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大学法人化後の産学連携における国際化への対応について、将来の方向性を探ろうと、2月22日(火)、「海外企業向け契約の多様化および法務的な対応についての検討課題」(主催:産学連携本部)と題したセミナーが開催された。大学、企業の知的財産部門の担当者約60名が参加。海外企業との間で多様化する共同研究における今後を探った。 冒頭、影山和郎産学連携本部長から「東京大学における海外との共同研究は、件数・金額とも少しずつではあるが増加しつつあり、共同研究の立案を行う『Proprius21』の効果により、大学のニーズ・シーズをマッチングできつつあります。本セミナーでは、増加する海外企業との共同研究において、産学連携を推進するという同じ立場から、情報を持ち寄り、ディスカッションできればと思います」と挨拶があった。産学連携本部知的財産部の古川静雄統括主幹は、「2004年に大学が法人化されて以来、自前で交渉することになった結果、海外の企業や大学との知的財産に関する交渉の件数、相手先が増加し、案件の内容も難しくなってきています」と、 国際的な産学連携における契約をめぐる状況を説明。続いて、海外企業との共同研究における交渉の実例が具体的に紹介され、契約条件における法務的な検討課題の説明と、その対応方針についての提言がされた。 米国NY州の法律事務所「Day Pitney LLP」の弁護士ロバート・ノートン氏は、日米における発明者の認定の考え方が法律的に異なる点を示唆した上で、バイドール法に関わる紛争について、アメリカで現在、審理中の最新案件についての情報提供がされた。また、米国企業へのライセンス契約における問題点と対応策について説明があった。 森濱田松本法律事務所の弁護士三好豊氏は、特許法における発明者への収益配分に関して、日独の違いについて解説された。ドイツの弁護士事務所との共同調査に基づき、ドイツの「従業員発明法」という法律に触れ、連邦労働大臣による発明報酬認定のガイドラインの策定がされているといった、ドイツでの実情などが説明された。 潮見坂綜合法律事務所の弁護士末吉亙氏は、「紛争になる前の解決がベストであり、契約の履行の過程でどういうトラブルが起こりうるのかなど、契約の義務の履行におけるマネジメントが非常に重要です。このまま放っておくとどうなるかという、ある意味、“最悪のシナリオ”を想定して助言する弁護士の存在は大切です。また、紛争の両当事者にきちんと説明し、納得して和解する場合が多くあり、それが弁護士の冥利に尽きます」と、和解での解決が最善である点を説かれた。 講演後に行われた質疑応答では、海外企業からの理不尽な契約書に関する妥協点や変更事例などに関する質問があり、各講演者から的確な応答がされるなど、海外企業との契約多様化へ向けた対応について、有意義なディスカッションが行われた。 ![]() 法務的なリスクや予防対応などについて、熱心に講演を聴く聴講者のみなさん
2月23(水)〜25日(金)、エチオピアの首都、アジスアベバにある国際連合コンファレンスセンターにて、当機構の小池俊雄教授(大学院工学系研究科・工学部)を中心に、スイス/ジュネーブに本部をおく全球地球観測に関する政府間会合事務局(GEO Secretariat)と連携し、第2回アフリカ水循環に関するシンポジウムを開催した。会議概要については、以下のURLからご参照のこと。 2nd GEOSS African Water Cycle Symposium http://www.earthobservations.org/meetings/meet_wss.html ![]() 第2回アフリカ水循環シンポジウム 集合写真
世界でも最も人口密集が進み、同時に貧困などの問題を抱えているアフリカ地域において、水問題は深刻である。どの国の人々の暮らしにも、「水」は生活に密接に関与する最も重要な要素であると言えるが、この水、水資源、水管理に、当機構が推進する研究プロジェクト「データ統合・解析システム(DIAS)」の保有する最先端の科学技術を応用することで、安心安全な暮らしを人々にもたらし、水に関わる様々な災害の軽減に役立てようという構想が、このシンポジウムの背景である。たとえば、洪水、干ばつ、土石流、渇水などの水災害は、近年の気候変動の影響を受けて、アフリカ全土においても深刻な問題を引き起こしている。そこで、全球地球観測の技術、観測されたデータの解析、気象観測のモデルなどの科学技術を融合させることによって、これらアフリカにおける水問題を解決しようというのが、アフリカ水循環調整イニシアティブ(AfWCCI)である。 第1回シンポジウム(平成21年1月 チュニス、チュニジアにて開催)に続いて、このたびの第2回シンポジウムは、国際的なGEOの枠組みの下で、AfWCCIをさらに具体的に推進するための計画案について議論するため、アフリカ21カ国をはじめとする、世界29カ国からおよそ70名が結集した。そこで、アフリカにおける水資源管理を支援するために、全球地球観測システムの枠組みが、どのような仕組みで基本的情報サービスを提供できるかについて知恵を出し合った。