教職員のみなさんへ

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式辞・告辞集 教職員のみなさんへ

更に高い水準の教育研究の実現に向けて
―東京大学の法人化にあたっての、教職員の皆さんへの呼びかけ―

国立大学法人東京大学総長 佐々木 毅
平成16年(2004年)4月1日

 

東京大学の法人化という大きな歴史の転換に際して、教職員の皆さんに対し総長として簡単な所見を述べることにします。

第一に、東京大学が「東京大学憲章」において謳ってきた本学の基本、すなわち、世界最高水準の教育研究の実現は今後とも本学の究極の活動目標であり、それ以外の選択肢は本学にはあり得ません。今度の法人化に伴い、制度や組織のあり方に一定の変化が生ずることは当然ですが、学内においてこの目標そのものに反対する意見はないと信じています。

この目標を追求するためにはさまざまな条件が必要ですが、その基本となるのは教職員自身がこの担い手としてふさわしいものであること、あるいは、少なくともそうした存在になろうとする確固たる意欲を持っていることです。これまでも東京大学はすばらしい人的資源を持ってきましたが、それをなお一層大きく開花させるためにはそれぞれの教職員に今一度自己点検を行い、新たな決意で将来に臨んでいただく必要があります。

この目標を文字通り実現するための諸条件が現実に全て備わっているということをここで言うつもりはありません。多くの不備とそれに対する不満は誰でも知っています。そこで第二の課題は、こうした諸条件の整備を従来以上に計画的に、スピード感をもって進めることです。しかしながら、この作業は無限の資源があるわけではないという現実に立脚したものでなければならず、時には厳しい選択を前提にしなければ前進できません。誰でもが満足できる条件を整備することができれば問題はないのですが、昨年以来の運営費交付金をめぐる政府の動きが示しているように、これまでの水準の確保にしても、そう楽観できない恐れがあります。

道は二つしかありません。すなわち、自ら積極的に外部に働きかけて投入可能な資源を増やすこと、あるいは、節約によって新たな条件整備を行うこと、です。実際にはこの二つを併用することによってこの第二の課題に取り組むことになりますが、それには運営に責任を持つ側の的確な判断や見通しと、教職員の協力と創意工夫が欠かせません。この両者の歯車が相俟って東京大学がますます素晴らしい大学へと変貌することを、私は何よりも切望しています。

最後に、教職員は本日を期して非公務員型に身分が移行しましたが、「みなし公務員」としてかつて公務員に適用されていた法的な義務や制裁は基本的に従来通り継続されます。また、非公務員型への移行は決してこれまでのルールの単なる廃棄ではなく、新たなルールに服するようになることを意味しています。世上、非公務員型を専ら自由化として一面的に礼賛する風潮がありますが、こうした風潮に乗ぜられて脇が甘くなり、ルール違反を犯さないよう各自十分な注意を払って下さい。

東京大学の新たな未来に向って、皆さんの活発な提案と積極的な協力をお願いします。

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