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太陽系外の複数惑星系における惑星同士の食を初めて発見  

掲載日:2012年12月5日

東京大学大学院理学系研究科 博士課程大学院生の平野照幸氏らのグループは、太陽系外にある4重惑星系候補であるKOI-94(Kepler Object of Interest カタログの94番)を2012年8月10日にすばる望遠鏡で観測し、内側から3番目に位置する惑星の公転軸と中心星の自転軸がほぼ平行であることを発見した。米国のケプラー衛星によって定期的にモニター観測・公開されているこの中心星の明るさの変化のデータから、この系には周期的に中心星の前を横切る「トランジット現象」を起こす惑星(トランジット惑星)が4つ存在していることはすでに知られていた。平野氏は、この公開データを再解析することで、2010年1月14日から15日にかけて、内側から3番目(公転周期約22日)と4番目(公転周期約54日)に位置する2つの惑星が同時にトランジットを起こし、かつさらにそれら同士もまた互いに食を起こすという極めてまれな現象が起こっていることを見いだした。

今回の研究で得られたKOI-94系の概念図 © 増田賢人
すばるの観測データからKOI-94.01(内側から3番目の惑星候補)の公転軸と中心星の自転軸が、またケプラーによる惑星食の解析からKOI-94.01とKOI-94.03(内側から4番目の惑星候補)の公転軸が、それぞれよく揃っていることが明らかとなった。

これは2つの惑星の公転軌道面がほとんどぴったり一致していない限り説明できないことが推測できる。そこで、実際に観測データを詳細に解析した結果、この2つの惑星は同じ向きに公転しており、それらの公転軌道面は2度以下の精度で一致していることがわかった。さらにすばる望遠鏡の観測結果と組み合わせれば、太陽系と同じく、中心星の自転軸と、複数の惑星の公転軸が高い精度で揃っていることが結論づけられた。

この発見は、複数惑星系の形成・進化モデルに対する重要な観測的制約である。また、今から約14年後(西暦2026年)に、この系において惑星同士の食が起こるものと予想される。

プレスリリース

論文情報

Teruyuki Hirano, Norio Narita, Bun’ei Sato, Yasuhiro H. Takahashi, Kento Masuda, Yoichi Takeda, Wako Aoki, Motohide Tamura, Yasushi Suto,
“PLANET-PLANET ECLIPSE AND THE ROSSITER-MCLAUGHLIN EFFECT OF A MULTIPLE TRANSITING SYSTEM: JOINT ANALYSIS OF THE SUBARU SPECTROSCOPY AND THE KEPLER PHOTOMETRY ”,
The Astrophysical Journal Letters Online Edition: 2012/10/23 doi: 10.1088/2041-8205/759/2/L36.
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