ものづくり大国ニッポン。トヨタ、ホンダ、東芝、ソニーなど日本には世界に冠たるものづくり企業が多く存在する。これらの企業の競争優位の源泉のひとつは、特定のサプライヤーとOEMメーカーの濃密なすり合わせを通じて新製品を開発する「クローズド・イノベーションモデル」であった。
しかし、グローバル化時代が本格的に幕を開けた現在、いくつかの産業ではものづくりのパラダイムが「オープン・イノベーションモデル」へと変容し、必ずしも日本企業の優位性が発揮されるとは限らなくなった。その典型例がエレクトロニクス産業であろう。
以上のような現状認識にもとづき、私がまず注目したのが、「韓国サムスン電子の競争優位の源泉」である。そのきっかけは、テレビ、冷蔵庫などの家電製品のグローバルシェアを比較した場合に、なぜ「クローズド・イノベーションモデル」を志向する日本企業よりも、「オープン・イノベーションモデル」を志向するサムスン電子の方が圧倒的に高いのか、という素朴な疑問であった。
この研究は「ものづくり経営研究センター」の特徴のひとつである、企業を引退した特任研究員(吉川良三氏:元サムスン電子常務取締役)の方と、まさにベテラン刑事と若手刑事の組わせで調査を行った。その結果、技術的な知識(あるいは部品そのもの)は「クローズド・イノベーションモデル」のネットワークから獲得する一方、デザインや機能は各国ごとに要求にカスタマイズすることが同社の競争優位につながっていることがわかった。
そして現在、自動車における電子制御ユニット(ECU)の増大に伴い、エレクトロニクス産業と同じようなパラダイム変化が起こりつつある。日本企業が取るべき戦略はどのようなものであるのか、本格的な調査を進めている。












