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Research News

オレフィン重合触媒を天然物骨格の構築に応用

鳥類が分泌するカルボン酸の合成経路を3段階に短縮

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工学系研究科・工学部
2016/04/01

© 2016 Kyoko Nozaki.ポリプロピレンの合成に使われるジルコニウム触媒を用いることにより、目的物の前駆体となるオリゴマーをプロピレンから1段階で合成しました。得られたオリゴマーを変換することでハイイロガンが分泌する油の成分である化合物を3段階で合成しました。

プロピレンの重合触媒を用いたデオキシプロピオナート構造の構築
ポリプロピレンの合成に使われるジルコニウム触媒を用いることにより、目的物の前駆体となるオリゴマーをプロピレンから1段階で合成しました。得られたオリゴマーを変換することでハイイロガンが分泌する油の成分である化合物を3段階で合成しました。
© 2016 Kyoko Nozaki.

東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻の野崎京子教授らの研究グループは、天然物中の部分骨格を構築するために、オレフィンを複数結合できる触媒を用いることで、これまで10段階の反応を要した天然物の合成を最短の3段階で合成することに成功しました。今回の手法は、共通の部分構造を持つ他の天然物の効率的な階合成にもつながると期待されます。

汎用プラスチックとして身近で幅広く用いられている高分子のポリプロピレンは、非常に効率的な炭素-炭素結合が作られて合成されます。プロピレンを複数結合することのできる重合触媒を天然物の合成に応用することができれば、従来は多段階の反応経て合成された、プロピレンの連なった構造を持つ化合物を、極めて短段階で合成できる可能性があります。

研究グループは、プロピレンが四つ連なった構造を持つ(–)-2,4,6,8-テトラメチルデカン酸と呼ばれる化合物の合成に着目しました。この化合物は、鳥類の仲間であるハイイロガンが分泌する脂の成分であり、プロピレンが連なった構造を一度に合成できれば、合成過程を短縮できる可能性がありました。 研究グループは、オレフィン重合触媒として知られるジルコノセン触媒およびジエチル亜鉛を用いて、プロピレンが連なる数を最大20までに制御できる条件を見いだしました。このようにして合成された化合物のうち、プロピレンが四つ連なったものを分離し、さらに2段階の反応を行うことで、(–)-2,4,6,8-テトラメチルデカン酸を合計3段階で合成することに成功しました。

「これまで(–)-2,4,6,8-テトラメチルデカン酸の過去最短の合成経路は10段階でした。今回はその3分の1の短さでの合成を達成したのです」と野崎教授は説明します。「このような合成経路を短縮する戦略は、デオキシプロピオナート構造をもつ他の天然物の合成にも応用可能だと考えています。合成の過程で、異なる長さのデオキシプロピオナート構造も同時に得られるため、デオキシプロピオナート構造をもつ化合物のライブラリ構築への応用も可能です」と今後の展開に期待を寄せています。

論文情報

Yusuke Ota, Toshiki Murayama, and Kyoko Nozaki, "One-step catalytic asymmetric synthesis of all-syn deoxypropionate motif from propylene: Total synthesis of (2R,4R,6R,8R)-2,4,6,8-tetramethyldecanoic acid", Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America Vol 113, 2857–2861, doi:10.1073/pnas.1518898113.
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