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東大発ナノテクノロジーを知ってもらいたい:第7回On-site@工学系研究科総合研究機構

掲載日:2016年3月4日

実施日: 2016年02月29日

UTokyo Research, on site*の第7回が、2016年2月29日(月)浅野キャンパスの工学系研究科総合研究機構で開催されました。「ナノテクノロジー」をテーマにした今回のイベントには、海外メディア4名、大使館の科学アタッシェ3名の計7名が参加しました。イベントはまず広報室長の鈴木真二教授のあいさつで始まり、続いて総合研究機構の機構長および教員によるプレゼンテーションが行われました。コーヒーブレイクでしばしの交流を楽しんだ後、イベント後半となる研究室見学ツアーが始まりました。

プレゼンテーションではまず、機構長の寺井隆行教授が総合研究機構について概略を説明し、ナノテクノロジーを活用した新素材開発によって低炭素社会実現に貢献する機構の使命について語りました。続いてナノ計測センターの柴田直哉准教授が、物質のナノ構造の特性をより正確に把握するために、最新テクノロジーを駆使した走査型透過電子顕微鏡(STEM)を日本の企業と協力して開発していることを伝えました。プレゼンの途中にも参加者から質問が飛び出し、柴田准教授はそれに対して熱心に答えて持ち時間が延長になるほどでした。最後に大矢忍准教授が、武田先端知ビルにあるスーパークリーンルームの設備を紹介して「山手線内で空気が一番きれいな場所」と宣言した後で、クリーンルームで行われているナノ素材やスピントロニクスを使った装置の研究を紹介しました。

コーヒーブレイクでは、参加者は発表者のところへ赴いて、プレゼン中に質問し足りなかったことを熱心に聞いて回っていました。質問するほうも答えるほうも真剣そのもので、双方向のディスカッションを満喫していました。こうしたやり取りは、続いて行われた研究室見学ツアーでも続いていきました。

研究室見学は、電子顕微鏡を見て回るツアーと武田スーパークリーンルームを見学するツアーの2種類行われました。総合研究機構は電子顕微鏡の分野で世界をリードする組織だけあって、様々な種類の電子顕微鏡を見学することができました。建物3階分を占める巨大な超高圧電子顕微鏡は、今では新技術に道を譲った感がありますが、柴田准教授が学生の頃は超高圧電子顕微鏡の全盛期で、電車や車の往来がなくなり電磁波の干渉を受けづらくなる「夜中の2時から4時が」最高の測定タイミングだったそうです。SEMは物質の表面を観察するためにすぐれた顕微鏡で、参加者はアリや花粉の微細な構造をライブで楽しみました。電子顕微鏡ツアーのハイライトは、東京大学が日本電子と共同で開発した2014年の世界最高記録の分解能(どれだけ小さなものを見分けられるかという性能を示す)0.045ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)を誇るSTEMの見学でした。

武田スーパークリーンルームのツアーでは、参加者は防塵服の完全装備で空気シャワーを浴びてから入室するという、めったにできない体験をしました。「山手線内で一番空気がきれいな場所」の名前の通り、花粉症の心配することもなく設備の見学を堪能することができました。このクリーンルームは申請をすれば大学や研究機関、民間の組織など誰でも利用することができるそうで、東京大学の産学連携に貢献しているようでした。

ツアー終了後に行われた再度の質疑応答では、参加者は矢継ぎ早に、東大のナノテクノロジーを活用してどんな素材が作れるのか、危険な物質を計測した場合の危機管理の状況、国外の会社が東大のSTEMやクリーンルームを使うことができるのか、新しい発見はありそうか、などいろいろな質問をぶつけていました。総合研究機構は海外との協力にも積極的で、ナノテクノロジーを通して日本そして世界に貢献するのもその使命とのことでした。東大発のナノテクノロジーを海外の人たちに知ってもらう良いイベントでした。

*UTokyo Research, on siteとは東京大学本部広報室が企画するイベントで、駐日海外メディアや大使館の科学技術アタッシェ等を対象に、本学の研究を英語で紹介するものです。
 



武田スーパークリーンルームで好奇心旺盛に設備を撮影する参加者たち

SEMでみたアリの画像などを使ってナノの世界を説明する技術職員の大塚さん

総合研究機構の建物の前で記念撮影する参加者、教員、主催者たち
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