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Research News

タンパク質1分子内部運動の2軸時分割マッピングに成功

X線1分子追跡法の汎用性を促進し世界標準化へ

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新領域創成科学研究科
2013/11/15

創薬などの分子の設計指針として、有効なタンパク質分子の運動性を定量的に評価して、より確実に正常タンパク質と異常タンパク質の運動の違いを高精度で検知することは重要です。このため、東京大学大学院新領域創成科学研究科の佐々木裕次教授らのグループはこれまでにタンパク質1分子の内部運動を高速に追跡できるX線1追跡法(Diffracted X-ray Tracking: DXT)を開発してきました。しかし、従来のDXT手法では分子内構造の角度変化をとらえられる範囲は極めて狭く、分子運動の統計的なデータを得ることが困難でした。

© Yuji C Sasaki. ヒト血清アルブミン (Human Serum Albumin, HSA)の分子内運動とHSAに2アントラセンカルボン酸(AC)分子が結合した状態の分子内運動を表した2つの運動角度変化の2軸時分割ヒストグラム

今回佐々木裕次教授を中心とする研究グループ(佐々木研究室 一柳光平助教、公益財団法人高輝度光科学研究センター 関口博史博士、大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻 井上佳久教授ら)は、DXT手法の改良により、X線1分子タンパク質の分子内の詳細な傾き運動とねじれ運動の統計データを効率良く短時間に取得することに成功しました。改良したDXT手法では、放射光施設のベンディングマグネットから得られるエネルギー幅の広い硬X線(8-18 keV, 波長0.7-1.6 nm)を集光することで、タンパク質分子の複雑な傾きやねじれ運動を22.6度の広範囲で短時間計測することが可能になりました。

本開発では、大型放射光施設 SPring-8のBL28B2ビームラインにX線トロイダルミラーを導入し、2.4度から22,6度の広い角度範囲の測定を可能にしました。また、今回の結果はDXT手法が世界中の放射光施設で測定できることを示唆するものです。

今後は、タンパク質分子の内部運動に着目し、分子の機能性と分子運動特性の定量相関解析が進むことによって、新規創薬分子の効果・副作用や異常タンパク質などの早期発見や未知なる機能評価といった、分子内部1分子レベルの「タンパク質1分子動態学」に道が拓かれると期待されます。

プレスリリース

論文情報

Kouhe Ichiyanagi, Hiroshi Sekiguchi, Masato Hoshino, Kentaro Kajiwara, Kentaro Hoshisashi, Chang Jae-Won, Maki Tokue, Yufuku Matsushita, Masaki Nishijima, Yoshihisa Inoue, Yasunori Senba, Haruhiko Ohashi, Noboru Ohta, Naoto Yagi, Yuji C Sasaki,
“Diffracted X-ray tracking for monitoring intramolecular motion in individual protein molecules using broad band X-ray”、
Review of Scientific Instruments 84, 103701-6 (2013), doi: 10.1064/1.4819305.
論文へのリンク

リンク

大学院新領域創成科学研究科

大学院新領域創成科学研究科 物質系専攻

大学院新領域創成科学研究科 物質系専攻 佐々木裕次研究室

動画による成果紹介 (youtube)

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