○東京大学科学研究行動規範委員会規則
平成18年3月17日
役員会議決
東大規則第79号
(趣旨)
第1条 この規則は、科学研究に携わる東京大学の教職員及び東京大学の施設設備の利用者(以下「研究者」という。)を対象として、東京大学の科学研究における行動規範(以下「行動規範」という。)に違反する不正行為(過去に研究者であった者が、研究者であった時期に行った不正行為を含む。以下同じ。)に対処し行動規範の遵守を促すための委員会の設置及び不正行為に対する措置等について定める。
(定義)
第2条 「不正行為」とは、研究成果の作成及び報告の過程において、悪意のない誤り及び意見の相違並びに当該研究分野の一般的慣行に従ってデータ及び実験記録を取り扱う場合を除き、次に掲げる行為をいう。
(1) データその他研究結果の捏造、改ざん又は盗用
(2) 前号に掲げる行為の証拠隠滅又は立証妨害(追試又は再現を行うために不可欠な実験記録等の資料又は実験試料等の隠蔽、廃棄及び未整備を含む。)
2 「部局」とは、東京大学基本組織規則第21条、第21条の2及び第4章に規定する全学センター、国際高等研究所に置かれる研究機構及び教育研究部局並びに附属病院をいう。
(科学研究行動規範委員会の設置)
第3条 第1条の趣旨に基づき、不正行為に対処するために科学研究行動規範委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
2 委員会は、委員長及び委員をもって組織する。
3 委員長は、総長が任命する理事である副学長をもって充てる。
4 委員は、次の各号に掲げる者をもって充てる。
(1) 教育研究評議会の評議員 2名
(2) 科学研究における行動規範について専門的知識を有する本学の教員 2名
(3) 科学研究における行動規範について専門的知識を有する学外者 2名
(4) 法律の知識を有する学外者 1名
5 前項各号に規定する委員の選任及び罷免は、教育研究評議会の議に基づき、総長が行う。
6 第4項第2号、第3号及び第4号に規定する委員の任期は2年とし、再任を妨げない。
7 委員に欠員が生じた場合の後任者の任期は、前任者の残任期間とする。
(専門委員)
第4条 委員会には、第10条及び第11条に定める調査その他の手続の適正を確保するため委員の活動を補佐する専門委員を置く。
2 専門委員の活動は、委員会の活動とみなす。
3 専門委員は、委員長が、問題となっている不正行為に係る研究分野を専門とする学外研究者のうちから、当該不正行為の事実ごとに委嘱する。
4 専門委員は、委員長の求めに応じ、委員会に出席することができる。
5 その他専門委員について必要な事項は、委員会において別に定める。
(守秘義務)
第5条 委員会の委員、専門委員及び第10条第6項に規定する調査の立ち会い者は、本規則に基づく調査及び審理により知ることのできた秘密を漏らしてはならない。
(申立て等の方法)
第6条 不正行為の疑いが存在すると思料する者は、何人も、自己の氏名、不正行為を行ったとする研究者の氏名、当該研究者が行った行為の内容、関係する論文等の名称及び当該行為を不正行為とする科学的合理的な理由を明らかにしたうえ、書面、ファクシミリ、電話、電子メール又は面談等により、第18条に基づいて設置される窓口(以下この条及び次条において同じ。)に申立てを行うことができる。
2 書面及びファクシミリの場合の申立ては、別紙様式に定める申立書による。書面及びファクシミリ以外による申立ての場合も、同様式の申立書は提出するものとする。
(申立ての受理等)
第7条 窓口の責任者は、前条による申立てがあった場合には、本部は研究担当の理事に、部局は部局の長及び本部の窓口の責任者に、報告するものとする。
2 研究担当の理事は、本部の窓口で受け付けた特定の部局に関する申立てについて前項又は第6項の報告を受けたときは、当該部局の長にその内容を通知するものとする。
3 窓口の責任者は、申立てが郵便等により行われた場合など当該申立てが受理されたかどうかについて申立者本人が知り得ない方法により申立てが行われた場合には、申立者に受理した旨を通知するものとする。
4 窓口の責任者は、匿名による申立てについて、必要と認める場合には、当該申立ての内容等を研究担当の理事又は部局の長と協議した後、前条による申立てがあった場合に準じて受理することができる。ただし、調査結果が出る前に申立者が判明した場合は、前項の通知を行う。
5 報道、学会等により不正行為の疑いが指摘された場合は、前項本文の規定を準用する。
6 窓口の責任者は、次に掲げる場合には、本部は研究担当の理事に、部局は部局の長及び本部の窓口責任者に、報告するものとする。
(1) 申立ての意思を有しない相談があった場合
(2) 不正行為が行われようとしているとの申立て又は相談があった場合
