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Research News

鉄カルコゲナイドが超伝導現象を示す温度の大幅な上昇に成功

薄膜試料の作製による相分離の抑制が鍵

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総合文化研究科・教養学部
2015/03/06

© 2015 今井良宗

© 2015 今井良宗

東京大学大学院総合文化研究科の今井良宗助教、前田京剛教授らは、鉄カルコゲナイドが超伝導状態へと変化する温度(臨界温度)を、従来の15ケルビン(摂氏マイナス258度)と比較して1.5倍(23ケルビン、摂氏マイナス250度)に上昇させることに成功しました。これは、従来の手法では合成が困難であった組成を持つ鉄カルコゲナイドの薄膜を作製することによって実現したものです。

鉄カルコゲナイドは鉄(Fe)、テルル(Te)、セレン(Se)から構成される物質です。従来の合成手法では、単一の固溶体を形成しない、つまり、セレンとテルルの比が一定にはならない現象(相分離) が起こる組成領域が存在し、鉄カルコゲナイドの特性を理解する上で大きな障害となっていました。今回の成果は、このような問題を鉄カルコゲナイドの薄膜試料を作製することにより初めて克服した画期的なものです。

鉄カルコゲナイドは鉄系超伝導体の一種であるため、これらの物質が超伝導状態を発現する機構の解明に向けた研究が一層加速することが期待されます。また、今回観測した大幅な超伝導臨界温度の上昇は、同物質の応用化を大きく促すものであり、他の超伝導体においても、臨界温度を向上させるための新しい有力な指針ともなりうるものです。

本研究成果は、2015年2月2日(米国東部時間)に、米国科学アカデミー紀要「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」にオンライン速報版で公開されました。

なお、本成果は、科学技術振興機構(JST) 国際科学技術共同研究推進事業(戦略的国際共同研究プログラム) 日本-EU(EC EG RTD)共同研究「超伝導」における「鉄系超伝導体デバイスの物理的•工学的基盤の構築」(日本側研究代表者:生田 博志 名古屋大学 教授、EU側研究代表者:飯田 和昌 ドレスデン・ライプニッツ固体・材料研究所 上席研究員)の一環として得られたものです。

プレスリリース

論文情報

Yoshinori Imai, Yuichi Sawada, Fuyuki Nabeshima, Atsutaka Maeda, "Suppression of phase separation and giant enhancement of superconducting transition temperature in FeSe1-xTex thin films", Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America Online Edition: 2015/2/3 (Japan time), doi:10.1073/pnas.1418994112.
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