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Research News

マイクロRNAが細胞核に輸送される分子メカニズムを発見

核内でもマイクロRNAによる遺伝子発現調節が起こる可能性

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理学系研究科・理学部
2012/12/05

TNRC6Aは核移行シグナル(NLS)により核移行し、核外移行シグナル(NES)によって細胞質へ搬出される © Kenji Nishi and Kumiko Ui-Tei
また、TNRC6AにはAgoが結合し、TNRC6Aの核内移行に伴って、miRNAを含むAgoも核内に運ばれる。細胞質ではmiRNA?Ago?TNRC6A複合体は、標的とするmRNAの分解や翻訳抑制を引き起こす。一方、核内でもmiRNA?Ago?TNRC6A複合体は、標的RNAを抑制する作用がある可能性が示唆されたが、その他の機能は未解明である。

マイクロRNA(miRNA)は長さ20数塩基の小さな1本鎖のRNAで、ヒトを含む多くの生物種において、遺伝子発現の抑制(RNAサイレンシング)に働くことが知られている。miRNAによるRNAサイレンシングは、発生や細胞増殖をはじめとする多様な生命現象や癌などの疾病にも広く関わっているが、その分子機構には解明されていないことが多い。

今回、東京大学大学院理学系研究科 生物化学専攻の西賢二特任助教を中心とした程久美子准教授らの研究グループによって、miRNAが細胞核に輸送される分子機構が初めて解明された。miRNAは、直接相互作用するAgoタンパク質や、Agoと結合するGW182タンパク質などと複合体を形成し、標的とするmRNAの分解や翻訳抑制を引き起こす。このようなmiRNAによるRNAサイレンシングは、これまで主に細胞質で起こると考えられていた。研究グループは、ヒトのGW182ファミリータンパク質の一つであるTNRC6Aが、核内と細胞質の間を行き来する輸送タンパク質であり、Agoと相互作用することでmiRNAを核内に輸送することを明らかにした。また、核に局在するTNRC6A変異体を強制発現させた細胞を用いた実験から、核内でもmiRNAによるRNAサイレンシングが起こる可能性を示した。さらに、核内miRNA複合体は、転写段階での遺伝子発現やスプライシングの制御、あるいは全く未知の機能を担う可能性も考えられ、今後の研究の進展が期待される。

プレスリリース

論文情報

Kenji Nishi, Ai Nishi, Tatsuya Nagasawa, Kumiko Ui-Tei,
“Human TNRC6A is an Argonaute-navigator protein for microRNA-mediated gene silencing in the nucleus” ,
RNA Online Edition: 2012/11/14 (Japan time), doi: 10.1261/rna.034769.112.
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大学院理学系研究科

生物化学専攻

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