7 研究担当の理事又は部局の長は、前項の報告を受けたときはその内容を精査し、相当の理由があると認めた場合には、同項第1号の場合にあっては申立てがあった場合に準じて次条の予備調査を実施し、同項第2号の場合にあっては当該申立て又は相談の対象となった研究者に不正行為を行わないよう警告を行うものとする。
(予備調査)
第8条 前条の申立ての受理をした場合には、関連する部局の長(本部においては研究担当の理事。以下同じ。)は、速やかに予備調査を実施しなければならない。
2 部局の長は、前条の申立てを受理した日から原則として30日以内に、予備調査の結果を委員長に報告するものとする。
3 部局及び本部における予備調査の方法については、別に定める。
(調査に至るまでの手続)
第9条 委員会は、前条の予備調査の報告に基づき、不正行為が存在すると思料する場合には、次条及び第11条の調査その他の手続(以下「調査等」という。)を行うものとし、不正行為が存在しないと思料する場合には、調査等を行わないものとする。
2 委員会は、前項の規定のうち、不正行為が存在しないと思料した場合には、当該結果について申立者及び被申立者に通知するものとする。
3 委員会は、第1項の規定により調査等を行うこととした場合には、当該調査等を行う委員及び専門委員の氏名及び所属を含め、その旨を申立者及び被申立者に通知するものとする。
4 申立者及び被申立者は、調査等を行う委員及び専門委員について、研究担当の理事に対し、異議を申し立てることができる。
5 研究担当の理事は、前項の異議申立ての内容を審査し理由があると認めるときは、委員会に対し異議申立ての対象となった委員又は専門委員を当該調査等に従事させないよう指示することができる。
6 研究担当の理事は、前項の審査結果について、申立者及び被申立者に通知するものとする。
(調査)
第10条 調査にあたっては、次の各号に掲げる事項を行うことができる。
(1)  関係者からの聴取
(2)  関係資料、実験試料等の調査
(3)  その他調査に合理的に必要な事項
2 調査の対象には、申立てに係る研究のほか、委員会の判断により当該調査に関連した被申立者の他の研究を含めることができる。
3 関係者は、委員会の調査にあたっては、誠実に協力しなければならない。
4 関係者は、委員会から資料の提出を求められた場合には、これに応じなければならない。
5 関係資料等の調査にあたっては、他の方法による適切な資料の入手が困難な場合又は関係資料等の隠滅が行われるおそれがある場合には、不正行為の疑いによる調査対象の研究者(以下「対象研究者」という。)の研究室で調査事項に関連する場所の一時閉鎖又は機器・資料等の保全を行うことができる。
6 前項の措置をとる場合には、必要最小限の範囲及び期間に止め、事前に対象研究者が所属する部局の長(以下「部局長」という。)の承諾を得るとともに、事後に教育研究評議会に報告しなければならない。
7 一時閉鎖した研究室の場所の調査及び保全された機器・資料等の調査を行う場合には、部局長が指名する教員2名以上の立ち会いを必要とする。
8 対象研究者が希望した場合又は委員会が必要と認めた場合には、再実験等を行うものとし、これに要する期間及び機会について配慮するものとする。
(審理及び裁定)
第11条 委員会は、前条の調査等を行うことを決定した日から原則として180日以内に、不正行為の有無及び程度について審理し、裁定を行う。
2 裁定を行うにあたっては、対象研究者に書面又は口頭による弁明の機会を与えなければならない。
3 弁明の機会の付与は、当該通知の日から原則として14日以内に、書面の提出又は委員会への出頭を求めて行うものとする。
4 委員会は、対象研究者が正当な理由なく、書面の提出又は委員会への出頭を行わない場合には、対象研究者において裁定を認めたものとみなす。
5 委員会は、対象研究者と連絡がとることができない等やむを得ない事由により弁明の機会を与えることができないときは、仮裁定としてその時点までの審理結果をとりまとめ、その概要を公表することができる。
6 委員長は、第1項の裁定又は前項の仮裁定の結果について、総長及び部局長に報告し、申立者(申立者が悪意(専ら被申立者又は所属する機関等に損害を与えることを目的とする意思をいう。以下同じ。)に基づく申立てを行ったものと認定された場合にあっては、当該申立者の所属する部局又は機関の長を含む。次条において同じ。)、被申立者(被申立者以外に対象研究者がいた場合にあっては、当該対象研究者を含む。以下同じ。)及び研究資金提供機関(当該申立てに係る研究に研究資金を提供していた機関に限る。以下同じ。)に通知するものとする。
(不服申立て)
第12条 前条の裁定又は仮裁定において不正行為を行った、又は悪意に基づく申立てを行ったものと認定された者は、前条第6項の通知を受けた日から原則として30日以内に、研究担当の理事に対し、不服申立てを行うことができる。ただし、当該期間内であっても、同一理由による不服申立てを繰り返して行うことはできない。
