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Research News

記憶を思い出す源となる神経回路を解明

 

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医学系研究科・医学部
2013/02/27

JST 課題達成型基礎研究の一環として、東京大学 大学院医学系研究科の宮下 保司 教授、平林 敏行 助教らは、サルを被験動物とした実験により、記憶を思い出す時の信号の生成と伝播を担う神経回路を発見しました。


側頭葉における対連合記憶の想起神経回路のモデル
© Yasushi Miyashita

手がかり図形が呈示されると、手がかり図形保持ニューロン(水色)が活動し、呈示終了後もその情報を保持します。その後、対図形想起ニューロン(ピンク)へと神経信号が伝達し、それがさらに次の対図形想起ニューロンへと伝播します。これにより、対図形想起ニューロンの活動が高まり、神経回路の表す情報が、手がかり図形から対図形へと変換され、対図形の想起に至ると考えられます。

大脳の側頭葉は、物体についての記憶を司る脳の領域であり、物事を覚え込んだり、思い出したりする時に活動する神経細胞が多く存在することが知られています。しかし、これらの神経細胞が、どのような神経回路を形成し、連携することによって記憶を思い出す信号を生成しているのかは分かっていませんでした。

本研究グループは、1つの図形(例えば鉛筆)を手がかりにして、事前に対として記憶している別の図形(消しゴム)を連想する作業を遂行中のサルの側頭葉で、複数の神経細胞群の活動を同時に記録しました。その結果、手がかり図形(鉛筆)に応答しその情報を保持するニューロン(手がかり図形保持ニューロン)から、別の図形(消しゴム)を思い出す時に活動するニューロン(対図形想起ニューロン)へと特異的に神経信号が伝達し、それがさらに他の対図形想起ニューロンへと伝播していくことによって、記憶想起信号が生成され、増幅されることが分かりました。これにより、私たち霊長類が物体についての記憶を思い出す際に用いられる側頭葉の神経回路とその動作が初めて明らかになりました。

今回用いた複数の神経細胞群の活動を同時に記録し、解析する手法により、記憶想起信号の起源となる局所神経回路の解明が進むとともに、あるタイプの記憶障害に関与する神経回路についての研究の進展や、連想型データベースの高速化・効率化などへのさまざまな応用が期待されます。

本研究成果は、2013 年1月9日(米国東部時間)に米国科学誌「Neuron」のオンライン速報版で公開されました。

プレスリリース [PDF]

論文情報

Toshiyuki Hirabayashi, Daigo Takeuchi, Keita Tamura, Yasushi Miyashita,
“Functional micro-circuit recruited during retrieval of object association memory in monkey perirhinal cortex” ,
Neuron, Vol.77, 2013:192-203, doi: 10.1016/j.neuron.2012.10.031.
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大学院医学系研究科

大学院医学系研究科 統合生理学分野 宮下保司研究室

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