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コメのカドミウム汚染をなくす遺伝子を発見  

掲載日:2012年12月20日


低カドミウムコシヒカリ(lcd-kmt)のカドミウム吸収抑制機構
© Satoru Ishikawa and Hiromi Nakanishi

(低カドミウムコシヒカリはOsNRAMP5の機能が欠損しているため、根のカドミウム吸収が抑制され、玄米や稲わらへのカドミウム蓄積が少なくなります。)

東京大学大学院農学生命科学研究科 中西啓仁 特任准教授、同 西澤直子 特任教授、独立行政法人農業環境技術研究所 石川覚 主任研究員らの研究グループは、平成24年3月7日に発表した「カドミウムをほとんど含まないコシヒカリ」の原因となる変異遺伝子を発見し、これがカドミウムやマンガンのトランスポーターであるOsNRAMP5の遺伝子の変異であることを突きとめました。この変異遺伝子によって、イネが土壌からカドミウムをほとんど吸収しなくなり、コメや稲わらに含まれるカドミウム濃度が極めて低くなります。通常のコシヒカリ玄米中カドミウム濃度が我が国の食品衛生法の規制値を大幅に超過する農地で栽培しても、低カドミウムコシヒカリは極めて低いカドミウム濃度でした。

また研究グループは、この変異遺伝子を検出できる遺伝子マーカーも新たに開発しました。このマーカーを利用することにより、通常の交配育種によって効率よく他のイネ品種に変異遺伝子を導入できるため、ほぼ全てのイネ品種においてカドミウムの吸収とコメへの蓄積を低く抑えるように品種改良できます。コメからのカドミウム摂取量はこれまでに比べて極めて低くなり、食の安全とコメを主食とする人々の健康に貢献することが期待されます。

プレスリリース

論文情報

Satoru Ishikawa, Yasuhiro Ishimaru, Masato Igura, Masato Kuramata, Tadashi Abe, Takeshi Senoura, Yoshihiro Hase, Tomohito Arao, Naoko K. Nishizawa and Hiromi Nakanishi,
“Ion-beam irradiation, gene identification, and marker-assisted breeding in the development of low cadmium rice”,
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America Online Edition: 2012/11/5 (Japan time), doi: 10.1073/pnas.1211132109.
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