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感染症発症予防規程     -特定病原体等の所持-

目次

第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 組織及び職務(第4条―第10条)
第3章 管理区域(第11条―第12条)
第4章 管理区域等の維持管理(第13条)
第5章 病原体等の取扱い等(第14条―第21条)
第6章 教育訓練(第22条)
第7章 健康管理等(第23条―第24条)
第8章 記帳等(第25条)
第9章 情報管理(第26条)
第10章 事故等の対応(第27条)
第11章 応急措置(第28条)
第12章 雑則(第29条)
附則

第1章 総則

(目的)
第1条 この規程は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)その他関係法令(以下「法律等」という。)に基づき、 東京大学(以下「本学」という。)において、検査、治療、医薬品若しくは検査キットの製造又は試験研究(以下「試験研究等」という。) のために特定病原体等の所持、保管、使用、輸入、運搬、滅菌等(以下「取扱い等」という。)を行う場合、 又は附属病院又は病原体等の検査を行っている研究施設が業務又は試料の解析等に伴い特定病原体等を同定し所持することとなった場合の安全管理に関し必要な事項を定め、もって、感染症の発生の予防及びまん延の防止を図ることを目的とする。
2 この規程は、法律等に定める感染症発生予防規程とする。
3 この規程の具体的な実施事項は、東京大学感染症発生予防規程要領(以下「要領」という。)に定める。

(対象)
第2条 この規程は、本学における特定病原体等(特定一種病原体等を除く。以下「病原体等」という。)を対象とする。

(定義)
第3条 この規程における用語の定義は、法律等に定めるもののほか、次の各号に定めるところによる。
  1. 「安全管理」とは、病原微生物等へのばく露等を予防すること(バイオセーフティ)及び病原微生物等の紛失、盗難、濫用、 悪用等を防止すること(バイオセキュリティ)をいう。
  2. 「専門委員会」とは、東京大学研究用微生物安全管理規則(以下「規則」という。) 第7条に定める東京大学バイオサイエンス委員会研究用微生物専門委員会をいう。
  3. 「部局委員会」とは、規則第8条に定める部局研究用微生物委員会をいう。
  4. 「安全管理主任者」とは、規則第9条に定める部局微生物安全管理主任者をいう。
  5. 「使用保管等従事者」とは、試験研究等のために実際に病原体等の取扱い等に従事する者をいう。
  6. 「使用保管等責任者」とは、使用保管等従事者のうち、責任を負う者をいう。
  7. 「実験室等」とは、法律等にいう実験室、製造施設又は検査室をいう。
  8. 「実験室等」とは、法律等にいう実験室、製造施設又は検査室をいう。
  9. 「関連する設備等」とは、病原体等の拡散を防止するための機器及び設備であって、安全キャビネット、滅菌設備、保管庫、空調設備、排水設備、 ヘパフィルタ等をいう。
  10. 「管理区域責任者」とは、管理区域の安全管理を直接行う者をいう。
  11. 「使用保管等責任者等」とは、使用保管等責任者、管理区域責任者、安全管理主任者及び病原体等の安全管理に係る者をいう。

第2章 組織及び職務

(総長の責務)
第4条 総長は、病原体等の取扱い等に関する感染症の発生の予防について包括的に責任を負うものであり、次の各号に掲げる任務を果たすものとする。
  1. この規程の制定及び改廃を行うこと。
  2. 専門委員会に諮問し、審議結果を受けて二種病原体等又は三種病原体等を所持するか否かを決定すること。
  3. 二種病原体等許可所持者となること。
  4. 病原体等取扱主任者を選任すること。
  5. 三種病原体等の所持を厚生労働大臣に届け出ること。
  6. 病原体等の取扱い等の改善の勧告、変更、一時停止命令及び承認の取消しを行うこと。
  7. その他病原体等の適正な安全管理に関する必要な措置を講ずること。
2 総長は、二種病原体等の所持の許可を得る場合に、この規程を法律等の定める感染症発生予防規程として厚生労働大臣に届け出るものとする。 変更する場合も同様とする。

