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光の粒に乗せた量子情報の「テレポート」、完全な方式で実現 超大容量通信・超高速コンピューター実用化へ突破口

掲載日:2013年8月29日

量子力学の原理の応用により、現代技術の限界を超える究極的な大容量通信や超高速量子コンピューターの実現が期待されています。その実現には、光の粒子に乗せた量子ビット(0と1の重ね合わせ)の情報を遠隔地へ転送する「量子テレポーテーション」技術が最重要課題の一つです。

© Shuntaro Takeda, 実験のイメージ図
量子ビットの情報を乗せた光の粒子が量子テレポーテーションの送信機(左)へ次々と入射し、受信機(右)へ高効率で転送される。

東京大学工学系研究科の古澤明教授と武田俊太郎大学院生らのグループは、「光量子ビット」に「光の波動の量子テレポーテーション」を適応させる革新的手法により、世界で初めて完全な光量子ビットの量子テレポーテーションに成功しました。従来手法の問題点であった「転送後の成功判定測定」が不要となり、転送効率は100倍以上で、原理上100%近くまで向上できます。本装置を基本ブロックとし、2ブロック、3ブロックと拡張したシステムでは、従来比1万倍、100万倍と桁違いの効率向上が見込めます。この成果は量子情報処理の長年の課題を一挙に解決したマイルストーンと位置付けられます。

本研究はドイツのヨハネス・グーテンベルグ大学マインツのヴァンルック准教授との共同研究による成果で、先端融合領域イノベーション創出拠点の形成プログラムなどの支援のもとに行われました。

プレスリリース

論文情報

Shuntaro Takeda, Takahiro Mizuta, Maria Fuwa, Peter van Loock & Akira Furusawa,
“Deterministic quantum teleportation of photonic quantum bits by a hybrid technique”,
Nature 500 (2013): 315-318, doi: 10.1038/nature12366.
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