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「平成28年度東京大学卓越研究員」20名決定

掲載日:2016年10月11日

 本学では、若手研究者が自らの発想によって自立して研究に取り組む環境を整えるため、若手の安定雇用の促進と研究教育活動の支援を目的として、平成28年度から「東京大学卓越研究員」制度を開始いたしました。

 この制度は、採用後3年以内の若手PI(Principal Investigator: 研究室を主宰、又は独立して研究テーマを設定・遂行する者で原則40歳未満の研究者)を対象に、部局長から推薦のあった者を審査のうえ「東京大学卓越研究員」に認定し、スタートアップ経費(300万円/年)を2年間支援するものです。

 今年度は、学内の研究科、研究所、センターから52名の候補者の推薦があり、推薦理由や研究業績、文系・理系のバランスの配慮などに基づいて慎重に審査が行なわれ、先ごろ「平成28年度東京大学卓越研究員」20名が決定されました。
平成28年度東京大学卓越研究員一覧

 去る10月5日(水)には、東京大学卓越研究員に決定された若手研究者と総長との懇談会が、大講堂(安田講堂)特別会議室で開催されました。総長からは今後の活躍への期待、東京大学卓越研究員からは謝辞と各自の研究内容や今後の抱負などが述べられ、和やかな雰囲気の中で懇談が行われました。

 またこれと併せて、本学では、優れた若手研究者を部局財源によって安定雇用する部局を支援する制度も開始しました。今年度は当該取り組みを行う8部局に対して、対象となる若手研究者の支援に使用可能な雇用安定化促進経費(300万円/年)を3年間、全学として支援することを決定しました。
 

(総長談話)

 先日、東京大学とも縁の深い、大隅良典先生のノーベル医学生理学賞受賞決定という大変嬉しいニュースが入ってきました。大隅先生は、本学理学部植物学科の助手、講師を経て、ご自身の出身学科である本学の教養学部基礎科学科ではじめて研究室を主宰されました。大隅先生は研究室の立ちあげに際し、新たな課題に挑戦することを決意され、今回、受賞対象となった、酵母菌のオートファジーの発見に至ったと伺っております。昨年度の梶田隆章教授に続き、本学で育まれた研究がノーベル賞受賞という形で評価されたことを、大変嬉しく思います。梶田先生のお言葉を借りれば、これらの業績は、「人類の知の地平を広げる」ことへの貢献です。本学はこの良き伝統をしっかり守らなければならないと、決意を新たにしているところです。

 その為には、研究者が自らの発想と価値観を持ち、それを信じて、じっくり研究に取り組むことができる環境が不可欠です。我が国では、2004年に国立大学は法人化され、各大学は自律的な経営が求められるようになりました。この間、研究者の提案のもとで審査を経て給付される研究費の総額は増えています。しかし一方で、日々の研究教育活動をささえる基盤的な予算は大幅に縮小してしまいました。この変化によって、結果の見通しがすぐにはつかない、誰のまねでもない、新しい発想に基づく研究に取り組むことが大変難しくなってしまっているのです。有為な若手研究者を集める東京大学は、大学としてのスケールメリットを活かし、こうした状況を打開すべきであると、私は考えました。そしてこれを昨年10月22日に公表した「東京大学ビジョン2020」に明記しました。

 これを受け、本年度から「東京大学卓越研究員」制度をスタートさせることと致しました。若手研究者が、安心してじっくり新たな課題に挑戦できる環境を構築するための第一歩です。今回の支援規模は、研究分野によっては必ずしも十分とは言えないかもしれませんが、全学からの応援のメッセージと捉えて頂きたいのです。これをきっかけとして、多くの若手研究者、それに続く博士・修士の大学院学生が安心して学問に人生をかけたいと感じてもらえるような場をこの東京大学に創っていきたいと思っています。

 この度、「東京大学卓越研究員」として選定された20名の研究者はいずれも意欲溢れる有望な方々で、大変心強く感じております。選ばれた研究者は、今後、学内外において「平成28年度東京大学卓越研究員」と称することが可能となります。選ばれた皆さんには、今回の支援を是非有効に活用し、より一層、研究に邁進されるよう心より期待しております。
 

平成28年10月11日
東京大学総長 五神 真

対象者: 社会人・一般 / 在学生 / 受験生 / 留学生 / 卒業生 / 企業





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