(部局の長の責務)
第5条 部局の長は、当該部局における病原体等の取扱い等に関する安全管理について直接責任を負うものであり、次の各号に掲げる任務を果たすものとする。
  1. 部局委員会に諮問し、審議結果を受けて二種病原体等又は三種病原体等を所持することを総長に申請すること。
  2. 安全管理主任者を病原体等取扱主任者として総長に推薦すること。
  3. 部局委員会に諮問し、審議結果を受けて四種病原体等を所持するか否かを決定すること。
  4. 病原体等の取扱い等の改善の勧告、変更、一時停止命令及び承認の取消しを行うこと。
  5. その他当該部局における病原体等の適正な安全管理に関する必要な措置を講ずること。
2 部局の長は、当該部局の病原体等の安全管理に関する事務を統括するものとする。

(専門委員会の責務)
第6条 専門委員会は、病原体等の取扱い等に関し、次の各号に掲げる事項について調査及び審議し、 これらの事項に関して総長に対し助言又は勧告するとともに、東京大学バイオサイエンス委員会に報告するものとする。
  1. この規程及び要領の立案及び作成に関する事項
  2. 二種病原体等又は三種病原体等の所持の科学的妥当性及び法律等への適合性に関する事項
  3. 病原体等の取扱い等について総長から要請のあった事項
  4. 病原体等の取扱い等に関する報告に関する事項
  5. その他病原体等の適正な取扱い等に関する重要事項

(部局委員会の責務)
第7条 部局委員会は、部局の長の諮問に応じて、病原体等の取扱い等に関し、次の各号に掲げる事項について調査及び審議し、 これらの事項に関して部局の長に対し助言又は勧告するとともに、使用保管等責任者及び管理区域責任者に対し、当該病原体等の使用、 保管又は滅菌等に関する報告を求めることができるものとする。
  1. 病原体等の取扱い等の科学的妥当性及び法律等への適合性に関する事項
  2. 病原体等の取扱い等に関する報告に関する事項
  3. その他病原体等の適正な取扱い等に関する重要事項
2 部局委員会は、前項各号の事項に関し、部局委員会において審議等を行った結果、判断することができない事項については、 部局の長から総長に対し当該事項の審議等を要請することができるものとする。

(安全管理主任者の責務)
第8条 安全管理主任者は、当該部局における病原体等の取扱い等に関する安全管理について、次の各号に掲げる事項を実施するとともに、 部局の長及び部局委員会に報告するものとする。
  1. 管理区域及び区域内の設備が適正に整備及び点検されていることの指導及び助言
  2. 病原体等の取扱い等に関する記帳等が適正に行われていることの指導及び助言
  3. 病原体等の保管及び運搬が適正に行われていることの指導及び助言
  4. 病原体等に関する教育訓練についての指導及び助言
  5. 病原体等に関する事故等対応及び応急措置についての指導及び助言
  6. その他病原体等の取扱い等に関する必要な事項
2 安全管理主任者が、前項各号に掲げる事項を実施できない場合は、安全管理主任者が指名した者が実施するものとする。
3 安全管理主任者は、第1項各号に掲げる事項に関し、判断することができない事項については、 部局の長を介して部局外の専門家に当該事項の判断等を要請することができるものとする。

(使用保管等責任者の責務)
第9条 使用保管等責任者は、病原体等の取扱い等に関する安全管理について責任を負うものとし、次の各号に掲げる事項を実施しなければならない。
  1. 病原体等の使用、保管又は滅菌等を管理区域で適正に行うこと。
  2. 病原体等の運搬又は輸入を適正に行うこと。
  3. 管理区域及び管理区域内の設備を適正に使用すること。
  4. 病原体等の取扱い等に係る記帳等の実施及び保存を行うこと。
  5. 使用保管等従事者に対し適切な指導、監督及び教育訓練を行うこと。
  6. 病原体等の関わる事故等への対応及び応急措置を適正に行うこと。
  7. その他法律等を遵守し病原体等の取扱い等を行うこと。
2 使用保管等責任者が、当該病原体等の取扱い等を行う管理区域責任者と別である場合は、互いに協力して安全管理にあたらなければならない。

