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世界の卒業生紹介4/平凡な会社員から国際機関の長となった河合美宏さん|広報誌「淡青」34号より (広報室)

2017年04月06日掲載

実施日: 2017年03月07日

文系から理系、ビジネスから学究、芸術から政策と縦横無尽に地球規模で活躍する東大卒業生14名の姿から、世界と共にある東大を浮き彫りにします。
 

平凡なサラリーマンから保険監督の国際機関トップに
河合美宏さん Yoshihiro Kawai
http://www.iaisweb.org)
保険監督者国際機構(IAIS) 事務局長
1983年教育学部卒業


 150ヵ国の保険規制当局からなる保険監督者国際機構(IAIS)。バーゼルに本部があるこの機構に事務局創設時から関わり、2003年からは事務局長として世界金融の秩序に貢献してきたのが河合さんです。

 「最近力を入れてきたのが、Too big to failと呼ばれる世界的な影響力を持つ金融機関に対するルールの整備と保険会社に対する資本規制の国際基準設定です。リーマンショックを機に着手し、最終局面に入った段階です」

 スイス生活19年、国際出張は年100日超という事務局長ですが、東大卒業後に国際的な仕事に憧れて入った東京海上では埼玉勤務。国内業務ばかりで全然国際的ではなく、大して英語もできなかったそう。転機は労働省出向時の海外出張でした。一つはパリのOECD。ここでは会社に入った時の志を新たにしました。もう一つは政策調査で訪れたロンドン。そこではある女性との出会いがありました。

 「先輩の紹介で休日に街を案内してもらったんです。海外の第一線でファンドマネージャーとして活躍する彼女がまぶしくて、大きな刺激を受けました。現在の妻です」
 

昔の河合さん

2006年頃の夏、バーゼル地区の対抗戦にて。
 


 結婚を機に河合さんは奥様のいるパリに移り、INSEAD経営大学院でMBAを取得。OECDで国際金融などを担当後、ロンドンのCity Universityで金融規制の博士号を取得。請われてポーランド蔵相の顧問として働いていた頃にIAIS創設を知り、「天職だ」と直感、公募に応じて1998年に事務局次長へ。その後、アメリカ代表との一騎打ちとなった選挙に勝って事務局長に就任。全会一致での再選を重ね現在4期目を迎えています。この間、IAISはG20首脳からも高く評価される国際機関へと成長しました。しかし、英語が得意でなかったのに国際機関の長として長年活躍するのは大変だったのでは?

 「大変だったらこんなに長くやらないですよ。国際金融に貢献する仕事はやりがいが大きい。すぐにうまくはいかないけど、言葉はスポーツと同じで、繰り返しているうちにできることが増え、それが楽しくなってくるんです」

 中学からテニスでならし、高校では全国十傑に入った河合さん。東大庭球部ではラリーで先にミスしないことから「壁」と呼ばれたという紳士が、一瞬不敵な笑みを見せました。
 

おまけQ&A
東大で学んだことは?
「自ら調べ、自ら考える姿勢。主体性を持って学ぶ姿勢」
東大時代の思い出の場所は?
「法文2号館下。部のランニングの最後にスパートする場所でした」
後輩たちに伝えたいメッセージは?
「The world is global. We need a global solution.」
今後の展望は?
「機構は20年が区切り。後は若者に経験を伝える仕事をしたいです」


※本記事は広報誌「淡青」34号の記事から抜粋して掲載しています。PDF版は淡青ページをご覧ください。



「教育学部での専門は日独の教育比較研究。天野郁夫先生や松原治先生に薫陶を受けました」 写真:貝塚 純一
 
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