エネルギー学への道程
個人で世界のすべてを知ることはできないし、知る必要もないだろう。各分野の「学」が、それぞれの領域の「知」を体系的に整理し、研究によって内容を充実させていく。科学の目覚しい発展をみると、いつか「学」の領域が世界をもれなくカバーして、世界の全てを理解した「スーパー知」ができるような気がしてくる。
しかし、科学の進歩につれて、現実にはそれぞれの「学」の担当領域は狭くなる一方だ。最近ではむしろ、我々が直面する問題を解決するには一つの学問分野の知識では不十分で、「知の構造化」によって各分野の知識を体系的に整理する必要性が指摘されている。エネルギー問題を研究してきた私もエネルギー分野での「知の構造化」の必要性を感じている。
知の構造化としての「エネルギー学」の構築のためには文系の学問との協力が不可欠だと考えている。というのは、現実に我々が直面するエネルギー問題は、原子力の安全・安心にしても、電力自由化や地球温暖化問題への対応にしても、人間社会の問題であるため、単純に白黒が決まるようなものではないからだ。
理系の学問には普遍的真理の存在が前提とされており、仮説として提案した論理を実証することが「学」の成立基盤になっている。私はこれを論理実証型の学問と分類している。一方、人間社会の問題を扱う文系の学問では人間自身が抱える矛盾に直面せざるを得ない。ここでは普遍的に正しい真理だけでは不十分で、問題設定の枠組みが重要であり、その中での論理の整合性によって学問が成立している。この点に注目して、私は文系の学問を論理整合型と分類している。
この意味では、「エネルギー学」は論理整合型の学問に分類されることになろう。いくつかのケーススタディを通して、知の構造化としての「エネルギー学」のおぼろげな姿は見えてきたように思うのだが、まだまだ道は遠い。「学融合」を目指して設置された「新領域創成科学研究科」に集う人たちによって、「エネルギー学」が創出されることを期待している。
山地憲治(大学院新領域創成科学研究科)
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| No.1308 2005年2月23日
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