UTokyo Research

  • Japanese
  • English
検索閉じる
言語閉じる
  • 日本語
  • 英語
Research News

数十億年前の古代生物の転写システムをひも解く

新しい進化指標による古代の転写システムの解明

タグ

分子細胞生物学研究所
2016/09/08

© 2016 Laboratory of Developmental Biology, Institute of Molecular and Cellular Biosciences, The University of Tokyo.約30億年前における古代生物の転写システムは、現存の古細菌と真核生物のものとは違っていたことが、明らかになりました。

古代生物の転写システムと現存生物の転写システム
約30億年前における古代生物の転写システムは、現存の古細菌と真核生物のものとは違っていたことが、明らかになりました。
© 2016 Laboratory of Developmental Biology, Institute of Molecular and Cellular Biosciences, The University of Tokyo.

東京大学分子細胞生物学研究所の堀越正美准教授と高エネルギー加速器研究機構の共同研究グループは、祖先遺伝子と現存遺伝子間の進化的距離を解析するために新しい進化的指標を用いた解析法を考案し、約30億年前の転写システムを明らかにしました。本成果は、古代生物のDNAは現代まで残っていないため、これまで不明であった古代の転写システムに光をあてたもので、本手法が今後の分子進化研究の進展に貢献すると期待されます。

進化の研究といえば、化石を利用し、生物が共通祖先から分れた年代を推定する方法がよく用いられます。生物の分子を用いて進化を研究する分野(分子進化研究)では、遺伝子やタンパク質の配列の比較や比較した結果に基づいて共通祖先から分かれた年代を推定するための手法が駆使されます。しかし、これらの手法には大きく3つの弱点があります。まず、古代生物の遺伝子は手に入りません。第二に、祖先生物の遺伝子と現存している生物の遺伝子の配列の違いから、現存生物と祖先生物がいつ別々の生物として分かれたかなど(進化的な距離)測れません。第三に、現存生物の遺伝子に基づいてグループ分けして比較しようとする場合、一部の遺伝子(外部基準)を解析対象から除外する必要があるため、グループ全体の進化を一度に知ることができず、新しい手法の開発が望まれていました。

共同研究グループは、今回、遺伝子内に繰り返し現れる配列を用いて、一部の遺伝子を解析対象から除くことなく、祖先の遺伝子と現存の遺伝子の間の進化的距離を算出できる新しい解析法を考案しました。この手法を用いてDNAからメッセンジャーRNAを作る過程(転写)に関わる分子に適用して解析した結果、約30億年前における古代生物の転写システムは、現存の古細菌と真核生物のものとは違っていたことが明らかになりました。太古の生物のDNAは現代に残存しないため、分子進化の解析は極めて困難と思われていただけに、今回新しく開発した解析方法によって、過去55年間の難題が解決され、推定とは異なる全く新しい転写の進化に関するより確度の高い知見が得られました。

今後、細胞の増殖・分化を支えるさまざまな生命システムがどのように進化してきたのかをより幅広く詳細に解析するだけでなく、精巧な生物システムの進化の仕組みの変遷を明らかにし、その知見をさまざまな分野に応用される可能性が期待されます。

「転写システムの起源の謎を初めて意識してから30年が経ちました」と堀越准教授は話します。今回、数十億年前の「転写システム」の仕組みが解けたのは、常に困難な問題に挑戦するという意識を持ち、研究を続けてきたからだと考えています」と続けます。

プレスリリース

論文情報

N. Adachi, T. Senda and M. Horikoshi, "Uncovering ancient transcription systems with a novel evolutionary indicator", Scientific Reports Online Edition: 2016/06/16 (Japan time), doi:10.1038/srep27922.
論文へのリンク(掲載誌

関連リンク

分子細胞生物学研究所

分子細胞生物学研究所 発生分化構造研究分野

前の投稿へ 次の投稿へ
Page Top