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心不全の重症化機構を解明研究成果

心不全の重症化機構を解明
  1. 拡張型心筋症、先天性の遺伝子変異、後天性の心筋梗塞や弁膜症は心不全の大きな要因である。その一部は薬物治療を試みても奏効せず、徐々に重症化する場合が少なくないが、その機序は不明であった。

  2. その治療として心臓移植が最終手段と目されているが、これには未だ社会、医学的な問題が山積して,根本治療とは言い難い。実際移植法が制定後も上記心不全患者のニーズにドナーの数が追いついてなく、海外に移植を求める事が多い。

  3. 東京大学・医学部・豊岡教授らは新潟大学、自治医科大学とドイツ、マックス・プランク研究所と共同で心不全の重症化機構について、先天性および後天性(急性と慢性)の3種の異なる原因による重症心不全症例の解析をした。その結果から、これらの病態では、共通して心筋細胞膜を補強しているジストロフィンが切断され、崩壊して、細胞膜から遊離・脱落する事を見出した。また、この現象はヒト心臓移植の必要だった症例でも同様に認められた。

  4. 病態モデル動物では既に豊岡らが既に発表した遺伝子治療の結果、これらの病像も改善した。

  5. 骨格筋では筋ジストロフィーを起こすジストロフィン遺伝子の変異の結果、ジストロフィンタンパクが欠損して、筋ジストロフィーを発症する。豊岡らは心筋細胞のジストロフィンが二次的に脱落する結果、心筋細胞がジストロフィーと類似した変性・壊死を起こして、最終的に重症心不全を来すと考えている。

  6. この結果は5月11日付けの米国科学アカデミー紀要に発表される。

  7. 現在ジストロフィンの崩壊を来す原因が絞られつつあり、これに向けた新たな薬物療法、遺伝子治療や心筋再生治療の研究を進めている。
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