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原子のホールインワン!? プラチナ単原子が酸化チタン表面の原子の穴に入る現象を世界で初めて発見

掲載日:2013年12月26日

貴金属であるプラチナ(白金:Pt)は、宝飾品や産業用途だけではなく、自動車用の排ガス浄化用の触媒や燃料電池用の触媒として非常に重要な材料です。しかし、触媒機能の鍵となるプラチナとその担持材との相互作用、サイズ効果、劣化メカニズムなどに関しては謎が多く、その原子レベルからの理解が強く待たれていました。

© 柴田直哉, 超高分解能走査透過電子顕微鏡により捉えた、酸化チタンの表面上に吸着したプラチナ単原子の画像。
(a)はプラチナの無い場合。(b)-(f)はそれぞれ異なる原子位置にプラチナ原子が吸着した場合の画像。(a)にはない原子のコントラスト(→で表示)がプラチナ単原子に対応する。本研究により、酸化チタンの表面上には少なくとも5つの異なる原子位置にプラチナ原子が安定に吸着することが明らかとなった。

東京大学大学院工学系研究科附属総合研究機構 柴田直哉准教授(科学技術振興機構さきがけ研究員)・幾原雄一教授((財)ファインセラミックスセンターナノ構造研究所、東北大学WPI-AIMR)らの研究グループは、名古屋大学大学院工学研究科 松永克志教授と共同で、酸化チタン表面上に分散したプラチナ原子1つ1つを直接観察することに成功し、プラチナ単原子が酸化チタン表面にできた酸素原子の抜け穴(酸素空孔)に極めて入りやすい現象を世界で初めて発見しました。本結果は、プラチナの触媒機能、構造安定性や劣化現象を本質的に理解する上で極めて有力な手掛かりになると期待されます。 本成果は2013年12月19日に米国化学学会「ナノレターズ(Nano Letters)オンライン版」で公開されました。

プレスリリース

論文情報

Teng-Yuan Chang, Yusuke Tanaka, Ryo Ishikawa, Kazuaki Toyoura, Katsuyuki Matsunaga, Yuichi Ikuhara and Naoya Shibata,
“Direct imaging of Pt single atoms adsorbed on TiO2 (110)surfaces”,
Nano Letters Online Edition: 2013/12/19, doi: 10.1021/nl403520c.
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