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Think Cubic | UTOKYO VOICES 008 (広報戦略本部)

2018年02月06日掲載

実施日: 2017年12月01日

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大学院新領域創成科学研究科 社会文化環境学専攻 教授 出口 敦

Think Cubic

「Think Cubic─立体的に考える」

それが出口の研究スタイルだ。そこから、「都市計画は太陽エネルギーの恩恵をどう配分するかなんです」という斬新な発想が生まれ、新しい都市が構想・造形される。

通常、都市計画や建築はXY軸の平面で考えるが、現実の空間は3次元でありZ軸が必要となる。だから、出口は「必ず立体模型をつくって検討します」。ただ、Z軸は高さではなく、時間やエネルギーなどでもいい。それによって、都市は時系列やエネルギー配分での把握が可能になる。これが、Think Cubic。

Z軸を時間とすれば、「今の時代の正解が、10年後には正解ではないこともあります」。例えば、80年代前半のバブル直前の頃は高齢社会は潜伏しており、ニュータウン開発全盛で若いファミリー世帯のための施設とセットだった。ところがバブルが崩壊し高齢社会が顕現すると、都市に求められる機能は大きく変わり、今では高齢者が住みやすい街づくりが課題だ。

「都市計画には変化していくことを前提としたデザインが必要であり、変化する時代背景とセットで考えなければなりません。そこがまた面白いのです」と話す出口が、都市工学に進んだきっかけは、青焼図面と代々木競技場にある。

渋谷生まれ渋谷育ちの出口は、幼少の頃、建築設備関係の仕事をしていた父が持ち帰ってきた青焼図面に絵を描いて遊び、小学生の頃は代々木競技場を遊び場にしていた。「20世紀建築の最高傑作と言える代々木競技場を設計した丹下健三先生に憧れて」東大に入学し、「都市をつくりたい、大きい物をつくりたいと思い、都市工学科に入りました」。

しかし学部時代は、中学・高校から続けていたラグビーに明け暮れ、研究者になるつもりはなかったという。大学院に入ってから本格的に専門の勉強を始め、CGのソリッドモデルやレンダリングソフトをつくり、都市空間の環境影響評価に応用したことが研究者へと導いた。

その後、1993年4月に赴任した九州大学で、30代という若さで「九州大学新キャンパスマスタープラン2001」立案の責任者に抜擢され、「270ヘクタールという用地に、新時代の大学キャンパス像を具体化する計画と設計」という実務につながった。しかも、建設予定地から出土した遺跡保存や自然・生態系保全とキャンパス建設を両立させたキャンパス計画(現在の伊都キャンパス)が、土木学会環境賞や米国マンスフィールド賞を受賞するなど高い評価を得ている。

小物

Memento

今でこそ都市計画に不可欠な方位や位置測定はGPSで容易にできるが、80年代の頃はコンパスが威力を発揮した。今もお世話になったコンパスと腕時計のセットを愛用している。

直筆コメント

Maxim

研究も人間関係も立体的に思考することが大切。都市計画は時代背景とセットで、人間関係も上下・左右にネットワークを加えた3次元で考えると道は拓ける。

東大に戻ってからも、最先端のスマートシティとして海外からも注目されている柏市柏の葉で、公・民・学連携による国際学術研究都市・次世代環境都市づくりをリードするアーバンデザインセンター(UDCK)のセンター長として研究を実務に応用。また、現在は総長特任補佐(柏整備担当)とキャンパス計画室長を務め、「不易と変化(変わってはいけない不易の空間(伝統)と、時代の要請に応じてつくり替えていく空間)が共存するキャンパスづくりを目指す」。

出口の研究のベースにあるのがThink Cubicだが、これは人間関係にも応用できる。「多くの人は上下(上司や部下)・左右(同僚等)の2次元で動いていますが、実際には立体ネットワークなのです。特に都市計画はモノではなく人を相手にした分野ですから人のネットワークを理解する軸も大切です。また、いざという時にはこれまで培ってきた人のネットワークが威力を発揮します」。人間関係も立体的に考えていれば、困難を乗り越えることができるはずだ。

取材・文/佐原 勉、撮影/今村拓馬

プロフィール画像

出口 敦(でぐち・あつし)
1984年3月 東京大学工学部都市工学科卒業、1990年3月 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻・博士課程修了(工学博士)。九州大学工学部建築学科・助教授、九州大学大学院人間環境学研究院都市・建築学部門・教授を経て、2011年4月より現職。2012年日本建築学会教育賞(教育貢献)(団体)、2015年度・2016年度日本都市計画学会石川賞、2013年・2015年グッドデザイン賞ほか、受賞歴も多数ある。

関連URL:UTOKYO VOICES 一覧




 
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