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ミュー粒子の崩壊から素粒子標準理論の破れを探索 世界最高感度のミュー粒子崩壊測定により素粒子の大統一理論を探る

掲載日:2013年3月8日


(上左)MEG実験のビームラインと実験装置の全容。
(上右)組み立て中の液体キセノン測定器。ガンマ線の入射により液体キセノン中で発生するシンチレーション光を検出するための多数の光電子増倍管が見える。
(下)陽電子スペクトロメータ内部。中央に吊るされている楕円形のものがミュー粒子を静止させるターゲット。その下に扇状に並んでいるのが陽電子の軌跡を精度よく測るドリフトチェンバー。
© MEGコラボレーション

東京大学を中心とする国際研究グループ(MEG実験)は、スイス・ポールシェラー研究所(PSI)の世界最高強度のミュー粒子ビームおよびこの実験のために新たに開発した優れた素粒子測定器を用いて素粒子の標準理論では起こり得ないミュー粒子の崩壊モード(μ→eγ、ミューイーガンマ)を世界最高感度で探索することに成功した。

達成した探索感度は以前の実験のおよそ20倍(2011年9月に発表したMEG実験の前回の結果からは約4倍)であったが、この感度を持ってしても未知の崩壊モードの発見には至らなかった。探索したミュー粒子の崩壊モードは大統一理論など標準理論を越える新しい物理によってその存在が予言されており、今回の探索結果により新理論に対してこれまでにない厳しい制限を加えることとなった。LHCでの実験結果と合わせて、有望視されていた新物理の理論シナリオが崩れつつあり、さらなる高精度での探索の重要性が高まっている。

MEG実験は現在継続中であり、2013年夏までにデータ量を倍増させる予定である。また測定器を大幅に改良して一段と探索感度を向上させたアップグレード実験計画が2013年1月にPSI研究所によって承認されており、2016年から現行実験の感度を一桁上回る究極感度での探索を開始する予定である。

プレスリリース

論文情報

J. Adam et al. MEG Collaboration,
“New constraint on the existence of the μ+→e+γ decay”,
Physical Review Letters (in press), arXiv:1303.0754 [hep-ex] Online Edition: 2013/3/4,
論文へのリンク

リンク

素粒子物理国際研究センター

MEG実験ホームページ

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