(管理区域責任者の責務)
第10条 管理区域責任者は、管轄する管理区域における病原体等の取扱い等に関する感染症の発生の予防について責任を負うものとし、 次の各号に掲げる事項を実施しなければならない。
  1. 管理区域及び関連する設備等(以下(「管理区域等」という。)を適正に維持管理すること。
  2. 管理区域等を定期的に点検し、その記録の作成及び保存を行うこと。
  3. 管理区域の維持管理を行う者に対し適切な指導、監督及び教育訓練を行うこと。
  4. 病原体等の関わる事故等への対応及び応急措置を行うこと。
  5. その他管理区域等に関する必要な事項を行うこと。

第3章 管理区域

(管理区域の設定)
第11条 部局の長は、当該部局における管理区域を定め、次の各号に掲げる事項を実施しなければならない。
  1. 管理区域等を整備すること。
  2. 管理区域ごとに管理区域責任者を選任し、維持管理を行わせること。
  3. 安全管理主任者に管理区域の指導及び助言を行わせること。
  4. 実験室等及び保管室の出入口に、法律等の定める国際バイオハザード標識を表示すること。
  5. その他管理区域における病原体等の取扱い等に関する安全管理に関すること。

(管理区域への立入制限)
第12条 部局の長は、病原体等の使用、保管又は滅菌等を行う管理区域において、次の各号に掲げる者以外の者の立入りを禁止しなければならない。
  1. 使用保管等従事者、管理区域を使用する者及び病原体等の安全管理に係る者
  2. 管理区域等の工事、点検、検査、見学等のために一時的に管理区域に立ち入る者
2 部局の長は、前項第1号に定めた者に対し管理区域への立入りの許可を与えることができる。 ただし、第22条第1項第1号に定める教育訓練を受けるように指導しなければならない。
3 安全管理主任者は、第1項第2号に定める者に対し管理区域への立入りの許可を与えることができる。 ただし、第22条第1項第2号に定める説明を受けるように指導しなければならない。
4 安全管理主任者は、第1項第2号に定める者を管理区域へ立ち入らせるときは安全管理主任者が指名した者を同行させなければならない。
5 部局の長、使用保管等責任者等は、二種病原体等及び三種病原体等の管理区域に立ち入る者に対し、 第25条の定める入退室の記帳を行うよう指導しなければならない。

第4章 管理区域等の維持管理

(管理区域等の維持管理)
第13条 安全管理主任者は、管理区域等を1年に1回以上定期的に点検し、法律等の定める施設基準に適合していることを確認しなければならない。
2 使用保管等責任者等は、管理区域等における次の各号に掲げる事項について1年に1回以上定期的に点検し、機能の低下、不具合等があった場合は、 交換、修理等の必要な措置を講じなければならない。
  1. BSL3施設・・・空調、風量、制御盤、ヘパフィルタ等
  2. 安全キャビネット・・・風速、風量、ヘパフィルタ、密閉度等
  3. 滅菌設備・・・配管、安全弁、ヘパフィルタ、運転調整等
  4. 保管庫・・・施錠器具、ドアパッキン、運転調整等
  5. その他病原体等の使用、保管又は滅菌等に関わる機器の状況
3 部局の長は、前2項の点検の結果の記録を5年間保存しなければならない。
4 管理区域等を使用する者は、使用の前後に異常の有無を確認し、異常が見つかった場合は、直ちに使用を中止して、 使用保管等責任者又は管理区域責任者に通報しなければならない。

第5章 病原体等の取扱い等

(病原体等の使用及び保管)
第14条 使用保管等従事者は、病原体等の使用及び保管を行うときは、次の各号に掲げる事項を実施しなければならない。
  1. 管理区域に人がみだりに立ち入らないようにすること。
  2. 防御具を着用すること。
  3. 管理区域内での飲食、喫煙、化粧等を禁止すること。
  4. 安全キャビネットを使用すること。
  5. 感染動物の逸走防止の措置を講ずること。
  6. 感染動物の持出しを制限すること。
  7. 特定病原体等を密封容器に入れて保管庫に保管すること。
  8. 使用時以外保管庫を施錠し鍵を管理すること。
  9. 排気、汚染排水及び汚染物質を滅菌すること。
  10. 退出時の汚染除去を行うこと。
  11. その他安全な病原体等の使用、保管又は滅菌等に関すること。

