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Research News

新しい超伝導ファミリーを発見

高温超伝導体探索に新たな道標

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物性研究所
2013/12/18

超伝導は、特定の物質を非常に低い特定の温度(転移温度)に冷却したときに電気抵抗が完全に消失する現象です。20世紀初頭の水銀における超伝導の発見以来、その発現機構の解明に向けて多大な努力が払われてきました。20世紀中ごろに提唱されたBCS理論により、電子のペア形成によりゲージ対称性が自発的に破れることが超伝導の起こる本質的なメカニズムであることが突き止められました。超伝導状態では発熱による損失なく電気を流せるため、工学的観点からも重要です。しかし実用に向けて超伝導を示す温度領域が低温に限定されていることが最大の障壁となっていました。これまでに、銅酸化物・鉄ニクタイド・二ホウ化マグネシウムなどさまざまな種類の超伝導体(超伝導ファミリー)が発見されてきましたが、超伝導転移温度は室温には程遠い状況です。そのため、新たな超伝導ファミリーの発見が期待されていました。

© Kenya Ohgushi, アンチポストペロブスカイト型バナジウム化合物V3PNの電気抵抗率。低温で電気抵抗率がゼロとなり、超伝導状態になったことが分かる。図内左上に化合物の結晶構造を示している。

今回、東京大学物性研究所の大串 研也 特任准教授らのグループは、新しい超伝導ファミリーを発見しました。同グループは、アンチポストペロブスカイト構造を有するバナジウム(V)・リン(P)・窒素(N)からなる化合物V3PNに着目し、それが4.2 K(摂氏-268.9 ℃)で超伝導を示すことを見いだしました。同様の結晶構造を有する化合物ではこれまで超伝導の報告がなく、新しい超伝導ファミリーの発見です。超伝導状態への転移温度はまだ低温に留まっているものの、わずかな組成の変更に応じて大きく変化することから、組成を最適化することで更なる転移温度の向上が見込めます。また、この物質が超伝導を発現する機構を解明することで、新たな高温超伝導体の探索につながる可能性が期待されます。

プレスリリース [pdf]

論文情報

Bosen Wang, and Kenya Ohgushi,
“Superconductivity in anti-post-perovskite vanadium compounds”,
Scientific Reports 3, 3381 (2013), doi: 10.1038/srep03381.
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