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Research News

これまで知られていなかった遺伝暗号の新しい役割を発見

受精卵ではコドンが母親由来のmRNAの安定性を決める

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分子細胞生物学研究所
2016/03/18

© 2016 Yuichiro Mishima.コドンの組成を変えた2つの人工遺伝子を導入したゼブラフィッシュ胚。安定なコドン組成のmRNA(左)は不安定なコドン組成のRNA(右)より安定なため、より多くの緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現します。

コドン組成がmRNAの安定性に与える影響
コドンの組成を変えた2つの人工遺伝子を導入したゼブラフィッシュ胚。安定なコドン組成のmRNA(左)は不安定なコドン組成のRNA(右)より安定なため、より多くの緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現します。
© 2016 Yuichiro Mishima.

東京大学分子細胞生物学研究所の三嶋雄一郎助教と泊幸秀教授らの研究グループは、タンパク質のアミノ酸配列を指定する遺伝暗号「コドン」が、受精卵では母親由来のメッセンジャーRNA(mRNA)の安定性を規定していることを発見しました。本成果により、遺伝暗号の隠れた役割と、動物発生におけるその重要性が明らかになりました。

動物の受精卵には母親のゲノムに由来するmRNA(母性mRNA)が蓄えられており、これを鋳型として合成される様々なタンパク質が、受精直後の生命現象を支えています。しかし受精後一定の時間が経つと、一部の母性mRNAは速やかに分解され、胚自身のゲノムから転写された新しいmRNAに置き換わります。動物発生における「母親離れ」とも言うべきこの時期において、どのような規則に基づいて母性mRNAが分解されるのかは、これまであまり分かっていませんでした。

今回、研究グループは、ゼブラフィッシュという小型熱帯魚の受精卵を用いて、母性mRNAの安定性を決定する要因を解析しました。研究グループは、RNAシークエンス法によって安定な母性mRNAと不安定な母性mRNAを網羅的に区別し、さらに情報解析によってそれらの持つ特徴を詳細に比較しました。その結果、安定なmRNAと不安定なmRNAでは遺伝暗号であるコドンの組成に偏りがあることを見出しました。次にコドンの組成を改変した人工遺伝子を合成し、mRNAの末端部分の分解速度が、コドンの組成によって変化することを実験的に証明しました。

「今回の成果は、「タンパク質のアミノ酸配列を指定する」という古典的な遺伝暗号としての役割に加え、「mRNAの安定性を規定する」というまったく新しいコドンの機能を示すものです」と三嶋助教は話します。「最近酵母においても同様の報告がなされており、今回の発見は受精卵において初めてその意義を明らかにした興味深いものです。今後はこの発見をもとに、動物の胚発生における遺伝子発現メカニズムの理解がさらに深まることが期待されます」と続けます。

プレスリリース

論文情報

Yuichiro Mishima, Yukihide Tomari, "Codon usage and 3′ UTR length determine maternal mRNA stability in zebrafish", Molecular Cell Online Edition: 2016/03/18 (Japan time), doi:10.1016/j.molcel.2016.02.027.
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