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miR-31を狙え

成人T細胞白血病細胞の増殖機構を解明

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新領域創成科学研究科
2012/02/15

白血病ウィルス(human T-cell lymphotropic virus, HTLV)のキャリアは,国内で約100万人にのぼります。そのうち大部分は生涯発症しない無症候キャリアですが,約5%は重篤な血液の癌である成人T細胞白血病(Adult T-cell Leukemia, ATL)を発症します。

末梢血中の白血病細胞 © 2012 渡邉俊樹

末梢血中の白血病細胞 © 2012 渡邉俊樹

ATL細胞の増殖メカニズムはほとんど解明されておらず,よい治療法がありません。日本では毎年1,000人以上が,発症1年以内にこの病気で亡くなっています。

東京大学大学院新領域創成科学研究科の渡邉俊樹教授らは,マイクロRNAの一種であるmiR-31の減少が,ATL発症の重要な因子であることを突き止め,miR-31を補充すると癌化した細胞を死滅できることを示しました。

研究グループは,ATL癌細胞の遺伝情報に関する大規模統合解析を行い,ATL患者では例外なくmiR-31が激減していることを発見しました。miR-31が減少するとNIKという分子が活性化し,細胞の増殖に関わるNF-κB経路に過剰にシグナルを送ります。その結果,細胞が癌化することがわかりました。さらに,miR-31の減少自体はポリコームというタンパク質複合体の影響で起こることも判明し,発症までの一連の流れが初めて明らかになりました。

今回の研究は,ATLの治療法開発だけでなく,他の悪性癌や正常な細胞の機構解明にも繋がるものです。さらに,大規模統合解析で得られた情報はデータベースに登録され,今後のATL研究の基盤が完成しました。臨床医学と基礎研究の両方において大きく貢献する成果です。

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論文情報

Makoto Yamagishi, Kazumi Nakano, Ariko Miyake, Tadanori Yamochi, Yayoi Kagami, Akihisa Tsutsumi, Yuka Matsuda, Aiko Sato-Otsubo, Satsuki Muto, Atae Utsunomiya, Kazunari Yamaguchi, Kaoru Uchimaru, Seishi Ogawa, and Toshiki Watanabe,
“Polycomb-Mediated Loss of miR-31 Activates NIK-Dependent NF-κB Pathway in Adult T Cell Leukemia and Other Cancers”,
Cancer Cell 21, 121?135, January 17, 2012. doi:10.1016/j.ccr.2011.12.015
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