(病原体等の滅菌)
第15条 使用保管等従事者は、病原体等並びにこれらに汚染されたおそれのある物品及び排水の廃棄するときは、 次の各号に掲げる方法で滅菌等を行わなければならない。
  1. 0.01%以上の次亜塩素酸ナトリウム水による1時間以上の浸漬をする方法
  2. 121℃以上で15分以上又はこれと同等以上の効果を有する条件での高圧蒸気滅菌をする方法
  3. 前2号と同等以上の効果を有する方法

(病原体等の部局外への運搬)
第16条 使用保管等責任者は、病原体等を部局外に運搬する場合は、次の各号に掲げる基準に適合した三重包装以上の容器に封入しなければならない。
  1. 容易かつ安全に取り扱うことができること。
  2. 運搬中の温度及び内圧の変化、振動等により、破損が生ずるおそれがないこと。
  3. みだりに開封されないように、容易に破れないシールなどが貼り付けられていること。
  4. 内容物の漏えいのおそれのない十分な強度及び耐水性があること。
  5. 国際バイオハザード標識が付されていること。
2 使用保管等責任者又は使用保管等責任者の指名した者は、前項の容器を車両等へ積付けするときは、運搬中において移動、転倒、 転落等により安全性が損なわれないように行わなければならない。
3 病原体等の運搬にあたっては届出対象病原体等の運搬の届出等に関する規則(平成19年国家公安委員会規則第5号)を遵守し、 厚生労働省が定める特定病原体等の安全運搬マニュアルの基準に従って行わなければならない。この場合において、使用保管等責任者は、 安全管理主任者に協力を求めるものとする。
4 使用保管等責任者は、二種病原体等及び三種病原体等の運搬に係る記録を5年間保存しなければならない。

(病原体等の部局内での運搬)
第17条 使用保管等従事者は、病原体等を部局内で運搬する場合は、次の各号に掲げる事項を実施しなければならない。
  1. 前条第1項第1号、第2号及び第4号の基準に適合した二重包装以上の容器に封入すること。
  2. 運搬者以外の者を同行させ、複数の者で行うこと。ただし、不審者がいないことが確認された共用廊下部分を通り、隣接する場所へ運搬する場合は、 この限りでない。

(二種病原体等の取扱い等)
第18条 使用保管等責任者は、二種病原体等を新たに所持しようとするときは、次の各号に掲げる事項を事前に確認しなければならない。
  1. 使用する管理区域等が法律等の定める基準を満たしていること。
  2. 専門委員会及び部局委員会において当該病原体等の使用、保管等に係る科学的妥当性、安全管理等について調査及び審議が行われていること。
  3. 総長の承認及び厚生労働大臣の許可を得ていること。
  4. 使用保管等従事者に対する教育訓練が行われていること。
  5. その他法律等の定める要件を満たしていること。
2 二種病原体等の輸入は、厚生労働大臣の許可を得た後に行わなければならない。
3 二種病原体等の譲渡又は譲受は、総長の承認を得た後に行わなければならない。
4 使用保管等責任者は、二種病原体等の所持を要しなくなった場合、又は総長が二種病原体等所持者の許可を取り消され、 若しくはその許可の効力を停止された場合、法律等の定める期間内に厚生労働大臣に届け出、かつ、 第15条第1項に定める方法による滅菌等又は譲渡を行わなければならない。

(三種病原体等の取扱い等)
第19条 使用保管等責任者は、三種病原体等を新たに所持しようとするときは、次の各号に掲げる事項を確認しなければならない。
  1. 前条第1項第1号、第2号、第4号及び第5号に掲げる事項
  2. 総長の承認を得ていること。
2 三種病原体等の譲渡又は譲受は、総長の承認を得た後に行わなければならない。