2 研究担当の理事は、前項の不服申立てを受けたときは、その旨を総長及び部局長に報告し、申立者、被申立者(不服申立てを行った者を除く。)及び研究資金提供機関に通知するとともに、委員会に当該不服申立てに係る審査を実施させるものとする。この場合において、不服申立ての趣旨が当該調査を行った委員及び専門委員の構成等、その公正性に関わるものである場合においては、他に適切な体制を整備して審査を行わせることができる。
3 委員会は、不服申立ての趣旨、理由等について審査し、当該事案の再調査を行うか否かを速やかに決定するとともに、決定結果を研究担当の理事に報告するものとする。
4 研究担当の理事は、前項の決定結果について、総長及び部局長に報告し、申立者、被申立者及び研究資金提供機関に通知する。
5 第3項により再調査を行う場合は、当該不服申立てを受けた日から原則として50日(悪意に基づく申立てに関する不服申立ての場合にあっては原則として30日)以内に、調査結果をまとめ、研究担当の理事に報告するものとする。
6 研究担当の理事は、前項の調査結果について、第4項の規定に準じて、報告及び通知するものとする。
(裁定の確認後の措置)
第13条 委員会は、前条第1項の不服申立てが行われなかったこと又は不服申立てが行われた場合において同条第3項により再調査を行わない旨を決定したこと若しくは同条第5項の再調査を行ったことにより不正行為の存在が確認された場合は、次の各号に掲げる措置をとることができる。
(1) 懲戒事由等に該当する可能性のある場合、総長及び部局の長への報告
(2) 教育研究活動の停止措置等に関する総長又は部局の長への勧告
(3) 研究費の使用停止・返還措置等に関する総長又は部局の長への勧告
(4) 定期的な報告の義務付け等委員会による継続的な指導
(5) 研究資金提供機関・関連論文掲載機関・関連教育研究機関等への通知及びこれらの機関との協議
(6) その他不正行為の排除のために必要な措置
2 前項の場合において、個人情報又は知的財産の保護等不開示に合理的な理由がある部分を除き、調査結果を公表する。公表する内容には次の各号の内容を含めるものとする。
(1) 不正行為に関与した者の氏名及び所属
(2) 不正行為の内容
(3) 公表時までに行った措置の内容
(4) 委員長、委員及び専門委員の氏名及び所属
(5) 調査の方法、手順等
3 委員会は、第11条の裁定若しくは仮裁定又は前条第3項の再調査の結果において不正行為が存在しなかったことが確認された場合は、被申立者の教育研究活動の正常化及び名誉回復のために、十分な措置をとらなければならない。その措置の種類については、別に定める。
(申立者及び調査協力者等の保護)
第14条 不正行為に関する申立者及び調査協力者に対しては、その秘密を守るために適切な措置を講ずるとともに、申立てや情報提供を理由とする不利益を受けないように十分な配慮を行う
2 申立者又は被申立者が学生である場合には、調査等に際し適切な教育的配慮を行わなければならない。
(悪意の申立者に対する措置)
第15条 悪意に基づく申立てを行った者については、その氏名及び所属を公表するとともに、教職員就業規則等に照らして必要な措置を講ずる。
(関係機関との連絡協議)
第16条 委員会は、必要に応じて、外部の機関と情報交換等の連絡協議を行うことができる。
(啓発活動)
第17条 委員会は、部局と協力して、不正行為の予防のために、研究者への倫理教育を含む啓発活動を行うものとする。
(窓口の設置)
第18条 委員会は、不正行為に関する申立てや情報提供及びこの規則にかかわる相談・照会等に対応するための窓口を、本部及び部局に設置しなければならない。
2 本部における窓口の責任者は、研究推進部長とする。
3 部局における窓口の責任者は、部局において定めなければならない。
4 本部及び部局の窓口の責任者は、相互に連携協力を行うものとする。
(庶務)
第19条 委員会の庶務は、本部研究推進課において処理する。
(補則)
第20条 この規則及び研究活動の不正行為への対応のガイドラインについて(平成18年8月8日科学技術・学術審議会研究活動の不正行為に関する特別委員会報告書)に定めるもののほか、科学研究における行動規範の遵守に関する事項及び委員会の運営に関し必要な事項は、委員会において別に定める。
附 則
この規則は、平成18年4月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成18年9月26日から施行する。
附 則
この規則は、平成19年7月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成22年4月1日から施行する。
附 則
1 この規則は、平成22年11月25日から施行する。
2 施行日前に行われた申立てに係る手続については、なお従前の例による。
附 則
この規則は、平成23年1月1日から施行する。
 
別紙様式(第6条様式)