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Research News

海底でレアアースの資源が生成されるための条件

新しい数理統計手法により解明

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工学系研究科・工学部
2016/08/19

© 2016 安川 和孝レアアースを含む11種類の元素群から成るデータを独立成分分析で解析した結果、太平洋・インド洋の深海堆積物は、生物源炭酸カルシウム成分、生物源シリカ成分、火山起源成分、熱水起源成分、海水起源成分、生物源リン酸カルシウム成分を含む7つの成分が関与していることが分かりました。セリウムはレアアースの一種ですが、地球化学的な振る舞いが他のレアアースと異なるため、本研究ではセリウムを別個に扱っており、図中の「レアアース」はセリウムを除いたレアアースの総和を表します。

深海底の泥を構成する統計的に独立な成分
レアアースを含む11種類の元素群から成るデータを独立成分分析で解析した結果、太平洋・インド洋の深海堆積物は、生物源炭酸カルシウム成分、生物源シリカ成分、火山起源成分、熱水起源成分、海水起源成分、生物源リン酸カルシウム成分を含む7つの成分が関与していることが分かりました。セリウムはレアアースの一種ですが、地球化学的な振る舞いが他のレアアースと異なるため、本研究ではセリウムを別個に扱っており、図中の「レアアース」はセリウムを除いたレアアースの総和を表します。
© 2016 安川 和孝

東京大学大学院工学系研究科の安川和孝助教と加藤泰浩教授らの研究グループは、海底で希土類元素(レアアース)の濃集が起こるためには、堆積速度が非常に遅い必要があることを、膨大な数の深海堆積物の化学組成データの解析により、明らかにしました。高い濃度でレアアースを含む堆積物(レアアース泥)は、将来の開発が期待されています。レアアース泥は、現在上述の条件を満たす海域で海底面付近に分布していると考えられ、このような知見は今後の資源探査における重要な探査指針となりえます。

2011年、本研究グループの加藤教授らは、ハイテク産業に欠かせないレアアースを濃集した泥が太平洋の深海底に広く分布することを発見しました。しかしながら、何がレアアースの濃集を引き起こしているのかについては、十分に解明されていませんでした。

今回研究グループは、太平洋とインド洋の広範囲を含む101地点から採取された3,968の深海堆積物試料の化学組成データを独立成分分析と呼ばれる統計手法を用いて解析しました。その結果、海底から噴出する熱水に由来する成分、海水からゆっくりと沈積する成分、海洋脊椎動物の歯や骨を構成する生物源リン酸カルシウム成分の3つの成分が、レアアースの濃集と密接に関連していることが分かりました。加えて、高い濃度のレアアース泥が生成するためには、100万年に0.5 m程度しか海底に物質が降り積もらない環境が必要であると見積もられました。さらに研究グループは、レアアースを濃集するこれらの成分の影響が、過去6500万年の間にいつ・どこで強く表れていたのかを、世界で初めて可視化することにも成功しました。その結果、オーストラリア大陸の移動と乾燥化に伴う陸源ダスト供給量の変化(風により海洋に運ばれる細かい塵の量の増減)が、南太平洋のレアアース泥の生成に影響してきたことが示唆されました。

このように、数千万年という長い時間の中で、大陸の移動や地球の環境変動と海底鉱物資源の生成が密接に関連していることが明らかになりました。

「これまでレアアースの濃度のみを基準として定義されていたレアアース泥が、実は統計的に異なる3つの成分に分離されるということが初めて明らかになりました」と加藤教授は話します。「データ科学に基づく高効率な資源探査の新しい理論的な手法を世界に先駆けて提示する成果です。資源工学分野や地球科学分野に新たな展開をもたらしうる、極めて重要な成果と考えています」と続けます。

論文情報

Kazutaka Yasukawa, Kentaro Nakamura, Koichiro Fujinaga, Hikaru Iwamori & Yasuhiro Kato, "Tracking the spatiotemporal variations of statistically independent components involving enrichment of rare-earth elements in deep-sea sediments", Scientific Reports Online Edition: 2016/07/22 (Japan time), doi:10.1038/srep29603.
論文へのリンク(掲載誌

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