(四種病原体等の取扱い等)
第20条 使用保管等責任者は、四種病原体等を新たに所持しようとするときは、次の各号に掲げる事項を確認しなければならない。
  1. 第18条第1項第1号、第4号及び第5号に掲げる事項
  2. 部局委員会において当該病原体等の使用、保管等に関わる科学的妥当性、安全管理等について調査及び審議が行われていること。
  3. 部局の長の承認を得ていること。
2 四種病原体等の譲渡又は譲受は、部局の長に届け出た後に行わなければならない。

(同定された病原体等の取扱い等)
第21条 部局の長又は附属病院長は、附属病院又は病原体等の検査を行っている研究施設で業務、 又は試料の解析等に伴い所持していない病原体等を同定した場合、次の各号に掲げる事項を実施しなければならない。
  1. 同定された病原体等を密封できる容器に入れ、かつ、施錠できる保管庫で保管すること。
  2. 一種病原体等又は二種病原体等を同定したときは、同定した日から1日以内にその旨を総長及び厚生労働大臣に報告すること。
  3. 三種病原体等を同定したときは、その旨を総長に報告すること。
  4. その他病原体等による感染症の発生の予防に必要なこと。
2 総長は、同定された病原体等に関して、次の各号に掲げる事項を実施しなければならない。
  1. 三種病原体等を同定したときは、それを所持するか否か決定すること。
  2. 同定された病原体等を所持しない場合、法律等の定める期間内に第15条第1項に定める方法による滅菌又は譲渡を行うこと。
  3. その他病原体等による感染症の発生の予防に必要なこと。
3 部局の長又は附属病院長は、同定された特定病原体等に係る記録を5年間保存しなければならない。

第6章 教育訓練

(教育訓練)
第22条 部局の長は、管理区域に立ち入る者及び病原体等の取扱い等に係る者に対し、 次の各号に定めるところにより教育訓練又は説明を受けさせなければならない。
  1. 第12条第1項第1号の定める者に対し、取扱い等の開始時及びその後1年を超えない期間ごとに次の事項についての教育訓練
    イ) 病原体等の性質
    ロ) 病原体等の管理
    ハ) 法律等
    ニ) この規程及び要領
    ホ) その他感染症の発生の予防に関する事項
  2. 第12条第1項第2号の定める者に対し、次の事項についての説明
    イ) 専用防御具の着用義務
    ロ) 飲食、喫煙及び化粧の禁止
    ハ) 使用保管等責任者等の許可なく物品の持込み及び持出しを行わないこと。
    ニ) 使用保管等責任者等の許可なく実験器具等に触らないこと。
    ホ) 退出時に手指の消毒を行うこと。
    ヘ) その他禁止事項
  3. 病原体等の安全管理に係る者であって管理区域に立ち入らないものに対し、 第1号の定める事項及び感染症の発生の予防及びまん延の防止のために必要な事項
2 前項の教育訓練又は説明は、使用保管等責任者等又は部局の長が指名した者が行うものとする。
3 部局の長は、使用保管等責任者等に対し前項で行った教育訓練又は説明について、その実施者、参加者、 概略等の記録を取り5年間保存するよう指導しなければならない。

第7章 健康管理等

(教育訓練)
第23条 部局の長は、使用保管等従事者及び病原体等の取扱い等に係る者に対し、次の各号に掲げる事項を実施しなければならない。
  1. 少なくとも1年に1回の定期健康診断
  2. 臨時の健康診断
  3. 当該病原体等の抗体陰性であって、ワクチンの接種が可能な場合は、その接種を推奨すること。
  4. その他病原体等の感染の防止等に必要な処置
2 部局の長は、使用保管等従事者又は病原体等の取扱い等に係る者が本学の教職員、学生等でない場合には、前項各号の事項について、 当該者の所属する機関等において実施されるものをもってかえることができる。

