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Research News

2016年熊本地震の本震前に前震領域が拡大

本震の発生した断層へゆっくりすべりが伝播

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地震研究所
理学系研究科・理学部
2016/10/18

© 2016 Aitaro Kato.前震の発生以降、本震が発生する直前までの地震活動が時間を追って変化する様子(積算図)。断層の走向方向に加えて、断層面の傾斜方向(浅い・深い側)にも前震の発生域が拡大する様子がわかります。

熊本地震の前震の領域が拡大する様子
前震の発生以降、本震が発生する直前までの地震活動が時間を追って変化する様子(積算図)。断層の走向方向に加えて、断層面の傾斜方向(浅い・深い側)にも前震の発生域が拡大する様子がわかります。
© 2016 Aitaro Kato.

東京大学地震研究所の加藤愛太郎准教授らの研究グループは、2016年熊本地震の前触れ的に起きた前震の領域が断層面と平行な方向(走向方向)と断層面に垂直な方向(傾斜方向)に拡大していたことを見出しました。これは、前震による力の変化に加え、ゆっくりすべりが本震の破壊開始点へ伝わることで本震の発生を促した可能性を示唆しています。

2016年の4月に発生した熊本地震では、最も大きな地震と定義される本震が4月16にマグニチュード7.0を記録しました。また、本震の前に起きた前震は、4月14日にマグニチュード6.2を記録しました。一連の地震については、これまで前震活動が起きていたことはわかっていましたが、前震から本震にいたる地震活動の詳細な様子については不明な点が残されていました。

研究グループは、2016年熊本地震の前震や本震に伴って発生した一連の地震活動を高い精度で推定し(地震カタログの構築)、時間とともに地震が発生する場所が変化する様子(時空間発展)を詳細に分析しました。その地震カタログを分析したところ、4月14日の前震発生以降、地震の発生域が時間の経過とともに徐々に拡大する様子を捉えました。前震域の拡大は、断層の走向方向に加えて傾斜方向(浅い・深い)にも起きており、4月16日に発生した本震の破壊開始点へ向かう動きも見られました。

実際、前震が発生した領域の近くの地殻変動観測点(国土地理院電子基準点)では、前震が発生してから本震が発生するまでの間に、前震時と同じ方向にじわじわと動いたことがわかります。このような地表の動きが観測された場所は極少数であり、すべりの場所や大きさを正確に推定することは難しいですが、前震の断層面上ですべりが生じたと仮定すると観測データと一致し、前震の断層面上においてゆっくりすべりが起きていた可能性が高まります。前震による力の変化に加え、ゆっくりすべりにより本震の断層面に力が加わり、本震の発生が促されたと示唆されます。

一方で、本成果で見られたような地震の発生域の拡大やゆっくりすべりの発生をもって、その周辺で大きな地震がすぐに発生するかどうかは、現状のところ判断できません。本震の断層面が最終的に破壊されるかどうかは、本震の震源領域にどの程度ひずみが溜まっていたか(断層の応力蓄積状況)によるからです。今後、断層の応力蓄積状況を把握する研究が重要です。

「前震の活動中に地震の発生域が拡大する現象は、沈み込む海洋プレートと陸側プレートとの境界で発生した地震の前に起きていたことがこれまで報告されています」と加藤准教授は話します。「内陸の活断層においても、規模は小さいものの類似した現象が起きていたことを明らかにした点が、今回の研究成果の特徴です」と付け加えます。

プレスリリース

論文情報

Aitaro Kato, Jun'ichi Fukuda, Shigeki Nakagawa, and Kazushige Obara, "Foreshock migration preceding the 2016 Mw 7.0 Kumamoto earthquake, Japan", Geophysical Research Letters Online Edition: 2016/08/16 (Japan time), doi:10.1002/2016GL070079.
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