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Research News

研究の情熱よりキャリア上昇志向が強い博士課程生が学業に満足か

現地生よりも留学生の方が学業に満足

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総合文化研究科・教養学部
2017/09/22

© 2017 櫻井 勇介英文論文に使用した語彙をもとに世界地図をかたどって作ったワードクラウド。頻繁に使用される語彙ほど大きく表示されています。

論文の語彙で作ったワードクラウド
英文論文に使用した語彙をもとに世界地図をかたどって作ったワードクラウド。頻繁に使用される語彙ほど大きく表示されています。
© 2017 櫻井 勇介

東京大学大学院総合文化研究科の櫻井勇介特任講師とヘルシンキ大学の研究者らの共同グループは、フィンランドの博士課程の学生において、学業への動機とその満足度の関係を検証した結果、研究への興味が平均程度あっても、学業を通してキャリア上昇の意義を持たない学生群は学業満足度が低いことを明らかにしました。さらに、フィンランド人学生と留学生の違いを比較し、現地人学生にこの傾向が高く見られることが示唆されました。本成果は、博士課程生の研究指導の向上や、専門家として育つための将来の目標や期待を養うことによって、今後の教育経験の進展につながると期待されます。

そもそも博士課程は大学教育の一部でありながら、現在の実態の解明や質向上に資する研究は比較的手薄です。学生の学業への動機がその成否に重要であることはこれまで報告されており、推測に難くないのですが、どのような動機がどのような経験に結びつきうるのかわかっていません。しかも、比率的には留学生が多く学ぶ博士課程で、言語や文化の違い以外に留学生と現地人学生の経験がどう異なるのかもあまりわかっていません。

研究チームは、ヘルシンキ大学の博士課程で学ぶ現地学生と留学生計1200名程度を調査した結果、研究への興味は平均程度であっても、学業を通してキャリア上昇の意義を見出せていない学生群は学業満足度が特に低く、この傾向は現地学生に強く見られました。一方、留学生は、自身のキャリア上昇のために学業に携わっている意識が高い学生群に多くが属するという傾向が見られました。

本結果は国際化がますます進む日本の高等教育においても重要な問いを投げかけます。留学生支援は世界の大学の関心を集めていますが、留学生支援の名に隠れ、支援を必要とする現地人学生を含めた個々の研究指導から研究科単位までの広い支援構築が疎かになってしまうのは残念なことです。

「様々な状況が異なる日本へは本結果を直ちに適用できるわけではありませんが、不安定なキャリアパスやアカデミックキャリア至上主義の蔓延は、博士課程生の学びにおける問題を極めて複雑にしているという点では共通しています」と櫻井特任講師は話します。「今後も、常に教育環境の多様化が進む博士課程生の経験の研究を進めつつ将来のより良い教育に生かしていきたい」と続けます。

論文情報

Yusuke Sakurai, Jenna Vekkaila, & Kirsi Pyhältö, "More or less engaged in doctoral studies? Domestic and international students' satisfaction and motivation for doctoral studies in Finland", Research in Comparative and International Education Online Edition: 2017/06/18 (Japan time), doi:10.1177/1745499917711543.
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