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世界の卒業生紹介2/ゲーム理論の本場で准教授となった菅谷拓生さん|広報誌「淡青」34号より 

掲載日:2017年3月23日

実施日: 2017年03月07日

文系から理系、ビジネスから学究、芸術から政策と縦横無尽に地球規模で活躍する東大卒業生14名の姿から、世界と共にある東大を浮き彫りにします。
 

ゲーム理論の本場を目指して海を渡った経済学者
菅谷拓生さん Takuo Sugaya
(https://www.gsb.stanford.edu/faculty-research/faculty/takuo-sugaya)
スタンフォード大学 准教授
2007年経済学研究科修士課程修了(2004年度総長賞受賞)


 教養学部後期課程から経済学研究科に進み、プリンストン大学でPh.Dを得た菅谷さんは、現在スタンフォード大学の経営大学院で准教授として教育・研究活動を行っています。専門はゲーム理論。ミクロ経済学の代表的な分野です。

 「たとえば、同じ業界の企業同士はときに協力して価格をつり上げる行動、談合を行います。最近私が着目しているのは、1990年代に見られたビタミンに関する談合で成否を分けた条件。そうした状況下で長期的関係に基づいてどんな協調行動が見られるのかを数学的モデルで分析する研究を行っています」

 教育活動の面では、博士課程の学生3~4人の論文指導を担当し、修士の学生約50人にミクロ経済の授業を行う立場。授業評定で「英語が聞き取りにくい」と書かれたことがあり、今でも必ず一度リハーサルをしてから授業に臨む、と准教授。言葉の苦労があってでも海外に渡ったのはなぜでしょうか。
 

大学時代の菅谷さん

初めてアメリカに行ったときの一枚。


 「ゲーム理論の世界ではプリンストン、イエール、スタンフォードが三本の指に入る研究のメッカだからです。研究科の先生や同期のほとんどがアメリカに留学していたという環境にいるうち、私も自然とそういう気持ちになっていました」

 欧米での知名度が低いと言われがちな東大ですが、経済学の分野ではさにあらず。特にスタンフォードでは東大出身の理論経済学者が何人も活躍してきた歴史があり、その系譜に名を連ねる一人が菅谷さんなのです。海外生活が10年目を迎えた昨年には、プリンストン時代にともに経済学を学んだニューヨーク出身の女性と結婚し、ますますモチベーションが上がる准教授。日本の大学に戻るという選択肢はもうない?

 「妻は日本語が全然できないので、日本に移り住むのは結構ハードルが高いですね。私の場合、あと2年でテニュアトラックの審査を受けることになるので、その結果次第ですが」

 もし東大が菅谷さんと密な協調行動を取りたいならば、日本語が話せない人でも暮らしやすいキャンパス環境を2年以内に実現する必要がありそうです。
 

おまけQ&A
東大時代にやっていたサークルは?
「フィロムジカ交響楽団です。2年生のときは副団長でした」
担当していたビオラについて一言を。
「バイオリンほど派手ではない点が自分に合っていると思う」
東大で好きだった場所は?
「赤門総合研究棟の院生部屋と、駒場のキャンパスプラザ」
アメリカの大学と比較して東大の特徴は?
「学生の質が、前者は上と下が厚く、東大は中間が厚いと感じます」


※本記事は広報誌「淡青」34号の記事から抜粋して掲載しています。PDF版は淡青ページをご覧ください。

 


「学部では川人博先生の「法と社会と人権」ゼミでやったフィールドワークが印象的でした」 写真:貝塚 純一
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