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特別展示『測地の近代――伊能圖からリモートセンシングまで』

掲載日:2017年3月24日

基本情報

区分 展示
対象者 社会人・一般 / 在学生 / 受験生 / 留学生 / 卒業生 / 企業 / 小学生 / 中学生 / 高校生 / 大学生
開催日(開催期間) 2017年4月14日 — 2017年9月3日
開催場所 その他学内・学外
会場 会場:インターメディアテク2階「GREY CUBE」
    東京都千代田区丸の内2-7-2 KITTE 2・3階
アクセス:JR東京駅丸の内南口徒歩約1分、東京メトロ丸ノ内線東京駅地下道より直結
時間:11:00 - 18:00(金・土は20時まで開館)入館は閉館時間の30分前まで
    *上記時間は変更する場合があります。
休館日:月曜日(月曜日祝日の場合は翌日休館)、その他館が定める日
参加費 無料
申込方法 事前申込不要
お問い合わせ先 03-5777-8600(ハローダイヤル)

 東京大学の有する「至宝」のひとつに「伊能中圖」がある。伊能忠敬(1745-1818)が幕府の命を受けて1800(寛政12)年に作成を開始したとされる八舗組日本地図「大日本沿海輿地全圖」、通称「伊能中圖」は伊能家伝来の由緒正しいものであったが、残念なことに、1923年の関東大震災で「関東部」一舗を消失し、爾来、戦後も長く不完全なままに残されてあった。そのこともあり、デジタル画像処理技術が長足の進歩を遂げた1990年代には、時代を先駆けるかたちで初のデジタル画像化がなされ、別ヴァージョンの「伊能圖」で、焼失した「関東部」を補い、全圖復元が実現した。
 デジタル画像処理技術がより身近なものとなった近年では、国内外に散在する「伊能大圖」、「伊能中圖」の諸異版、「伊能圖」の画稿史料、さらにはそれらの遺産の上に成立したと考えられる「官版実測日本地圖」等々の画像データの蓄積が進み、測地法、精確度、作圖法、転写法について、相互比較研究も目覚ましく進化してきている。
 総合研究博物館では、近代地圖を核とする包括的なデータベース「学術標本グローバルベース」の構築を館の基盤事業の一つとしてきたという経緯もあり、今般、「伊能圖」以降の近代地圖における工人技術から、航空写真や衛星写真のデジタル地図を可能にしたリモートセンシング技術まで、測地法の史的な展開をいまいちど振り返ってみることにした。

主 催:東京大学総合研究博物館

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 空を飛ぶ夢を見たことがあるだろうか。幼少期にそのような思い出のある方は少なからずいるに違いない。大人になると、物事の分別がつき、現実をわきまえるようになり、次第にそのような夢は見なくなる。あるいは、航空機の発達した現代、空を飛ぶということはありふれたこととして、興味もなくなる。しかし、中には、そのような夢をずっと見続けた人がいる。
 空を飛ぶことと、空を飛ぶ夢を追いかけるということは、似ているが異なる。空を飛んだ人物といえば、ライト兄弟(1867-1912, 1871-1948)やリンドバーグ(1902-1974)などを思い浮かべるかもしれない。空を飛ぶ夢を追いかけた人物といえば、カッシーニ一族、伊能忠敬(1745-1818)、これらカルトグラファー(地図製作者)と呼ばれる人物たちを称するならば、航空機よりずっと高いところへ舞い上がっていった精神が、遥か彼方の下方に見る世界の形を、科学的な洞察と方法論によって導出しようとする人たちと言える。
 伊能忠敬は地球の大きさを知るべく街道を歩き伊能図を完成させた。その制作過程から考えれば、この地図は地上の街区を表しており、人工衛星NOAAが撮影した夜間の日本列島の画像と酷似している。ジョヴァンニ・カッシーニ(1625-1712)がフランスから世界に旅立つ神父たちに望遠鏡を持たせ、彼らが計測した各地の経緯度を大きな地図にプロットした。この地図は現在は残っていないが、おそらくアフリカやアジアの各都市が、NOAAの夜間の世界画像のように浮き上がっているものだったに違いない。カルトグラファーはリンドバーグのように空を飛ぶことはないが「測地」という目をもって、世界の灯を視ていたのだ。
 現代、航空機や人工衛星を用いた「測地」技術が発達している。リモートセンシングと呼ばれるものであるが、伊能忠敬の見た世界、あるいは、その他のカルトグラファーや、現代のリモートセンシングが見る世界の形を、東京大学等が保有する貴重な資料と画像データによって可視化する。





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