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2014年の御嶽山噴火に先立つヘリウムガスの異常

火山活動を評価できる指標の可能性

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大気海洋研究所
2015/08/24

© 2015 東京大学地震研究所御嶽山は、東京から200km西、岐阜県と長野県にまたがる山です。写真では2014年の噴火後に蒸気とガスが放出されている様子が伺えます。

2014年の御嶽山の噴火
御嶽山は、東京から200km西、岐阜県と長野県にまたがる山です。写真では2014年の噴火後に蒸気とガスが放出されている様子が伺えます。
© 2015 東京大学地震研究所

東京大学の研究グループは、2014年の御嶽山の噴火に先立って10年間にも及びヘリウムガスが異常に増加していたことを発見しました。本成果は、ヘリウムガスの異常が御嶽山のマグマ活動の活発化に関係していること、ヘリウムガスの観測は火山を評価する指標の1つとして有用であるとことを示唆します。 ヘリウムガスの同位体であるヘリウム-3はマントルに少量含まれるマントル起源の物質です。一方、ヘリウム-4は地殻とマントルに含まれる放射性物質が放射性崩壊することによって放出される物質です。ヘリウム-4に比べてヘリウム-3の同位体の比率が高い場合、観測されたヘリウムガスは地殻ではなく、マントル起源のものであることがわかります。これまで、噴火口や噴気口、温泉で観測されるヘリウムガスの同位体比の長期的な変化は、火山活動と関連があることが知られていました。

しかし、先行研究はどれもヘリウムガス異常とマグマ噴火との関連性を報告するもので、マグマなどの高温にさらされた水が気化して生じる水蒸気噴火とヘリウムガス異常の関連性は不明でした。また、水蒸気噴火はマグマ噴火と比べて火山体に与える物理的影響が比較的小さいため、予知するのが困難と考えられています。一方で、2014年の9月27日の正午前に突然噴火した御嶽山の噴火は水蒸気噴火と考えられています。また、この噴火によって死者は58名、行方不明者は5名にも上りました。

今回、大気海洋研究所の佐野有司教授を中心とする国際研究グループは、2014年の御嶽山の噴火に先立ってヘリウム-3とヘリウム-4の同位体の比率が、2003年の6月から噴火後の2014年11月の間に御嶽山の火口に最も近い温泉の源泉付近で顕著に増加していたことを示しました。ところが、他の温泉・鉱泉の源泉付近では、ヘリウムガスの同位体比にほとんど変化が見られませんでした。加えて、1981年の11月から2000年の6月までの間、火口に最も近い温泉の源泉付近のヘリウムガス同位体比はほとんど一定でした。

これらの観測結果は、ヘリウムガスの増加が水蒸気噴火と関連していることを示唆します。また、研究グループは、10年という長期にわたって揮発性物質が火道内で蓄積し、加圧されたことが御嶽山の水蒸気爆発の原因であったとする仮説を提案しました。

「2003年の6月から2009年の7月の間にかけて、御嶽山の火口に最も近い温泉のヘリウムガスの同位体比が顕著に増加したのを把握していましたが、当時、その理由がわかりませんでした」と佐野教授は振り返ります。「今回の成果は、ヘリウムガスの同位体異常が2014年の御嶽山噴火と関連していることを示唆します。この結果は、火山の噴火を直前になって予知することができることを意味しませんが、ヘリウムガスの観測は長期にわたる火山活動を評価する指標の1つとして有用だと言えます」。

プレスリリース

論文情報

Yuji Sano, Takanori Kagoshima, Naoto Takahata, Yoshiro Nishio, Emilie Roulleau, Daniele L. Pinti and Tobias P. Fischer, "Ten-year helium anomaly prior to the 2014 Mt Ontake eruption", Scientific Reports Online Edition: 2015/08/19 (Japan time), doi:10.1038/srep13069.
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