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梶田教授ノーベル賞受賞記念 連続講演会「私たちはどこから来たのか?」

掲載日:2016年4月1日

実施日: 2016年03月27日

2016年3月27日 (日)、カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) は、梶田教授ノーベル賞受賞記念 連続講演会「私たちはどこから来たのか?ーニュートリノのノーベル賞の先」を東京大学 安田講堂 (本郷キャンパス内) で開催しました。本講演会は、昨年、宇宙線研究所所長で Kavli IPMU の主任研究員でもある梶田隆章教授が"大気ニュートリノ振動"の発見により2015年のノーベル物理学賞を受賞したことを記念して開催される連続講演会の初回を担うもので、約470名の一般の方の参加がありました。

はじめに、マーク・ベイギンズ Kavli IPMU 教授が「母なる超新星は私たちの素になる元素を産んでくれた?」と題した講演では、この世界を構成する最も基本的な要素探求の歴史を振り返ってから、東京大学の小柴昌俊特別栄誉教授の2002年ノーベル賞物理学賞受賞を導いた、スーパーカミオカンデの前身であるカミオカンデを用いた超新星爆発で発せられたニュートリノの観測を紹介しました。
超新星爆発により飛散した元素が我々という存在を構成していることから、超新星爆発を”母”に例えるユーモア溢れる講演となりました。最後に、2018年に予定されている、スーパーカミオカンデにガドリニウムを加え感度を上げ、超新星背景ニュートリノをより高精度に観測する計画について紹介しました。

次に、村山斉 Kavli IPMU 機構長による「父なるニュートリノは私たちを完全消滅から救ってくれた?」の講演では梶田教授のノーベル賞受賞につながった大気ニュートリノ振動研究について、ニュートリノ研究の背景となる歴史的経緯を振り返りながら解説し、100年かけて作り上げた標準模型で説明しきれない歴史的な業績であることを紹介しました。
他にも、宇宙誕生直後には物質と反物質が同量存在したものの、反物質が消え我々の存在する物質の世界となったこと、それが小林・益川理論が説明する物質と反物質の性質の違いのみではまだ説明しきれないこと、を紹介しました。そこで、ニュートリノが物資と反物質を入れ替えるのに重要な役割を果たしているとする福来・柳田理論を紹介し、今後の検証が待たれることを説明しました。我々の存在に繋がる重要性からニュートリノを父と例え、映画や小説も引用する軽妙な講演となりました。

終了後のアンケートでは、「とても面白かった。高校でも理系科目を頑張りたいと思える講演だった」「日本人以外の研究者の講演を聞く機会はあまりないのでとても新鮮でした」「梶田教授及びチームのノーベル賞受賞の意義やバックグラウンドがよくわかり、日本の研究水準の高さも理解出来た。平易な講演であったので第一線の研究成果を身近に感じる事が出来た」など多くの感想が寄せられ、多くの方にとって本講演会が科学の面白さとその意義を改めて発見するよい契機となったことが伺えました。



当日は多くの来場者で賑わいました

村山斉 Kavli IPMU機構長による講演「父なるニュートリノは私たちを完全消滅から救ってくれた?」

マーク・ベイギンズ Kavli IPMU教授による「母なる超新星は私たちの素になる元素を産んでくれた?」
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