主な参加国際関係機関は、チャド湖委員会、ボルタ川管理協会、ニジェール川管理協会、ナイル川イニシアティブ、日本、アメリカ、ヨーロッパの宇宙衛星研究開発機関、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)、世界保健機関(WHO)、世界気象機関(WMO)、世界銀行(WB)、アフリカ開発銀行(AfDB)、日本国際協力機構(JICA)などであった。 開会挨拶の中で、水に関するアフリカ閣僚会議(AMCOW)から、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告に沿って、アフリカ大陸が最も気候変動による影響を受けやすい地域であることが言及された。国連アフリカ経済協力委員会(UNECA)からは、水分野において、アフリカ諸国でミレニアム開発目標(MDGs)達成度が特に低いことなどが指摘された。二日間にわたる協議の中で、アフリカが今後立ち向かうべき水分野に関する問題点が整理され、この解決のための足掛かりとして、今回のシンポジウムでは、AfWCCIとして2箇所の河川流域を選定し、研究開発を始めることが決定された。今後の本活動のスケジュールとして、本年5月にRio+20への準備として、アフリカ党員集会へ本シンポジウムの報告書を提出し、来年1月までに第3回のアフリカ水循環シンポジウムを開催し、来年6月に開催されるRio+20にて、アフリカ水循環調整イニシアティブの研究成果を持って、環境サミットへの提言を行うこと等が合意されている。 *Rio+20についてUnited Nations Conference on Environment and Development:UNCEDとは、1992年、国際連合の主催により、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された、環境と開発をテーマとする首脳レベルでの国際会議のことである。地球環境サミットとも呼ばれる。Rio+20(リオプラスツウェンティ)は、その20年後を指す。一方、Rio+10は、2002年(リオ会議の10年後)に開かれた「持続可能な開発に関する世界首脳会議」を指し、「第2回地球サミット」「ヨハネスブルグ地球サミット」「地球サミット2002」などと呼ばれる。Rio+20は、2012年6月に再びブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催される予定。http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/wssd/ *ミレニアム開発目標とはMDGs:Millennium Development Goalsとは、2000年9月にニューヨークで開催された国連ミレニアム・サミットで採択された国連ミレニアム宣言と、1990年代に開催された主要な国際会議やサミットで採択された国際開発目標を統合し、一つの共通の枠組みとしてまとめられたもので、2015年を達成期限として、「極度の貧困と飢餓の撲滅」など、8つの目標を掲げている。http://www.unic.or.jp/mdg/index.html 本件についてのお問い合わせは、地球観測データ統融合連携研究機構(EDITORIA) 電話03-5841-6132までお願いします。
地球環境にやさしく共生できる経済活動を次世代に継続し、イノベーションの創出を推進しようと、3月3日(木)、山上会館で「1st Global UCR Forum (第1回国際産学連携フォーラム) Green Technology Innovation」(主催:産学連携本部)が開催された。第1回目の今回は、グリーン・テクノロジーでのイノベーション創出を促進する狙いのもと、ナノテクノロジーの微細な半導体デバイスの世界から様々なシステムを通じて社会へつなげようと、デバイス・レベルで米国インテル社、システム・レベルでドイツのシーメンス社を招聘。会場に集まった学内研究者と学生約90名に向けて、テーマに関連する研究関心領域や戦略、メッセージが発信された。 冒頭、濱田純一総長から「本学の将来構想『東京大学の行動シナリオ FOREST2015』の中で、産学連携における『知の共創』を重点施策のひとつとして取り上げ、先端的・学術的な共同研究推進のための世界に開かれた“場”の全学的展開を掲げています。この『知の共創』を踏まえ、今回のフォーラムをきっかけに具体的な連携にぜひ繋げてもらいたいと思います」と挨拶をいただいた。 来賓挨拶として、文部科学省研究振興局長の倉持隆雄氏からは「『ライフ』と『グリーン』の二大イノベーションを創出する仕組みとして、産学官連携による『知』のネットワークの構築や共創の“場”の構築が大きな課題となっています。国際的な産学官連携活動の推進は、グローバルな研究開発力の向上、先端研究への世界におけるニーズの把握、国境を超えた研究者の交流によるグローバルな研究人材の育成などにつながります。本日のフォーラムを契機に、新たなイノベーションの創出につながることを期待しています」と挨拶をいただいた。 