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第2回 Todai Research, on site 東京大学の減災・防災に関する研究をメディアに紹介

掲載日:2013年8月5日

2013年7月5日(金)、研究の“現場を体験する(on site)”イベント「Todai Research, on site」の第二回が開催されました。このイベントは東京大学本部広報室が、駐日の海外メディアや大使館の科学技術アタッシェ等を対象に本学の研究を紹介するため、シリーズで企画しているものです。

今回は「“Saving tomorrow by preparing today: Todai’s approach to total disaster management” (防災に備えて今できること:東京大学における防災の分野横断的なアプローチ)」というテーマのもと、研究の現場に22名の参加者を迎え、本学の防災研究の最先端の成果が紹介されました。

イベントでは、まず総合防災情報研究センターの田中淳教授から本学の減災・防災に関係する研究についての概略説明、地震研究所の加藤照之教授からはインドネシアと共同で行われた地震火山の総合防災策の研究についての説明、空間情報科学研究センターの浅見泰司教授からは空間情報を利用した研究から明らかになった東日本大震災の状況についての説明がありました。その後、参加者は三つのグループに分かれて三つの研究室を訪問し、研究者自身による研究成果の説明を受けました。今回は、史料編纂所と大学院工学系研究科 社会基盤学専攻 海岸・沿岸環境研究室を訪れたほか、空間情報科学研究センターの発表を聞きました。

安政大地震の絵巻物となまず絵

東京大学史料編纂所では、古代から明治維新期に至るまでの近代日本史資料に関する研究所で国内外に所在する各種史料を集めて、分析し、その結果を史料集として編纂・公開する事業を行っています。今回のイベントでは、安政2年10月2日(1855年11月11日)の10時ごろ、関東地方南部に起きたマグニチュード7を超える直下型地震の様子を描いた島津家の国宝、安政大地震の絵巻物と江戸地震に際して刊行された錦絵(なまず絵)が展示され、山本 博文教授が絵巻物やなまず絵から読み取れる当時の様子を解説しました。このような地震に関係する史料は、観測機器の整っていなかった時代の地震、地震発生前と後の人々の暮らしの変化や復興の様子を理解する手掛かりとなります。

大規模な水槽を用いた津波実験

大学院工学系研究科では、複数の専攻が共同で「巨大水災害の軽減に資する教育・研究」と題したプログラムを開講して、多様化、複雑化する水害の被害を軽減するための研究教育を行っています。本プログラムのメンバーでもある 海岸・沿岸環境研究室の田島 芳満准教授とそのグループは、2011年の東日本大震災直後のフィールドワークや大規模な水槽を用いた津波実験によって、東日本大震災の津波の実態と被害を明らかにしてきました。今回のイベントでは、その成果の一端を紹介し、津波実験では沿岸部や防波堤を襲い、破壊する津波の様子をデモンストレーションしました。

ビックデータの解析

空間情報科学研究センターの浅見 泰司教授らの研究グループは、東日本大震災に関連するビッグデータの解析により得られた研究成果を紹介しました。震災で津波の影響を受けた谷を地上レーザスキャンで測定して、シミュレーションした結果、岩手県宮古市の姉好地区は7,000年も前から断続的に津波の影響を受けていたことを明らかにしました。携帯電話のGPSを利用してその情報を可視化した研究では、震災当日の人の動きは揺れとともに停止し、人々は23:00頃から少しずつ活動を再開したことが分かりました。さらに、ボランティアが共同で地図を作るプロジェクト、OpenStreetMapも紹介し、このような地図の作成によってみなで空間情報を共有し、地図の情報を素早く更新できるようになります。空間情報科学研究センターでは、災害に関連する幅広い研究を通して、今後の防災・減災に役立つ知見が蓄積されつつあります。

懇親会

ツアーの後には懇親会が開かれ、会場には海底地震計の展示や冨尾 淳講師による災害医療のポスターを展示しました。懇親会でも、ツアー参加者と研究者や大学関係者による活発な議論が続けられました。懇親会には、ステファン・ノレーン総長顧問、吉村忍広報室長も参加しました。

Links(アルファベット順)

浅見泰司 教授
空間情報科学研究センター

加藤照之 教授
地震研究所

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