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Research News

アフリカツメガエルは如何に“余剰な”ゲノムを獲得したか

全ゲノム解読で明らかになったアフリカツメガエルの進化の歴史

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理学系研究科・理学部
2016/11/18

© 2016 Shuji Takahashi.見た目は似ていますが、四倍体のメスのアフリカツメガエルは、二倍体のメスのネッタイツメガエルに比べて明らかに大きいのがわかります。

アフリカツメガエル(右)とネッタイツメガエル
見た目は似ていますが、四倍体のメスのアフリカツメガエルは、二倍体のメスのネッタイツメガエルに比べて明らかに大きいのがわかります。
© 2016 Shuji Takahashi.

日本とアメリカの科学者を中心とする国際研究コンソーシアムは、世界で初めてアフリカツメガエル(Xenopus laevis)の全遺伝情報であるゲノムを全て解読しました。それによると、アフリカツメガエルの祖先は約1800万年前に、親となる2つの異なる種からそれぞれ染色体一セットを受け継ぎ、その後ゲノムがすべて倍加、即ち全ゲノム重複したことがわかりました。今回の発見が脊椎動物の進化の過程、特に約5億年前に起きたとされる全ゲノム重複と脊椎動物の誕生の関係を理解する手助けになると期待されます。

人類を含む多くの生物は染色体セットを2つ持つ二倍体ですが、アフリカツメガエルは、それを4つ持つ四倍体です。アフリカツメガエルがいつどのようにして四倍体となったのかは、長年わかっていませんでした。

一つの仮説は、アフリカツメガエル(X. laevis)は、二倍体の異なる種の祖先種が雑種交配したときに、それぞれの親から一つずつゲノムを受け継ぎ、続いて全ゲノム重複が起こったため、祖先種の2倍の染色体をもつ四倍体の種が誕生し、後にアフリカツメガエルに進化したというものです。  国際コンソーシアムの日本研究チームのリーダである東京大学大学院理学系研究科の平良眞規准教授は、次のように説明します。「アフリカツメガエルは、生物学的、生物医学的研究には必要不可欠な生物ですが、そのゲノム情報の莫大な量や複雑さのため、全ゲノム解読が困難でした。わたしたちは、アフリカツメガエルの全ゲノム解読は、生物学的・医学的研究に役に立つだけでなく、四倍体の種が誕生した過程についても洞察を与えてくれると考えました」。  コンソーシアムは、日本で近親交配され、父親と母親から受け継がれた全遺伝情報が同じであるJ系統(Japanの頭文字)と呼ばれるアフリカツメガエルを用いてその全ゲノムを解読しました。

米国チーム(代表:カリフォルニア大学バークレー校のダニエル・ロクサー教授とリチャード・ハーランド教授)は、ショットガン法と呼ばれる方法で短く断片化したDNAの配列を読み、それらの断片をパズルのピースのようにつなぎ合わせました。一方、日本チームはDNAの長い断片の配列を読み、その断片のDNAが染色体のどこに位置するのかを調べました。このようなゲノムの解読と分析によって、異なる2種の祖先から受け継いだ別々のゲノム配列を区別することが可能となりました。

「ゲノム上を動き回るDNA配列トランスポゾンのうち、化石化し、動かなくなったものに注目すれば、アフリカツメガエルの中で存在する二つの異なる祖先種のゲノム(サブゲノム)を特定できるかもしれないと、考えました」と平良准教授は説明します。

平良准教授はこのアイデアを共同研究者である広島大学の彦坂暁准教授と名古屋大学の宇野好宣研究員に伝えました。二人がこのアイデアを試したところ、アフリカツメガエルが異なる祖先種(二倍体)から二種類の染色体セットを受け継いでサブゲノムとして保持していることが明らかになったのです。

さらに二種類の染色体セットが細胞核の中でより長いLタイプとより短いSタイプに別々に進化していることも発見しました。これは動物におけるサブゲノムの進化を初めて明らかにしたものです。Lタイプの染色体には、祖先種の遺伝情報の大部分が残されていましたが、Sタイプの染色体ではより多くの遺伝子が失われていたり、欠失したり、再編成されたりしていました。

平良准教授は次のようにまとめます。「約5億年前に起きた二度の全ゲノム重複が脊椎動物の誕生の要因になったこと、そしてその後の脊椎動物の爆発的な増加に寄与したと考えられています。今回の成果は、人間の進化の歴史において重要な出来事である脊柱動物の誕生について、より深い理解につながると期待しています」。

プレスリリース

論文情報

Adam M. Session, Yoshinobu Uno, Taejoon Kwon, et al., "Genome evolution in the allotetraploid frog Xenopus laevis", Nature, Vol 538, 336–343, doi:10.1038/nature19840.
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