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世界最高効率で自然光を水素へ変換 エネルギー変換効率24.4%を達成

掲載日:2015年9月30日

© 2015 Masakazu Sugiyama, Katsushi Fujii and Kensuke Nishioka.高い効率で発電が可能な集光太陽電池とポリマー隔膜を用いた水の電気分解装置を直接接続し、太陽光から高い効率で水素を生成した。太陽電池と電気分解装置の直列接続数を最適化することで、システムの動作点を太陽電池の効率最大点に合わせ、エネルギー効率を最大化した。

集光型太陽電池と水の電気分解装置を用いた高効率な水素生成システム
高い効率で発電が可能な集光太陽電池とポリマー隔膜を用いた水の電気分解装置を直接接続し、太陽光から高い効率で水素を生成した。太陽電池と電気分解装置の直列接続数を最適化することで、システムの動作点を太陽電池の効率最大点に合わせ、エネルギー効率を最大化した。
© 2015 Masakazu Sugiyama, Katsushi Fujii and Kensuke Nishioka.

東京大学大学院工学系研究科の杉山正和准教授、藤井克司特任教授、宮崎大学の西岡賢祐准教授らの研究グループは、太陽電池により高い効率で得た電力を用いて、自然光のエネルギーを水素として蓄えることのできる水の電気分解システムを構築し、太陽光エネルギーの24.4%を水素に蓄えることに成功しました。本成果は、太陽光で生成した水素が化石燃料を代替する上での重要な一歩です。

水素は自動車などのクリーンな燃料として今後の需要増大が見込まれますが、現在は化石燃料から製造されています。今後、日本の再生可能エネルギーの依存度を高めるためには、太陽光から効率よく低コストで水素を生成する技術が求められています。これまで光触媒を用いて太陽光からの水素を製造しようとする試みは、太陽光エネルギーの10%未満しか水素として蓄えることができず、実用化にはエネルギー変換効率の向上が求められていました。

今回、杉山准教授らは、レーザーやLEDなどに用いられる高品質な半導体を、レンズで集めた強い光のもとに置いて発電する集光型太陽電池(発電効率31%)を用いて、この太陽電池と水の電気分解装置との電気的接続法を改良することでエネルギー損失を低減し、水素へのエネルギー変換効率24%以上を太陽光の下で達成しました。

「今回開発したシステムに用いられている太陽電池と電気分解装置はすでに市販されており、設置条件に合わせたシステム設計によって、太陽光を高い効率で水素変換することが現在の技術でも可能です」と杉山准教授は話します。「集光型太陽電池は通常の太陽電池に比べて高価ですが、海外の高照度地域では発電効率が高い分、発電コストを低減でき、米国エネルギー省が目標とする水素コスト1kgあたり4ドル以下へのコスト低減が見込まれます」。

プレスリリース

論文情報

Akihiro Nakamura, Yasuyuki Ota, Kayo Koike, Yoshihide Hidaka, Kensuke Nishioka, Masakazu Sugiyama, Katsushi Fujii, "A 24.4% solar to hydrogen energy conversion efficiency by combining concentrator photovoltaic modules and electrochemical cells", Applied Physics Express Online Edition: 2015/09/16 (Japan time), doi:10.1039/C5EE02214B.
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