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2016年 五神総長年頭挨拶

掲載日:2016年1月1日

実施日: 2016年01月01日

明けましておめでとうございます。
皆さまにおかれましては、つつがなく新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。

昨年4月に総長に就任し、東京大学の舵取りという大役を仰せつかりました。就任後の半年間、新たな時代に向けて東京大学をよりよい形にするためになすべき事を内外の皆様とご相談しながら考えてまいりました。そしてその方針を先頃、東京大学ビジョン2020としてまとめ、公表いたしました。

昨年10月には、宇宙線研究所所長の梶田隆章教授がノーベル物理学賞を受賞するという、大変嬉しいニュースが入りました。私も光栄にも12月のストックホルムでの受賞式に参加させていただき、晴れがましい感動を共有する機会に恵まれました。

梶田教授率いるグループの「素粒子ニュートリノが質量を持つことを示すニュートリノ振動の発見」は、20世紀後半に完成した素粒子物理学の標準理論を問い直す、大変画期的な業績です。教授自身の言葉を借りれば、まさに「人類の知の地平を広げる」研究と言えるでしょう。物理学賞の選考委員長を務めるスウェーデンルント大学のアンネ・ルイリエ教授は、「多くの人に感動を与えるすばらしい業績」と評しています。この研究は東京大学が主導したものですが、国内他大学や海外からの多くの研究者を巻き込んだ大がかりな実験研究です。構想から約40年に及ぶこの研究が大きく花開いたのは、学術研究に対する、皆さまの深いご理解と力強いご支援の賜であり、あらためて心より感謝申し上げる次第です。このような成果を東京大学から生みだすことが出来たことを誇りに思うと共に、世界から賞賛を得て日本社会が活気づいたことを大変喜ばしく感じています。

梶田教授や大村智北里大学特別栄誉教授のノーベル賞受賞が象徴するように、日本にはアジアの学術先進国としての豊かな蓄積があります。このお二人のように、知をもって人類社会に貢献することに果敢に挑戦する「知のプロフェッショナル」を育成し続けることが、東京大学の最も重要な責務であると考えております。

国立大学の法人化以降、東京大学を取り巻く環境は大きく変わりました。大学は従来の伝統を堅持しながらも、時代の要請に的確かつ柔軟に応えうる形に転換せねばなりません。これまでの約140年間にわたる国民の支援の蓄積を活用しつつ、次の70年の人類社会のあるべき姿を描き、それに向けた道筋をつけるために、今こそ実際に行動することが必要だと考えます。

長年培ってきた伝統の重さとその価値を正しく見極めながら、知の探求を知の活用へとつなげる「知の協創の世界拠点」を創っていきます。東京大学の新たな姿を全学の構成員で共有し、総力を結集して改革を力強く進めてまいります。

最後に、新しい年が皆さまにとって更に良い年になるよう祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

 



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