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ロシア国立歴史文書館長らを招聘して「日露関係史料をめぐる国際研究集会」を開催

掲載日:2016年5月30日

実施日: 2016年05月24日

 5月24日(火)、史料編纂所(山家浩樹所長)では日本学士院と共催による「日露関係史料をめぐる国際研究集会」を開催しました。同研究所では、ロシアに所在する日本関係史料の系統的な調査・研究と収集に取り組み、現地の研究機関と協力して国際研究集会や共同研究を継続しています。今回の研究集会は通算16回目、ロシアの旧都サンクトペテルブルクから3名の研究者を招聘してロシアの文書館が所蔵する史料群に基づいた報告をお願いしました。当日は3本の報告が行われ、参加者は全国からの専門研究者を含む約60名でした。

 研究集会では山家所長が挨拶に立ち、この前日、ロシア国立海軍文書館との研究交流覚書に調印し、共同研究の継続が図られることになったこと、また、ロシア国立歴史文書館の前館長アレクサンドル・ソコロフ教授(サンクトペテルブルク国立大学)が史料編纂所との長年の研究交流を評価され、春の叙勲で旭日中綬章となったことを報告し、祝意を表しました。
 次に、第1報告では、ロシア科学アカデミー東洋古籍文献研究所ワジム・クリモフ上級研究員から「1862年日本使節団が見たサンクトペテルブルクのイズレル興行施設と漕艇競技大会」と題した報告が行われ、文久遣欧使節団の異文化交流のありさまが、現地のさまざまな雑誌や新聞記事を用いて活き活きと紹介されました。
 第2報告はロシア国立海軍文書館ワレンチン・スミルノフ館長でした。館長は今回初参加で、ロシア海軍水路部海図局長もつとめた海図の専門家です。報告は「1880年代ロシア海軍水路測量家たちによる日本沿岸海図の出版-海軍文書館史料より―」と題し、日本沿岸の海図がロシア海軍によって複製刊行される過程を丹念に紹介しました。
 第3報告は、ロシア国立歴史文書館セルゲイ・チェルニャフスキー館長による「1916年閑院宮載仁親王のロシア訪問―来露100年を記念して―」でした。ロシア革命の直前にサンクトペテルブルクを訪問した閑院宮を歓迎する様子が儀典局の史料などから復元され、さらに100年前の貴重なフィルム映像が紹介されました。
 ロシア史料にもとづく3報告に対し、活発な議論も行われ、意義深い研究集会となりました。最後にプロジェクト責任者の保谷徹教授から、ロシアの両文書館から今回も1000コマほどのデジタル撮影データを受理し、日本や東アジアに関係する帝政ロシア政府史料の調査と目録刊行事業が進展していることが報告されました。

 この国際研究集会は、日本学士院から委嘱され、その支援をうけた国際学士院連合関連プロジェクト「未刊行日本関係史料調査事業」の一環として実施しています。研究集会に先立ち、ロシアから招へいした3人は、日本学士院(杉村隆院長)を訪問し、塩野宏幹事・斯波義信会員と懇談しました。また、研究集会の翌日から報告者らは京都へ出張し、京都御所や旧閑院宮邸、日露戦争の捕虜収容所となった東福寺、京都ハリストス教会など、日露の歴史にかかわる場所を見学しました。



ロシア国立海軍文書館との研究協力覚書の締結

書庫を見学するロシア文書館長たち

国際研究集会会場の様子
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