対応づける。医療機関における要員配置では、業務が複雑であること・要員の専門技術の習熟度がばらついていることを考慮する必要があるが、その方法論は確立していると言えない。

 そこで本研究では、要員配置の方法論が必要能力の把握・保有能力の把握・要員配置パタンの導出の3 段階で構成されると考え、各段階で病院業務の特徴を考慮しながら方法論を構築している。

 これまでの成果として、患者の多様性・生体介入があるが故に必要な他産業では見られない業務を記述できたことや、医療従事者の専門技術に関する評価項目作成によって客観的評価に貢献できたことがある。さらに、保有能力が必要能力を満たすことが原則であるが、満たさない状況でもハイレベル能力の要員の同時配置や指示待ち手順の規定を条件とする現実的な要員配置パタンが導出できた。「できる人にやらせる」という基本的考え方は従来あったが、その前提となる業務標準の記述・客観的評価・要員不足の状況の考慮といった課題を解決しながら、方法論の開発を進めている。今後は、評価項目を医療従事者の卒後の研修プログラムと対応付けることで、指導者ごとに教育内容が異なるとさえいわれてきた臨床における教育への貢献が期待される。

GCOEで得たこと

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違う視点から自分の研究を見つめる機会

横山  喬  工学系研究科機械工学専攻

現在、株式会社日立製作所日立研究所

 私はGCOEプログラムの長期海外渡航支援を受け、2009年8月12日から10月12日まで、スウェーデンの首都、ストックホルムにある王立工科大学(KTH)に滞在しました。KTHはスウェーデンにおける科学技術研究・教育の中心であり、自然科学から機械工学、建築、都市計画、情報工学、環境工学に至るまで幅広い分野における研究・教育がされています。そのため、国や企業からの援助を受けた数多くのプロジェクトが行われています。KTHには現在、約12,000名の学部生と約1,400 名の大学院生が在籍しておりますが、大学院には交換留学プログラムがあり講義は英語で行われるため、ヨーロッパ各国をはじめ、アジアからも数多くの留学生が在籍しています。私が滞在したメインキャンパスはストックホルム中心部の北東に位置し、いくつかの大学が集まった地域にあります。市街地から近く便利な場所ですが、キャンパスは広大な公園に隣接しており、自然に恵まれた場所でもあります。

 私が在籍したDepartment of Solid Mechanicsは、材料力学、破壊力学、接触力学等の研究を行っている学科です。工業製品の信頼性に関わる重要な領域であるため、博士課程の多くの学生は企業とのプロジェクトにおいて中心的な役割を担っています。学生は教授からの指導を受けるとともに、研究を支える優秀な技術スタッフと協力して研究を進めています。しかし、比較的小ぢんまりとした学科であるためフロアはファミリーのような雰囲気で、朝や昼には先生方や学生、スタッフがフロアの中心のスペースに集まり、研究の議論をしたり雑談をしたりする光景が見られます。

 私はこれまで、ボルト締結のゆるみに関する有限要素解析を行ってきましたが、KTHではOlsson 教授のご指導のもと、技術スタッフの方の協力を得て新たに実験にも取り組むことができました。比較的小さな学科であるものの、計算機関係や実験のサポートに携わっている技術スタッフは多くおり、研究を進める体制は良く整っていました。ほとんど実験の経験のない自分が実験にも取り組むことができたのは、そうしたスタッフによるサポートのおかげであると感じています。研究以外でも, 様々な国から集まった異なる背景を持つ学生の中で様々なことを話しながら過ごすことができ、単に海外での研究の経験をしたこと以上の経験をすることができました。

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長期海外渡航により得られたもの

木村 文陽  工学系研究科精密機械工学専攻博士課程2 年

 渡航のきっかけは“人間として成長すること”に物足りなさを覚えたからでした。進学して当然の如く研究を進めようとした時、3 年目となる研究室に居続けることに対し、このままでは研究者として、また人間としてつまらなくなってしまいそうな、そんな危機感がありました。そこで、環境を変え自分を刺激する目的からGCOEの長期海外派遣制度に応募しました。

 いざ公私ともに新しい環境へ飛び込んでみると、ホストファミリーや研究室メンバとのコミュニケーション、生活・研究スタイルの違いからくる孤独感に悩まされました。どうすれば現状を打開し、自分を溶け込ませることが出来るのか、日々考えては実行する毎日が続きました。相手を理解し、次に自分を理解してもらうこと。嫌味無く意見し、行動によって結果を示すこと。以上二つのことを考え続けることで自分は大きく成長できたと思います。解は単純で“敵意を持たず相手を思いやりながら行動に移す”ことなのですが、その“感覚”と言うのは実践でしか知ることが出来ません。どこまでも井の中の蛙であり、謙虚さを忘れてはいけないと言うことも強く感じました。

 この経験を通して世界の研究現場に刺激されモチベーションが上がりました。加えて、研究者以前に人間として成長出来たことに大きな充実感があります。この先同じ環境に居続けることなどあり得ず、職業すら変わるかもしれません。そんな時、まず人として受け入れてもらう時に今回の経験が大きな自信になると思います。この様な経験はお金があれば出来るものでもなく、普通なら一生出来ないことではないでしょうか。そのチャンスが目の前にあるのですから、多くの皆さんに続いてほしいと思います。