(ばく露の対応)
第24条 次の各号に掲げる場合は、これをばく露として取り扱うものとする。
  1. 外傷、吸入、粘膜ばく露等により、病原体等が使用保管等従事者又は病原体等の取扱い等に係る者の体内に入った可能性がある場合
  2. 管理区域内の安全設備の機能に重大な異常が発見された場合
  3. 病原体等により、管理区域内が広範に汚染された場合
  4. 使用保管等従事者又は病原体等の取扱い等に係る者の健康診断の結果、病原体等によると疑われる異常が認められた場合
2 前項第1号のばく露が発生した場合は、ばく露者及び最寄りの者は直ちに次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
  1. 実験を中止し、病原体等は周囲を汚染しないよう安全キャビネット内に置くか消毒槽に入れるとともに、ばく露者本人の汚染を除去するため、 次の初動処置を行うこと。
    イ) 速やかに70%アルコール等の適切な消毒剤の噴霧等により体表面及び衣類の消毒を行う。
    ロ) 針刺し、怪我、咬傷等明らかな皮膚障害がある場合は、できる限り速やかに血液を絞り出すようにし、 大量の流水又は滅菌生食水でばく露部位を洗浄するとともに、10%ポピドンヨード溶液等の適切な消毒剤で消毒を行う。
  2. 管理区域内の電話等により、外部の者に、事故の原因及び取り扱った病原体等を速やかに連絡すること。 連絡を受けた者は速やかに使用保管等責任者又は管理区域責任者に報告し、 使用保管等責任者又は管理区域責任者は直ちに安全管理主任者及び部局の長に報告すること。
  3. 必要に応じてばく露者及びそのばく露者に接触し感染したおそれのある者に医師の診断・治療を受けさせる、 指定医療機関等へ搬送する等の指示を与えること。なお、搬送する場合は、必要に応じてばく露者に拡散防止のため防護服を着用させ、 ばく露者等を搬送する者及び同行者に事前に防御具を装着させること。
3 部局の長は、第1項第2号及び第3号のばく露が発生した場合は、必要に応じて前項各号に掲げる措置を講じるとともに、 速やかに次の各号に掲げる措置を講じるよう使用保管等責任者等に要請しなければならない。
  1. 直ちに管理区域内にいる者を管理区域外へ退去させるとともに、汚染区域の給排気系を閉じ、同区域を密閉すること。
  2. 病原体等に対する適切な消毒剤を用いて管理区域の消毒を実施するとともに、管理区域内の安全設備の機能に重大な異常のある場合には、 設備の補修等を実施すること。なお、作業を行う場合は防御具の装着すること、ばく露時間の短縮すること等により、 ばく露をできるかぎり少なくするように努めなければならない。
4 第1項第4号のばく露が発生した場合は、病原体等取扱主任者は必要に応じてばく露者に医師の診断・治療を受けさせるよう指示し、 部局の長に報告しなければならない。
5 部局の長は、ばく露が発生した場合には、原因が究明され、再発防止のための処置が講じられるまで病原体等の取扱い等を再開させてはならない。
6 部局の長は、ばく露の発生に係る記録を総長に報告するとともに、5年間保存しなければならない。
 

第8章 記帳等

(情報管理)
第25条 使用保管等責任者等は、二種病原体等及び三種病原体等について、法律等で定める帳簿を備え、病原体等の保管、使用及び滅菌等に関する事項、 管理区域への入退室、施設の点検、教育訓練の実施等について記帳しなければならない。
2 帳簿は1年ごとに閉鎖し、それを5年間保存しなければならない。

第9章 情報管理

第26条 部局の長は、情報を管理する者に対し、情報の漏洩、盗取等がおこらないよう、次の各号に掲げる適切な管理を行うよう指導しなければならない。
  1. 病原体等の保管、滅菌等に関する書類は、使用時以外施錠された施設、キャビネット等で保管し、 その鍵は使用保管等責任者等又は書類を保管する者が管理すること。
  2. 電子媒体による情報は、保存されたパソコン又は記録媒体に限られた者しかアクセスできないようにパスワードによるセキュリティ管理を行い、 限られた者しか入室できない施錠された室にパソコン及び記録媒体を保管すること。

