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グローバル・コモンズを守るための行動変革 プラネタリー・バウンダリー領域内に留まり、グローバル・コモンズを守るための行動変革を

掲載日:2024年4月12日

東京大学 未来ビジョン研究センター グローバル・コモンズ・センター(CGC)は、ポツダム気候影響研究所(PIK)と共同で、報告書 ”Transforming human systems to safeguard the Global Commons” と題する報告書を発表しました。本報告書では、2050年までに地球システムの安定性と回復力(グローバル・コモンズ)を支える主要生物物理システムのさらなる劣化を防ぎ、人と地球が安全に活動できる領域であるプラネタリー・バウンダリー(地球システムの限界)領域内に留まるためには、エネルギー利用、土地活用、生産・消費パターンにおける全体的かつ速やかな変革が求められることを明示しています。

本報告書における詳細な分析によると、現行の政策に大幅な修正を加えなければ、窒素循環、土地システム変化、生物圏の保全性など、人類の繁栄を支える重要な生態系システムが不可逆的なダメージを受ける危険性があることが明らかになりました。さらに、喫緊の対策を講じなければ、気候変動と海洋酸性化は、今後数十年以内にプラネタリー・バウンダリーが定義する境界を超えてしまう可能性が高いことが示されました。

本報告書では、グローバル・コモンズに影響を及ぼす負のトレンドを逆転させることができるいくつかの戦略についてまとめています。具体的には、再生可能エネルギーの導入による電力部門の急速な脱炭素(カーボンニュートラル)化、公共交通機関の電化、持続可能な食生活への転換、食品廃棄物の半減、鉄鋼・セメント・化学産業における材料効率の向上などが含まれ、グローバル・コモンズを効果的に保護するためには、統合的で包括的な政策設計が必要であると指摘しています。

CGCはグローバル・コモンズ・スチュワードシップ(GCS)プロジェクトを主導し、グローバル・コモンズのスチュワードシップ(責任ある管理)のためのフレームワークと実行可能な戦略を開発しています。本プロジェクトで実施しているPIKとの協働は、人類の活動と地球の生態学的閾値との間の複雑な相互作用を理解するための学際的研究とモデリングの重要性に焦点をあてています。

本報告書は、将来の世代にわたって地球を守るために必要な変革を実現するには、政策立案者、産業界、地域社会がグローバルに結束したアプローチをとることが求められるとしており、プラネタリー・バウンダリー領域内において持続可能かつグローバルな発展を達成するために、国際的な協力と政策の革新が果たすべき役割を強調しています。

グローバル・コモンズ・センター(CGC)について
グローバル・コモンズ・センター(CGC)は、2020年8月、「大学は、人類が直面する挑戦への根本的な解決策を探求するために、アカデミアの境界を超えた幅広い分野のリーダー達との協創を通じ、社会変革を駆動する主導的な役割を果たすべき」というビジョンを実現する組織として東京大学 未来ビジョン研究センターに開設されました。「持続可能な未来のために、グローバル・コモンズを管理する新しい枠組みを構築する」ことを使命として掲げています。学際的なアプローチを推進し、政策に情報を提供するとともに、プラネタリー・バウンダリー(地球システムの限界)の領域内で持続可能な開発を促進するために、分野やセクターを超えた集団的な行動を促しています。
【お問い合わせ】
国立大学法人東京大学未来ビジョン研究センター
グローバル・コモンズ・センター
Email: info.cgc[at]ifi.u-tokyo.ac.jp
*上記メールアドレスの[at]は@に置き換えてください。

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