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藻類バイオ燃料を簡単に抽出できる培養法を発見 ボツリオコッカスからのジェット燃料生産に一歩前進

掲載日:2013年8月6日

化石燃料の枯渇や地球温暖化対策として、単位面積当たりの脂質生産性が高い微細藻類に次世代のバイオ燃料資源として注目が集まっています。Botryococcus braunii は、乾燥重量の数十パーセントにも及ぶ大量の液状炭化水素を生産します。しかし、生産した炭化水素を蓄えている細胞外マトリクスがクッションとなり圧搾等の物理的な炭化水素の回収は難しく、また有機溶媒と炭化水素の接触も阻まれています。そのため、溶媒を用いて高効率でB. braunii から炭化水素を得るためには、加熱もしくは乾燥という前処理工程が必要でした。

© Kenji Imou, ボツリオコッカスの培養風景

このたび、大学院農学生命科学研究科の芋生教授らのグループは、塩分濃度を海水の1/4程度に調整した培地で、淡水性であるB. braunii を長期間培養することにより、加熱・乾燥の前処理することなく、湿った藻体に直接有機溶媒を混合するだけで、高収量の炭化水素を回収できることを発見しました。

この発見は、前処理の工程で藻体を殺さずに炭化水素を回収し、藻体を再培養して炭化水素を再生産させるミルキングという技術につながる可能性があります。ミルキングを用いて培養槽内でB. braunii から炭化水素のみを回収しつつ高い藻体濃度を維持できるようになれば、コンタミネーション(競合する微細藻類や雑菌の繁殖)を防ぐとともに、B. braunii を用いた炭化水素生産に必要なエネルギーおよびコストの削減につながると期待されます。

本研究は、東京瓦斯株式会社(東京ガス)からの助成を受けて行われました。

論文情報

Kenichi Furuhashi, Kiyotaka Saga, Shigeru Okada, Kenji Imou.
“Seawater-Cultured Botryococcus braunii for Efficient Hydrocarbon Extraction,”
PLoS ONE (2013) Vol.8, Issue.6, e66483 Online Edition: 2013/06/14 (Japan time),
doi: 10.1371/journal.pone.0066483.
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