第10章 事故等の対応

(事故等の対応)
第27条 使用保管等従事者は、病原体等の保管・管理の実施、病原体等の使用に関する記帳を実施する際に、病原体等の保管数、保管庫の施錠等を点検し、 保管する病原体等の異常の有無を確認しなければならない。
2 病原体等の盗取、所在不明その他の事故を発見した者は、次の各号に掲げる措置を行うとともに、直ちに使用保管等責任者に報告しなければならない。
  1. 盗取、所在不明等の病原体等の種類及び量を確認すること。
  2. 窓・扉等の破損等がある場合は、侵入防止のための処置を講じること。
  3. 原因究明に支障を来さないよう、警察等が対応するまでの間、現場の保全を講じること。
  4. 盗取等の際に他の病原体等の容器の破損等があり、当該病原体等の流出により周囲の汚染が考えられる場合は、病原体等の拡散防止を行うこと。
3 使用保管等責任者は、前項の報告を受けたときは、直ちに、発見者氏名、事故発生日時及び場所、病原体等の種類及び量、 事故の概要等の事項について確認の上、部局の長に報告しなければならない。
4 部局の長は、前項の報告を受けたときは、遅滞なく警察等に届け出、かつ、総長に報告するとともに、当該報告に係る事項の原因を究明し、 又は再発防止のための処置を検討するため、必要に応じて調査委員会を設置しなければならない。

第11章 応急措置

(災害時の応急措置)
第28条 部局の長は、地震又は火災による災害が発生し、病原体等の安全管理に関し、この規程の定めによることができないと認めたときは、 直ちに緊急対策本部を設置し総長に報告するとともに、次の各号に掲げる応急措置を講じなければならない。
  1. 管理区域等に火災が起こり、又は延焼するおそれがある場合には、消火又は延焼の防止に努めるとともに、 直ちにその旨を最寄りの消防署等に通報すること。
  2. 感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要がある場合には、管理区域内にいる者、 病原体等の運搬に従事する者又はこれらの付近にいる者に避難するよう警告すること。
  3. 必要に応じて病原体等を安全な場所に移すとともに、病原体等の周囲には、縄を張り、又は標識等を設け、かつ、見張人をつけることにより、 関係者以外の者が立ち入らないための措置を講ずるよう努めること。
  4. その他病原体等による感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するために必要な措置を講ずること。
2 使用保管等従事者は、地震若しく又は火災による災害が発生したとき、又は大規模地震対策特別措置法(昭和53年法律第73号) 第2条第13号に規定する警戒宣言が発せられたときは、直ちに次の各号に掲げる緊急時措置を講じなければならない。
  1. 実験を中止し、病原体等を高濃度消毒槽(2%次亜塩素酸ナトリウム溶液)に投入殺菌又は高圧滅菌器に密封するとともに、 火災の発生にあっては消火又は延焼の防止にあたること。
  2. 管理区域から脱出し、ドアの閉鎖を確認した後、安全管理主任者、使用保管等責任者、管理区域責任者又は部局の長へ災害の発生を通報すること。
  3. 前号により通報を受けた者は、管理区域内にいる者を退去させるとともに、管理区域の給排気系を閉じ管理区域を密封すること。
  4. 必要に応じて病原体等を安全な場所に移すとともに、縄を張り、又は標識を設け、かつ、見張人をつけることにより、 関係者以外の者が立ち入らないための措置等を講ずるよう努めること。
3 前2項各号に掲げる緊急作業を行う場合には、防御具を装着すること、病原体等にばく露する時間を短縮すること等により、 病原体等のばく露をできる限り少なくするように努めなければならない。
4 部局の長は、地震又は火災による災害が発生した場合には、管理区域及び関連する設備等が正常に作動することが確認されるまで実験を再開させてはならない。

第12章 雑則

(雑則)
第29条 この規程に定めるもののほか、病原体等の取扱い等の安全管理に関し必要な事項は、別に定める。

附 則
この規則は、平成21年2月5日から施行する。


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