今回、インテル社からはArchitecture GroupのSeniorFellow、CTOであるStephen S. Pawlowski 氏を迎え、半導体デバイスの進化において世界随一であり、情報技術の基盤を生み出す企業からの提言として、イノベーションを通した「イクザスケール・コンピューティング」による障壁の克服について、またシーメンス社からはHead of Siemens Corporate Research andTechnologies、および Professor & Corporate VicePresident であるReinhold E. Achatz 氏を迎え、スマートインフラやグリーン技術など、最新のインフラ技術の活用により多くの新システムを創造するリーディングカンパニーとして、気候・環境を保護するイノベーティブなソリューションについて、それぞれ研究課題の発表とメッセージの発信が行われた。 産学連携本部での新しい試みとして、従来の本学サイドからではなく、企業サイドからの発信を中心に行われた今回のフォーラム。学内研究者との対話を促進する目的で行われた第2部の個別セッションでは、各分野からの学内研究者と個々の企業サイドとの間でより踏み込んだ提案、ディスカッションが行われ、今後の連携模索の良い契機となった。フォーラム後に行われた懇談会でも、ゲストスピーカー2名を囲み、随所で熱気あふれるディスカッションが続き、第1回目のフォーラムは成功裏に終了した。 ![]() ゲストスピーカー2名と一緒に記念撮影。前列左からインテル社のPawlowski氏、シーメンス社のAchatz氏、濱田総長、松本理事(副学長)。後列左から中村宏教授、桜井貴康教授、インテル(株)取締役副社長の宗像義恵氏、シーメンス・ジャパン(株)代表取締役社長の織畠潤一氏、堀洋一教授、藤井康正教授
![]() 聴講者からの質問に応えるAchatz氏
既成の枠にとらわれず、大学の知を社会で活性化させようと、3月7日(月)、鉄門記念講堂でシンポジウム「企業と大学:共同研究の在り方―新しい日本型共同研究の提言―」(主催:産学連携本部)が開催された。企業や大学関係者200名が参加。それぞれの立場から、より良い日本型の共同研究システムの姿を議論した。 開会挨拶で、影山和郎産学連携本部長は「新しい日本型の共同研究には、産学連携のビジョンを明確にし、共有化すること、全体の最適化を図ること、また国際的な視点に立つことが重要です。産官学がベクトルを合わせ、様々な視点から率直な意見交換を図り、より実りのある産学連携が実現することを期待しています」と挨拶。来賓挨拶として、文部科学省研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室長の橋爪淳氏からは「共同研究が進展した結果、どのように経済の波及につながり、貢献したのか、何のために進めていくのかといった質的な評価・検証をする時期にきているのではないでしょうか。共同研究において共通した目的としては、イノベーションを創出し、日本の国際競争力を上げ、日本の社会経済をさらに振興していくことが重要です。今回のシンポジウムで、日本型のより良い共同研究システムが模索され、発展に役立つことを期待します」と挨拶があった。 講演では、奈良先端科学技術大学院大学産官学連携推進本部副本部長の久保浩三氏が「右肩上がりだった昔は産学連携をしなくても良かったが、現在の右肩下がりの時代に産学連携は必須。産学が協力してR&Dをしていく必要があります」と、大学側からの提言を述べたのをはじめ、日本電気(株)執行役員兼中央研究所長の江村克己氏からは「企業の体力が弱り、基礎研究が十分できない中で、産業界としてはアカデミアの新しい、強いシーズを求めたい。オープンイノベーションの時代、目的に合った形で産学連携ができることが大切です」と、企業側からの提言がされた。 峯崎裕知的財産部統括主幹は「発明を生み出す大学と、それを育てる企業との間でイノベーションを創出し、普及することで社会貢献につながっていく。多様化と標準化をうまく組み合わせ、成果に見合った労力をかけつつ、研究者のモチベーションを上げながら、共同研究における関係者に夢を与える産学連携の実現が大切」と提言。共同研究の在り方を検討するには、自由な立場で議論しなければ建設的な議論は困難であるとして、モデルとしての「仮想大学」の姿をあえて示すことで、産学連携による共同研究のあるべき姿を説いた。 続いて行われたパネルディスカッションでは、モデレーターに慶応義塾大学知的資産センター所長の羽鳥賢一氏、パネリストに(株)トプコン知的財産部長の新村悟氏、京都大学産官学連携本部特任教授の宗定勇氏を加え、共同研究についての意見交換が行われた。まず、宗定氏より「大学の持っている知を社会のイノベートに使わなければいけない時代に入ってきています。一発明を一企業につなぐだけでは不十分。帰属であるとか不実施補償に固執する従来の考え方を変えようと、みなさんに問いかけをしたいと思っています」との提言に対し、会場に集まった企業・大学関係者から、譲渡金に対する捉え方や、大学側に研究成果を出してもらえるような企業側の対応、社会還元やそこから生まれる社会的な責任などについて、それぞれの立場から踏み込んだ質問が投げかけられた。 最後に羽鳥氏が「大学から日本に必要不可欠なイノベーションが創出され、企業とうまく連携して、両方にモチベーションが働く。その上で成果を出せるような仕組みづくりがされることが望ましい姿といえるでしょう」と締めくくった。 ![]() パネルディスカッションでは、会場から多くの質問がパネリストに投げかけられた
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