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農家は気候変動にどう適応しているか?

日本と南アフリカの3地域のリンゴ農家の事例から

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農学生命科学研究科・農学部
2015/10/01

© 2015 Mariko Fujisawa et al.鹿角は、桃の産地として気候的北限に位置する。そのことを利用して、他の産地の出荷が終わった時期に良質のモモを出荷することで、市場の確保に成功した。

鹿角のモモ
鹿角は、桃の産地として気候的北限に位置する。そのことを利用して、他の産地の出荷が終わった時期に良質のモモを出荷することで、市場の確保に成功した。
© 2015 Mariko Fujisawa et al.

東京大学大学院農学生命科学研究科の藤沢茉莉子研究員と小林和彦教授およびケープタウン大学のピーター・ジョンストンとマーク・ニューの研究グループは、日本と南アフリカの3つの異なる地域のリンゴ農家による気候変動への適応を調査した結果、適応行動には農家が自主的に進めるボトムアップ型と、農協や役所などの機関が主導するトップダウン型があり、それらはリンゴの販売がどの程度機関に依存しているかによって分かれることを明らかにしました。

農業は、気候変化の影響を最も受けやすい産業の一つであり、従来から農家は気候変化だけでなく社会経済的な変化にも直面し、適応してきました。こうした複数の問題に同時に直面したときに、農家がどのような意思決定をし、対処してきたのかは、よくわかっていません。特に、実際に農家を訪れて調査を行うフィールド調査は少なく、不明な点が多々あります。

今回、研究グループは、気候変動によって受けている影響が異なる3つの地域、長野、鹿角とエルギンのリンゴ農家を対象にインタビュー調査を行い、気候変動に対してどのように適応しているかを調べました。長野とエルギンはすでに気候変動によってリンゴ生産が影響を受けている地域である一方、鹿角は現在リンゴ生産に適した気候であり、2060年までそのような気候が保たれると予想されています。調査の結果、市場への出荷を農協などに依存する農家は、トップダウン型の適応行動をとり、例えば低温要求度が小さく冬季の温暖化の影響を受けにくいリンゴ品種の導入のように、今ある問題に対応する行動であることが見いだされました。一方、リンゴを直接販売している農家は、ボトムアップ的な適応により、気候的に最も低温の地域にリンゴの代わりにモモを導入するなど、まだ起きていない問題を事前に回避できる行動をとることがわかりました。

「トップダウン型の適応行動とボトムアップ型の適応行動は、うまく組み合わせることにより、イノベーティブな適応行動を広くいきわたらせることができるようです」と小林教授は話します。「今回の成果は、今まで不明な点が多かった農家の気候変動による適応行動、という未知の領域に光をあてたもので、今後同様な研究を積み重ねることで、気候変動に適応するために真に有効な政策対応が明らかになると期待しています」。

論文情報

Mariko Fujisawa, Kazuhiko Kobayashi, Peter Johnston, Mark New, "What Drives Farmers to Make Top-Down or Bottom-Up Adaptation to Climate Change and Fluctuations? A Comparative Study on 3 Cases of Apple Farming in Japan and South Africa", PLOS ONE Online Edition: 2015/03/30 (Japan time), doi:10.1371/journal.pone.0120563.
論文へのリンク(掲載誌UTokyo Repository

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