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地球内部の3次元構造を高解像度で推定できる手法の開発と応用 見えてきた中米下最下部マントルの構造

掲載日:2014年2月17日

© Adapated from Figure 19 and Figure 21, Methods for inversion of body-wave waveforms for localized three-dimensional seismic structure and an application to D” structure beneath Central America , Kawai et al., Geophysical Journal International, Vol. 199.
(a) 南米下における震源、北米における観測点の分布、とそれらをつなぐ大円。(b) 中米下の最下部50 kmマントルのS波速度の水平不均質構造(標準的モデルPREMに対して)。(c-d) 中米下の最下部400 kmマントルのS波速度構造(標準的モデルPREMに対して)の断面図(b-dの単位は%)。 水平スケール約250×250 kmの高速度領域が低速度領域に囲まれている。沈み込んだファラロンプレートがマントル対流の熱境界層の温かい物質を巻き上げている。

地球は地表から深さ方向に地殻・マントル・外核・内核にわかれている。外核の境目に触れるマントル最下部はD”(ディーダブルプライム、厚さ数百キロの層がある)領域と呼ばれる。D”領域は、下部マントルの大部分と異なる岩石からなり、液体鉄合金からなる外核と近づくと、温度や化学組成が急変する層である。この層を介した物質やエネルギーのやり取りは地球の進化を考える上で重要な手かがりとなるが、その詳細な構造はいまだ明らかになっていない。

このD”領域の詳細な3次元構造推定を可能にする新しい地震波解析手法(“ビッグデータ的”波形インバージョン法)を、東京大学大学院理学系研究科の河合研志客員研究員(兼 東京工業大学特任助教)およびロバート・ゲラー教授らが開発した。新解析手法を、北米の高密度地震観測網で収録された膨大な地震波データに適用すると、中米下のD”領域の詳細な3次元構造が推定できた。その構造には、過去に沈み込んだファラロンプレートを見ることができた。すなわち、マントル対流がファラロンプレートを地球表層からマントル最下部まで運んだのである。

今後、この手法を他の地域のデータにも適用することにより、D”領域全体の理解が進み、地球の進化の理解につながると期待される。

プレスリリース

論文情報

Kawai, K., K. Konishi, R.J. Geller and N. Fuji,
“Methods for inversion of body-wave waveforms for localized three-dimensional seismic structure and an application to D” beneath Central America”,
Geophysical Journal International Online Edition: 2014/2/4, doi: 10.1093/gji/ggt520.
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