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第6回UTokyo Research, on siteが医科学研究所で行われました

掲載日:2015年7月30日

実施日: 2015年07月10日

UTokyo Research, on siteの第6回が、2015年7月10日(金)白金台キャンパスの医科学研究所で行われました。UTokyo Research, on siteとは東京大学本部広報室が企画するイベントで、駐日海外メディアや大使館の科学技術アタッシェ等を対象に、本学の研究を英語で紹介するものです。普段は入ることのできない研究室を海外のメディアや大使館関係者に実際に見てもらうことで、東京大学の研究を知っていただくことがイベントの主な目的です。医科学研究所で行われた今回のイベントには、海外メディア2名、大使館の科学アタッシェ11名、大使1名(パキスタン大使)の計14名が参加しました。イベント前半は医科学研究所の所長および教員によるプレゼンテーション、交流会を兼ねたコーヒーブレイクをはさんでイベント後半は医科学研究所の研究室見学ツアーという構成で行われました。

広報室長の鈴木真二教授のあいさつで始まったイベントの前半では、まずは医科学研究所所長の村上善則教授がプレゼンテーションをしました。村上所長は2017年に創立125周年および改組50周年の節目を迎える医科学研究所の簡単な歴史を振り返り、ヒトゲノム解析センターやバイオバンク・ジャパンの取り組みや、この4月に新しく設立されたゲノム医科学研究機構について紹介しながらヒトゲノム情報を蓄積する重要性を伝えていました。続いてヘルスインテリジェンスセンターの井元清哉教授が、ゲノム解析に数学の理論とスーパーコンピュータを活用することががん患者の予後を予測するのに有効であることを説明しました。最後に公共政策研究分野の武藤香織教授が、ヒトゲノム解析やデータ蓄積に従事する研究者の倫理意識を高めることの重要性および一般国民のバイオバンク・ジャパンに対する理解を促進する取り組みについて説明しました。質疑応答の時間には、参加者からゲノム解析の倫理意識の各国の違いにどう対応するのか、ヒトゲノム解析分野でどのように産学連携をすすめているのかなど多くの質問が参加者から寄せられていました。

続いて近代医科学記念館のカフェでコーヒーブレイクが行われ、プレゼンテーションとはまた違ったリラックスした雰囲気の中で、講演者と参加者が軽食を取りながら情報交換を行いました。各国の大使館関係者や海外メディアは、医科学研究所の研究に大きな関心を寄せており、新たな交流を目指して積極的に質問をしていました。

その後にイベント後半の医科学研究所の研究室を回るツアーが始まり、バイオバンク・ジャパンのDNA倉庫、血清倉庫、組織バンクそしてスーパーコンピュータShirokane3を見学しました。バイオバンク・ジャパンは疾病を持つ患者のゲノム情報を集積することで疾病予防や治療に役立てることを目的に設立されたプロジェクトで、関連施設では情報提供に同意した患者さんのDNAや血清などが最新設備を駆使して保存されている様子を見学することができました。

また、スーパーコンピュータShirokane3の見学では、Shirokane3の優れた性能(422 TFLOPS)とストレージ能力(高速ストレージ:12PiB、アーカイブディスク:1PiB+21PB)がゲノム解析に活用されていることの説明を受けました。人間1人の全ゲノム配列のデータは100ギガバイト以上となるため、優れたストレージ能力が必要とされるとのことでした。参加者はその高性能に感心しただけでなく、間接外気冷却システムという水の気化現象を利用して室内の空気の熱を外気に放出し空調の使用を抑えるエコの取り組みを、スパコンの室内とは思えないほど暑い室内で身をもって体験することになりました。イベント当日は晴天で外気温は29度近く、室内は汗ばむほどの温度(サーバーの排気はなんと36.5度)だったのですが、暑がる参加者をよそにShirokane3は何事もなく稼働していました。

普段は見ることのできない施設を見学できた参加者は、バイオバンク・ジャパンの詳細やスーパーコンピュータの今後の改良予定など様々な質問をしていました。医科学研究所の研究に対する関心の高さがうかがわれた半日でした。



プレゼン後に村上所長に熱心に質問する海外ジャーナリスト

最新設備を駆使した血清倉庫

Shirokane3の性能を説明する井元教授
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