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細胞のナノ分子定規 細胞内で長さを測るタンパク質を発見

掲載日:2014年11月20日

左上:人の気管には異物を痰として排出するために、繊毛が生えている。 右上:超低温電子顕微鏡により撮影された繊毛の微細な三次元構造。96ナノメートル周期の繰り返し構造が見える。 下:分子定規が無いと、繰り返し構造が形成されず繊毛は動かない。分子定規が有ると、定規に従ってモータータンパク質であるダイニンが96ナノメートル周期で整列し、繊毛は動くことができる。

左上:人の気管には異物を痰として排出するために、繊毛が生えている。
右上:超低温電子顕微鏡により撮影された繊毛の微細な三次元構造。96ナノメートル周期の繰り返し構造が見える。
下:分子定規が無いと、繰り返し構造が形成されず繊毛は動かない。分子定規が有ると、定規に従ってモータータンパク質であるダイニンが96ナノメートル周期で整列し、繊毛は動くことができる。
© 2014 Masahide Kikkawa.

東京大学大学院医学系研究科の小田賢幸助教、柳澤春明助教、吉川雅英教授らの研究グループは、細胞の中において「ナノ分子定規」として働くタンパク質を発見しました。

このナノ分子定規が発見されたのは、私たち人間の気管や精子、卵管、脳室などにある「繊毛」や「鞭毛」と呼ばれる非常に細い糸状の細胞小器官(以下、「繊毛」と呼びます)です。繊毛を動かしているのは内部にあるダイニンとよばれるモータータンパク質です。ダイニンは繊毛の中で96ナノメートルを単位とした繰り返し構造を作ることが知られていました。

今回、吉川教授の研究グループは、クライオ電子線トモグラフィーという細胞内の微細構造を染色無しに観察できる方法を用い、CCDC39とCCDC40というタンパク質が96ナノメートルの長さを持つナノ分子定規であることを示しました。また、この定規がダイニンを規則正しく整列させ、効率よく働かせていることも分かりました。

ナノ分子定規は先天性の病気にも関係することがわかっており、今回得られた知見は繊毛が関わる不妊、呼吸器疾患、水頭症等の研究に貢献することが期待されます。また、分子が集まってできる複雑なナノマシンの設計への応用が期待されます。

プレスリリース

論文情報

Toshiyuki Oda, Haruaki Yanagisawa, Ritsu Kamiya, and Masahide Kikkawa,
“A molecular ruler determines the repeat length in eukaryotic cilia and flagella”,
Science vol.346 issue 6211, doi: 10.1126/science.1260214.
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