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Research News

カルシウムがマウスの睡眠時間を制御

眠るか、目覚めるかは神経細胞内のカルシウム濃度が決定

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医学系研究科・医学部
2016/03/24

© Ueda Lab.この写真の遺伝子改変マウスは、遺伝子改変されていない普通のマウスと比べて睡眠時間が短くなりました。

遺伝子改変されたマウス
この写真の遺伝子改変マウスは、遺伝子改変されていない普通のマウスと比べて睡眠時間が短くなりました。
© Ueda Lab.

東京大学と理化学研究所の研究グループは、睡眠の理論モデルと21の異なる遺伝子を改変したマウスを用いた実験により、マウスの睡眠時間を左右する7つの遺伝子を特定しました。本研究グループは、今回の研究結果が睡眠障害および睡眠に関連する精神障害、神経変性の病気の解明と治療に貢献することを期待しています。

すべての生物は睡眠をとるものの、その睡眠時間は異なると考えられています。人間の睡眠時間は、子供の時が一番長くて、年齢とともに次第に減少していきます。哺乳類は睡眠をとることによって、例えば、脳内の老廃物を取り除いたり、免疫機能を回復したりという日常生活の影響から回復したり、経験を処理して長期記録に保存したりしています。しかし、なぜ眠るのか、どのように睡眠時間が調整されているのかは、ほとんど知られていません。

東京大学大学院医学系研究科の上田泰己教授を中心とする同大学と理化学研究所生命システム研究センターの共同研究グループは、睡眠のコンピュータモデルを用いて、睡眠時間はカルシウムによって調整されていると予測し、その役割を担っている可能性のある複数の遺伝子を特定しました。そして、21の異なる遺伝子改変されたマウスを用いてこの予測を検証しました。その結果、カルシウムイオンによって調整されるメカニズムが睡眠時間を制御していることを突き止めました。

研究グループは、以前同グループが開発した効率的なCRISPR法の一種を用いて、カルシウム調整に関わる遺伝子を取り除いた、21の遺伝子改変マウスを作り出しました。この21種類の遺伝子改変マウスのうち、7種類の遺伝子改変マウスについて睡眠時間に有意な変化が見られました。また、研究グループは、マウスが眠りにつくためには神経細胞にカルシウムイオンが流入する必要があり、マウスが覚醒するためはカルシウムイオンが神経細胞から流出する必要があることを発見しました。こうした発見は、コンピュータモデルによる予測と一致するものでした。

本成果の論文の筆頭著者である多月文哉氏は次のように話します。「コンピュータモデルから得られた予測と、実験データがこんなにきれいに一致したことに驚きました。私たちは、マウスを傷つけることなくマウスの睡眠時間を計測できる手法を最近開発しました。SSS法(Snappy Sleep Stager 法)という手法で、マウスの呼吸パターンを指標として睡眠時間を測ります。この手法は、遺伝子改変したマウスの睡眠時間に変化が起こったのかを確かめる上で非常に有用でした」。

上田泰己教授は、「睡眠はもっとも基本的な生理機能の一つです。ハエから人間まで、ほとんどの生物は睡眠をとると考えられています。しかし、どのような分子が睡眠時間を調整しているのかということは、いまだにほとんどわかっていません。今回の成果は、この睡眠時間を調整する分子を特定したことです。これからの研究や治療に様々なヒントを提供する可能性があります。また、精神障害や神経変性の病気に睡眠障害が関連している場合があるので、睡眠時間を調整している仕組みを解明することは、こうした病気の理解をさらに深め、将来の治療につながる可能性があります」と話します。

プレスリリース

論文情報

Fumiya Tatsuki, Genshiro A. Sunagawa, Shoi Shi, Etsuo A. Susaki, Hiroko Yukinaga, Dimitri Perrin, Kenta Sumiyama, Maki Ukai-Tadenuma, Hiroshi Fujishima, Rei-ichiro Ohno, Daisuke Tone, Koji L. Ode, Katsuhiko Matsumoto and Hiroki R. Ueda, "Involvement of Ca2+-dependent hyperpolarization in sleep duration in mammals", Neuron Online Edition: 2016/03/18 (Japan time), doi:10.1016/j.neuron.2016.02.032.
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