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見た目だけで、我々の温度感覚は左右される!  

掲載日:2012年11月16日

氷を見ただけで、ひんやりと感じるだろうか? このような素朴な疑問は、心理学において古くから検討されてきましたが、見た目が温度感覚に直接影響することは確かめられていませんでした。なぜならば、実際に体に触れている物体の温度を変えずに、見た目だけを変える操作が困難なためです。

ラバーハンド錯覚を生起させてから(左)、温度刺激を与える(右)実験状況の説明図。
© Kazuhiko Yokosawa and Shoko Kanaya

ラバーハンド錯覚が生起しているとき、実験参加者の手にプラスティック・キューブが触れても、作り物の手に氷が触れているのが見える場合は、冷たく感じる。

このたび、東京大学大学院人文社会系研究科の横澤一彦教授らは、作り物の手を自分の手と感じる錯覚であるラバーハンド錯覚(注1)を利用することで、手に触れている物体の見た目と実際の温度を独立に操作する手法を考案し、見た目によって温度の錯覚が生じることをつきとめました。たとえば、隠れて見えない自分の手に、一定温度に保たれたプラスチック・キューブが二度触れます。このタイミングを合わせ、目の前で作り物の手にプラスチック・キューブに続いて氷が触れます。すると、自分の手の上の物体が冷たくなったと報告されました。自分の手に触れられた物体は変化していないので、見た目だけで温度感覚が騙されたことになります。発見された現象は、きめ細かい温度感覚が皮膚に備わっていなくても、処理が早く正確な視覚情報が日常的な温度知覚を補えることを示しています。

プレスリリース

論文情報

Shoko Kanaya, Yuka Matsushima, & Kazuhiko Yokosawa,
“Does seeing ice really feel cold?: Visual-thermal interaction under an illusory body-ownership”,
PLoS ONE 2012/11/7, doi: 10.1371/journal.pone.0047293.
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