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アジア初のマルクス・ヴァーレンベリ賞を受賞 - 磯貝明教授、齋藤継之准教授らがスウェーデン国王より授与 - (農学生命科学研究科・農学部)

2015年10月08日掲載

実施日: 2015年09月28日

 本学大学院農学生命科学研究科、生物材料科学専攻の磯貝明教授、齋藤継之准教授が、TEMPO触媒酸化(注1)により木材パルプ(注2)からセルロースナノファイバー(注3)を高効率で生産する方法を開発した業績により、元同研究科助教で現在フランス国立科学研究センター植物高分子研究所(CERMAV-CNRS)上級研究員の西山義春博士と共に、マルクス・ヴァーレンベリ賞を受賞しました。
 マルクス・ヴァーレンベリ賞は、森林・木材科学分野、関連生物学分野における基礎研究や、森林資源の有効活用に資する技術開発を奨励し、促すことを目的に創設された賞であり、「森のノーベル賞」とも言われています。ヴァーレンベリ財団が毎年1名もしくは1グループを表彰し、スウェーデン国王より授与されます。磯貝明教授、齋藤継之准教授、西山義春博士のグループは、1981年の創設以来、アジアから初めての受賞となります。
 セルロースナノファイバーは、鋼鉄の5分の1の軽さで5倍強いとも言われ、木材由来の新素材として近年注目されています。日本再興戦略の一つとしてセルロースナノファイバー関連の研究推進が宣言されており、経済産業省主導の「ナノセルロースフォーラム」も設立され、現在国内150社以上の企業が参画しています。受賞対象となった研究業績は、セルロースナノファイバーの産業利用を躍進させた技術です(注3)。セルロースナノファイバーの産業利用により、グローバルな森林資源の有効活用が進み、低炭素社会の構築につながる新産業創出にも期待が寄せられています。
 
マルクス・ヴァーレンベリ賞については、同賞のウェブサイトもご参照ください。
http://mwp.org/
プレスリリース(日本語)
http://mwp.org/content/uploads/2015/03/MWP-2015-press-release-Announcement-JAPANESE.pdf
表彰理由(日本語)
http://mwp.org/content/uploads/2015/03/MWP-2015-Award-Full-motivation-JAPANESE.pdf

注1:TEMPO触媒酸化
 安定なニトロキシラジカル種であるTEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル)を触媒とする酸化反応であり、多糖の1級水酸基を選択的にカルボキシ基へと酸化することができます。木材パルプにTEMPO触媒酸化を適用すると、木材パルプを構成するセルロースナノファイバーの表面に作用し、表面の1級水酸基(約1.7基/nm2)を全て、カルボキシ基へと酸化することができます。TEMPO触媒酸化されたセルロースナノファイバー表面は、高密度のカルボキシ基で覆われた状態になります。水中でこれらの表面カルボキシ基が電離するため、結束したセルロースナノファイバー間に著しい斥力が働きます。酸化後の木材パルプに水を加え、家庭用ミキサー程度の機械的な処理を加えれば、木材パルプがセルロースナノファイバーへと解けていきます。
 
注2:木材パルプ
 木材を機械的または化学的に処理して製造される、幅が数十ミクロン、長さが数ミリの繊維状物質であり、紙の原料として汎用な身近な素材です。木材パルプの繊維1本は、約100億本とも言われる無数のセルロースナノファイバーが強く結束した構造体です。
 
注3:セルロースナノファイバー
 木材パルプを構成する構造単位であり、幅が約3ナノメートル、長さが数ミクロンの繊維状物質です。従来、木材パルプを微細化し、ナノレベルまで解くためには、30,000 kWh/tonものエネルギーを必要としましたが、今回の受賞対象技術により、消費エネルギー量を百分の一(100~500 kWh/ton)に低減できるようになりました。





 
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