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Research News

イネの耐病性向上に成功

人工的に操作した疑似リン酸化型OsWRKY53転写因子を用いて

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生物生産工学研究センター
2014/06/12

東京大学生物生産工学研究センター山根久和教授(当時)と岡田憲典准教授(当時助教)らの研究グループは、イネがいもち菌(Magnaporthe oryzae)に感染すると、感染に反応して発現する転写因子OsWRKY53のリン酸化がイネの耐病性発現に重要であることを明らかにした。研究グループはこれまでにOsWRKY53の過剰な発現がイネの耐病性を増加させることを報告していたが、いもち菌に感染するとイネがOsWRKY53を介してどのように抵抗性を発揮しているのかは不明だった。また、イネの病害抵抗性発現においては、関連するタンパク質のリン酸化による情報伝達(リン酸化シグナル伝達)の重要性が広く認められているが、OsWRKY53によってイネが病害に対する抵抗性を示す機能とOsWRKY53のリン酸化の関係についても明らかにされていなかった。

イネにおけるいもち菌感染から抵抗性を示すまでのシグナル伝達の模式図。通常、転写因子OsWRKY53はOsMKK4-OsMPK3/PsMPK6によりリン酸化されて、最終的に病害に対する抵抗性を発現するようになる。疑似リン酸化型OsWRKY53をイネに導入して過剰に発現させると、病害抵抗性に関与するタンパク質が発現されて、耐病性が向上する。

© 2014 岡田憲典
イネにおけるいもち菌感染から抵抗性を示すまでのシグナル伝達の模式図。通常、転写因子OsWRKY53はOsMKK4-OsMPK3/PsMPK6によりリン酸化されて、最終的に病害に対する抵抗性を発現するようになる。疑似リン酸化型OsWRKY53をイネに導入して過剰に発現させると、病害抵抗性に関与するタンパク質が発現されて、耐病性が向上する。

研究グループは今回、イネのMAPキナーゼを利用したリン酸化シグナル伝達のひとつを構成するOsMKK4-OsMPK3/6によってOsWRKY53がリン酸化されると、OsWRKY53の転写因子としてのはたらきが活性化されることを明らかにし、このリン酸化によって病害抵抗性に関与する遺伝子群の発現が促されることを示唆した。また、OsWRKY53のリン酸化がなされるN末端側の部位のアミノ酸をセリンからアスパラギン酸に置換して、あたかもリン酸化されたOsWRKY53を人工的に作製した。このOsWRKY53は、OsMKK4-OsMPK3/6によって自然にリン酸化されたOsWRKY53と同様に転写因子としてのはたらきが活性化されることを見出し、人工的にリン酸化されたOsWRKY53(疑似リン酸化型OsWRKY53)によってイネの耐病性を増強することに成功した。

本成果は、転写因子を用いて、病害に高い抵抗性を示すイネの新たな技術に発展することが期待される。

プレスリリース

論文情報

Tetsuya Chujo, Koji Miyamoto, Satoshi Ogawa, Yuka Masuda, Takafumi Shimizu, Mitsuko Kishi-Kaboshi, Akira Takahashi, Yoko Nishizawa, Eiichi Minami, Hideaki Nojiri, Hisakazu Yamane, Kazunori Okada,
“Overexpression of Phosphomimic Mutated OsWRKY53 Leads to Enhanced Blast Resistance in Rice”,
PLOS ONE Online Edition: 2014/6/3, doi:10.1371/journal.pone.0098737.
論文へのリンク(掲載誌UTokyo Repository

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